マーケティングは会議室で起きているんじゃないんだ! - ドリルを売るには穴を売れ

現場の重要性はマーケティングでも同様のようです。


ドリルを売るには穴を売れ
佐藤 義典

ドリルを売るには穴を売れ

ドリルを売るには穴を売れ


マーケティングメルマガ「売れたま」を発行する佐藤義典さんがマーケティングの入門書として書かれた本。ただ、理論を説いているだけでなく、各章の後半半分は「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」のようにビジネス小説の形になっているので、非常に読みやすい形になっています。

マーケティングは会議室で起きているんじゃないんだ!
(p.100)

どこかの映画のパクりですが(笑)、この本の一番のメッセージを表しているのはこの一文じゃないでしょうか。机上であれこれ考えることには限界があります。売り場があり、売る人がいて、買う人がいて、買う人が買う決意をして初めて「モノが売れる」のです。それはどれも会議室のような場所で起こっているわけではなく、全ては現場なのです。

自分の求める欲求を満たすことができれば、顧客にとって業界の垣根などどうでもよいことなのだ。
(p.109)

伝えるべきメッセージは「この製品・サービスであなたの欲求が満たせます」
(p.153)

この二つの言葉も、お客様の立場に立つことの重要性を示していると思います。マクドナルドの競合はロッテリアモスバーガーなどのハンバーガーチェーンだと考えるのは、業界の常識にとらわれていることになります。お客様の視点から考えると、コンビニだったり、ファミレスだったり、カフェだったり、弁当やだったりが競合になってくるのです。だから、「美味しいハンバーガーがあります」というメッセージを出すだけではなく、マックカフェ朝マックのようなサービスを行っているのだと言えるでしょう。


このように相手の立場に立って、相手の視点で考えることの重要性は、以前のエントリで取り上げた佐藤尚之さんの「明日の広告」でも述べられていましたね。

・初動に時間をかけることの大切さ
もうしつこいくらいに書いてきていることだが、結局これが一番大切だな、とわかったのもこのキャンペーンの後であった。伝えたい相手はどんな人たちなのか。これが決まらないと表現はもちろんメディアも決まらない。でも実際には短いスケジュールの仕事が多く、この辺はなし崩しにされがちである。悲しいことだ。
(p.166)

君が人を好きになった時に取るべき最善の方法は、その人のことをきちんと知ろうと目を凝らし、耳をすますことだ。そうすると、君はその人が自分が思っていたよりも単純ではないことに気づく。極端なことを言えば、君はその人のことを実は何も知っていなかったのを思い知る。
『映画篇』金城一紀著/集英社
(p.119)

明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)


この本の内容をまとめると、以下のようになるかと思います。

  • 顧客にとっての価値(ベネフィット)を見極める
  • ターゲットセグメントを決定する
  • 「手軽軸」「商品軸」「密着軸」の3つの軸で差別化を考える
  • 4P (Product, Promotion, Place, Price) を考える
  • 上の4つに一貫性を持たせる


こういったことを自分の視点ではなく、相手の視点で考える。これが一番重要なのでしょう。