陽気に生きよう この人生を (4) 空白な時間

軽いのりでいいからって、乗せられて書き始めたけれど、
認知症という病気について、何を伝えればいいのだろうか?

そこで紹介されたクリスティーン ブライデンさんの書かれた
「私は誰になっていくの」を読むことにしました。

凄いなあ、というのが読み始めた感想です。
こんなに自分自身を観察できない
というか、私には言葉、語彙がない。

感じることはあっても、
表すことが出来ない。

たとえば、こんな事がありました。

大切な仲良しのお友達と
バンド演奏を聴きに行きました。

途中で突然マイクが回ってきて、
歌う羽目になってしまったのですが、え〜とかふ〜とか言って
なかなか歌えない。

知っているはず、聴いたことがある・・・
でも、口が開かない。

仕方がないので
お友達の顔を見ていたら、私はシ・バ・タよ
といいました。

あ、そうだ シバタさん、と思いましたが
言葉にならず、ちょっと間をおいて
分かっている!と強がりを言いました。


その時のちょっとした空白が
どうにもならないのです。

そのちょっとした時間を待てば
そうだった、そうだった、という風に言葉がわいてくるのですが
その時間が周りの人達に違和感を与えるらしい。

この事をどんな風に伝えればいい?

頭の中は空白、
何にもない・・・真っ白でもない・・
たとえようがないけれど、確かにぽかっと
穴が開いたように、空っぽになる。

この状態をどうしようなんて思わないんだけど
しかし自分の中では、「こらこら自分よ、どうした?」
なんて思っている。

この何か分からない空白、虚空、が説明できない。

まあ、でもそれがこの病気だって言うんだから・・・
致し方がない。

私はクリスティーンじゃないんだから
それが言い表せなくても、いいって事にして
シバタさんが、忘れてもいいからね、といってくれたことに
甘んじて、ちょっとの空白が大きな空白にならないように
くよくよするのはやめよう。(あ)