東芝EMIに音楽を発信する資格はない、と断言する

東芝EMIが新しい方式のCCCDを出す、ということを昨日ここでも伝えました。そのEMIが、Non-CCCDの作品リリースに合わせてiPodのインターフェースを真似たデザインで特集サイトを組んでいる、という話。

東芝EMIは前にもiPod ♥ Good Musicなんつーキャンペーンやって微妙に洋楽&iPodファンをムカつかせていたわけですが、その「天然ぶり」は相変わらずのようで。こんな特集ページ、CCCDを出してるレコード会社がやれる資格は一切ないよ。いやマジで。アーティストやアーティストが作る音楽そのものには罪はないけど、倫理の問題としてどうかと思う。

(音楽配信メモ『東芝EMIがiTunes&iPodをモチーフにしたコンピアルバムを発売』より一部抜粋させていただきました)
まさに音楽配信メモの津田さんが語る通り、倫理の問題としておかしいことこの上ないですね。人間として腐っている、と声を大にして言いたい。
アーティストに罪がなくても、これまでのCCCD導入で、導入したアーティストのサイトの掲示板にCCCD回避を求む声が多く寄せられ、議論を呼んだ経緯を考えれば、最終的に憂き目を見るのはCCCDを採用したレーベルの所属アーティストの方でもあるわけです。リスナーも所属アーティストも馬鹿にした東芝の、一方でCCCDを採用し一方でCCCDを正反対のiPodを奨励(して、あわよくばデザインを拝借)する、というやり方はまさしく愚の骨頂。皆を馬鹿にしている。音楽を発信する資格などない、といっても過言ではないでしょう。
ちなみにiPod ♥ Good Musicについては私も以前関連記事を書きました。やり方は何も変わっていないのですね。

ちなみに、CCCDはアメリカでも進行し、Sony BMGについで米EMIも採用を開始してしまいました。自分の好きなジャンルの作品でいえば、Jermaine Dupriのレーベル、So So DefのコンピレーションもCCCD化しています。EMIは欧州盤が以前よりCCCD化しているため、輸入盤を買うなら米盤、という認識だったのですが、これで日本盤もCCCDなら買えなくなる、という問題が生じてしまいました。個人的には、アメリカではどうもCCCDへのリスナーの認識が低いまま、レコード会社の都合だけが先行してCCCD拡大に繋がっているように思え、恐怖感を覚えてしまいます。個人的には訴訟大国アメリカで消費者がCCCD反対の一大運動を起こしてほしい、と思うのですが。

CCCDアメリカでの現状を知るには、下記サイトを参照してください。

東芝EMI、迷走か〜Tristan Prettyman、米盤はCCCD、国内盤はCD-EXTRA仕様

トゥエンティスリー

女性版Jack Johnsonとも言われ、デビュー曲「Love Love Love」が日本のラジオエアプレイで驚異的なヒットとなっている、Tristan Prettymanのファーストアルバムがリリースされました。日本では8/15付オリコンアルバムチャートで初登場35位と健闘中。徐々に認知度が高まっているようです。



さて、この作品、不思議な現象が起きています。米盤はCCCDでのリリースとなっているのに対し、一方の国内盤ではCD-EXTRA収録としてCCCDを回避しているのです。

しかもおかしなことに、米盤のデュアルディスクではCCCDを回避しているのです。デュアルディスクではCCCD+DVDの組み合わせは不可能なのかもしれませんが、もしかしたら通常盤を買わせるための(高価な作品への)誘導なのかもしれません。


実はこの作品のタワレコでの紹介ページでは、国内盤はCCCDとして紹介されています。となると、全世界的にCCCD化を進めるEMIにあって、国内盤の担当スタッフがCCCD化を何らかの理由で、しかも急遽回避した、と推測できるように思うのですが、考えすぎでしょうか。
日本のスタッフが、空前のラジオエアプレイを獲得中のアーティストと、その曲を聴き好きになったファンに対して、CCCD化によって裏切ることを避けるための手段としてCD-EXTRA収録に踏み切ったのではないか、と。国内盤では約500円も安い価格でのリリース(税込1,980円)も、彼女を猛プッシュするための設定価格とすれば、推測がより真実味を帯びるように思うのです(自分勝手な考えは否めませんが)。
そこから察するに、東芝EMIの社員の中に、反CCCD化を掲げた良心のある社員がいるのかもしれません。CCCD化の急先鋒に立つレーベルにCCCDに疑問をもつ者がいるとなれば、尚更CCCDを推奨することが意味不明になっていくように思うのですが。


●追記
Amazon.co.jpでは米盤がエンハンスド仕様と書かれています。アメリカのCCCD化の動きがレーベルサイドからきちんと案内されてないままに始まったからでしょう、小売サイドまで徹底されてない模様です。一方のAmazon.comもエンハンスド仕様なのは変わりませんが、アメリカで日本の東芝EMIがリリースした日本盤を購入可能なのが奇妙ですね。もしかしたら徐々にアメリカで反CCCD運動が生まれ、その一環としてNon-CCCD作品購入の動きが出てきているのかもしれません。日本盤の価格は極めて高いのですが。

有料音楽配信売上実績の公表開始

当協会は、この度、日本の音楽配信市場の公式統計として「有料音楽配信売上実績」の公表を開始しました。
 これは、日本国内におけるインターネットや携帯電話等による有料音楽配信市場の拡大と、IFPI(国際レコード産業連盟)による世界レベルでの音楽配信統計の開始を踏まえてのものです。
 今回は今年1-3月及び4-6月の各四半期実績を公表しましたが、今後も四半期毎の公表を予定しています。

(以上、サイトより抜粋)
"着うた"の好調でモバイルの売り上げが突出している一方で、インターネット・ダウンロードの1-6月の売り上げは極端に低く、4-6月の売り上げは前四半期実績の74%という落ち込みようです。
これがiTMSの登場でどこまで勢力が上昇するか、非常に楽しみです。iTMS日本版開始わずか4日で100万曲ダウンロード達成、と多くのサイトで記事が踊っていたことから、一気に音楽配信の勢力図が変わるのは間違いないでしょう。そうなれば、今後は四半期毎ではなく毎月、毎週の公表にすべきと考えます。
いや、もしかしたらiTMSの勢いが凄まじく、公表しないといけなくなった、とRIAJ側が焦って急に公表し始めたのかもしれませんね。