石井琢郎 肌理のつらなり

秋山画廊、2017年10月21日〜11月5日
現代作家画廊個展
鑑賞日:10月25日(水)

物体は求心的なものとして空間のなかにあり、我々は外からその物体の内側を見るように鑑賞する。その一方で、求心的な物体は空間に向かって広がり空間を規定するものとしてある。見えない存在として空間を覆い尽くすなにかと目の前にある物体の内部という、二重に取り囲まれたなかで私はいない内部へと入っていく。表面を見る、その触覚を確認しつつ、触覚から始まるものの存在を把握する。そこでは表面とは内部であり存在となる、では内部が反転し表面となったら。求心性を失った物体は、表面として空間に存在する。空間へ広がる中心を持たず、空間からの反射を受けることができる内部を持った表面ともならない。その表面が描く姿こそ、中心や空間といった関係から離れることが可能となった物体の姿とはいえないだろうか。柔らかく存在し、やがて失われる。