4つのポイントから攻める - 勝間式「利益の方程式」
「利益=売上−コスト」と単純に考えていましたが、もっとわかりやすく分解できるようです。
勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─
勝間 和代
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/04/04
- メディア: 単行本
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今回は、思いっきり、ビジネスモデルの本です。ITは出てきません。金融もほとんどでてきません。どうやって利益を最大化するか、という方法論です。具体的には、顧客単価の上げ方、顧客獲得コストと顧客原価の下げ方、顧客数の増やし方、そしてその4つのバランスのさせ方です。
と、勝間和代さん自身がブログでおっしゃっているように、利益を最大化するためにどう考えればよいかという本です。
上に出てきた、顧客単価の上げ方、顧客獲得コストと顧客原価の下げ方、顧客数の増やし方、という4つが利益とどう関係するかというと、以下の式で表されます。この方程式がこの本のメインです。
利益=(顧客当たり単価−顧客当たり獲得コスト−顧客当たり原価)×顧客数
この本では、この方程式を軸に、左辺の利益を最大化するために、顧客単価や顧客数をどう増やしていくか、顧客獲得コストや顧客原価をどう減らしていくかについての考え方が書かれています。
この方程式を見た時に一つ疑問に思ったのは、最初の3つの変数は全て顧客あたりの数字になっているけれど、顧客のセグメントを分けたときにどう使うのがよいのか、ということです。たとえば、この本にもあるような、ランチの顧客単価が2,000円で、ディナーの顧客単価が10,000円という設定のとき、あくまで顧客単価はそれらを平均したものなのか、ランチとディナーで別々にこの方程式に当てはめていくのか、ということです。精度をあげるならば、後者のほうがいいような気がしますが、そうすると顧客原価や顧客獲得コストの計算が難しくなる気もします。うーむ。
■顧客単価
価格に影響する要素は4つあると説明してきました。商品の原価、競合商品の価格、代替商品の価格、顧客が支払っていいと感じる価値です。
「勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─」(p.113)
と書かれているように、顧客単価はこの4つをどうバランスよく考えていくかが重要とのことです。
ただ、私なりにちょっと考えたのは、これら以外にも顧客単価を決める要素がありそうな気がします。それは「スタバではグランデを買え!」で取り上げられていた取引コストです。
「時間と労力(手間)、余分なおカネの支出、他の資産の使用、心理的負担」といったものが、買い物の代金と別にかかるとき、それを取引コストと呼びます。
このコストをゼロに近づけるような商品やサービスであれば、顧客単価は高く設定できるのではないかと、ふと思いました。私がきちんと理解できていないだけで、このことも方程式には既に含まれているのかもしれませんが。
「ショボイ競合相手がいる大きなマーケットほどねらい目である」
「勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─」(p.113)
これは、以前のエントリで書いたことにつながっていそうです。
マクドナルドの競合はロッテリアやモスバーガーなどのハンバーガーチェーンだと考えるのは、業界の常識にとらわれていることになります。お客様の視点から考えると、コンビニだったり、ファミレスだったり、カフェだったり、弁当やだったりが競合になってくるのです。
顧客単価を決める際の要素の一つに競合商品の価格がありました。ですので、お客様視点で考えたときに、異業種でも競合と考えられる商品やサービスが高い価格をつけているのであれば、お客様にとっての満足度を考えるとその価格をある程度の基準に考えられるのですね。
■顧客獲得コスト
ここでは、いかに顧客獲得コストを下げるかについてです。口コミをうまく使うというのも方法の一つですね。口コミに関しては、神田昌典さんの「口コミ伝染病」がオススメです。
一度ロイヤル顧客になってしまうと、多少、不都合な材料が出てきても、逆にこれまでその定番やシリーズに投資してしまったことを正当化するため、なるべく、その商品・サービスの良いところを積極的に見つけようとして、その商品を買う理由を顧客のほうが見つけてくれる
「勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─」(p.147)
これは、「影響力の武器」にあるコミットメントと一貫性ですね。
■顧客原価
ここはいかにコストを下げるか、についてですが、コストを削減するだけではなく、うまくリバランスすることが重要のようです。そして、そのリバランスには80対20の法則が使えそうです。
あと興味深かったのが、以下の一文。顧客数だけでなく、顧客原価もきっちり考えることの重要性を教えてくれます。
ブックオフの立地で大事なことはその立地で「どれだけの人が買ってくれるか」ではなく、「どれだけの人が売ってくれるか」(p.186)
■顧客数
ここのポイントはキャズムをどう超えるかですね。
「キャズム」が難しいようであれば、森行生さんの「ヒット商品を最初に買う人たち」を先に読むといいかもしれません。