【シリーズ】わたしがフィリピン・タイで出会った思い出に残る人

*この記事はふれんどしっぷASIAスタッフによるリレー投稿です*
*フィリピン、タイで出会った個人的に思い出深い人を紹介します*


私と娘がフィリピンに行ったのは2009年の9月。
私は14年ぶりのフィリピンで、あの時にも訪れた
車いすの音楽家たちのグループ「ROW」はかすかな記憶しかなかった。
その場所に今回は当時3歳11か月になる娘と滞在し、
両親たちと離れて暮らしているその施設の子どもたちとの
短いながらもの共同生活が始まった。

小学校1年生くらいから高校生くらいまでの子たちがいて、
その子たちが10人以上いる部屋に私たちもお世話になって、
時間があるときは彼女たちと歌を口ずさんだり、大声で笑った。
みんな人懐っこいので、私の娘もすぐに溶け込み、本当に楽しそうにしていた。
その中の高校生のまとめ役のような女性がルデンといった。

ルデンはフィリピン女性らしく黒くて艶がある長い髪を風になびかせた、
気配りが本当に上手な女性だった。
ある朝、ROWのシスターと共にマニラのマーケットへ買い物に行く途中、
ルデンも一緒に車に乗っていった。彼女はどこに行くかと思えば、その先は病院だった。
彼女曰く、ROWの仲間で昨日、突然具合が悪くなった子どもがいるので、
その子の生活必需品を携えつつ、お見舞いに行くのだそうだ。
もちろん、彼女の母親として、お医者さんとも話したり、
その子供の身の回りのこともやるそうだ。

そしてROWの滞在最終日に、ルデン達と共にCMYという施設のミサへ行った。
そこで彼女たちは素晴らしい楽器演奏をみんなにお披露目して、
それを娘共々楽しく聴いていた。
別れの時はすぐに訪れ、この後はネグロスへ飛行機で飛ぶことになっていた。
私も、そしてROWのみんなと仲良くなった娘も、彼女たちとの束の間の別れを惜しんだ。
特に娘を一番可愛がってくれたルデンとの別れが非常につらいようで、
娘はすぐに送迎用のバスに乗ることをためらった。

今度いつ私と娘がフィリピンを訪れるかは分からないけれど、
その時にはまたルデンに会いたいと切に願う。

(あおやぎ)