フリジッド・ガゼット【all the footprints I’ve ever left】 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-12-12

[] 激情系とブラックメタルの幸福な結婚

空洞(クウドウ)

空洞(クウドウ)

ブラックメタルを基調としつつも、そこに90年代以降のハードコアの豊饒な成果を惜しみなく導入することで、「いわゆるメタル」の域に留まらないサウンドスケープを達成している。

たとえば、叙情派ニュースクールや激情系ハードコアの影響が色濃い、ギターの音作り。音圧は高いものの、一音一音の分離が聴き分けられる程度に歪みが抑制されている。その為、激しい中でも単音/和音/分散和音の使い分けが際立ち、結果として混沌としつつも情感豊かなエモーションが表現されている。

またリズムパターンが豊富で、この手のエクストリームミュージックにありがちな単調さを回避することに成功している。具体的には一曲の中での、ツーバスブラストからスラッジコア的スローパートまでの使い分け。曲全体の展開に激しい起伏が発生し、それはそのまま、聴き手の感情に振れ幅の大きい起伏を発生させる。

特筆すべきは演奏力の高さなのだが、それは決して自己目的化してしまってはいない。たとえばギターの早弾きフレーズは、彼らにおいては決してテクニックのひけらかしではなく、切迫感や悲壮感を喚起する、感情表現の手法として成立している。それはもちろんブラストビートも然りである。


個人的に印象深いのがM5「諦めに届かぬ反復行動」。以前V.A "ARTICLE OF PARADE" に収録されていた曲のリアレンジであるが、当時よりもさらに壮大な楽曲へと進化している。

コーラス深めにかけたクリーントーンアルペジオから始まり、やがて三連符の轟音ウォール・オブ・サウンドへと至るこの一曲は、音源においてもライブにおいても彼らの代表曲としての地位を確立している。


それにしても、これだけのサウンドスケープをスリーピースで実現しているのには驚かされる。決して録音技術でズルをしているのではないことは、ライブを観れば一目瞭然である。この点も忘れずに付記しておきたい。


COHOL myspace: http://www.myspace.com/cohol6

COHOL youtube : http://www.youtube.com/watch?v=Kdo68HJcmcc