分裂勘違い君劇場 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2006-02-16

エンジニアの方が優れたユーザインタフェースデザインができる理由 22:39  エンジニアの方が優れたユーザインタフェースデザインができる理由を含むブックマーク  エンジニアの方が優れたユーザインタフェースデザインができる理由のブックマークコメント

それから、これは個人的な意見ですが、プログラマはコンピューターの扱いになれているから、そうでない人が使うためのインタフェースを設計することができない、みたいな話をときどき耳にしますが、僕はそれに懐疑的です。インタフェースをうまく設計できない人というのはプログラマに限った話じゃない。それは「プログラマは営業ができない」と乱暴にまとめてしまうのと同じようなこと。

たぶん、プログラムができるかできないかということと、インタフェースをうまく設計できるかできないかというのはあんまり相関がないように思います。むしろコンピュータの世界では、プログラマは頭のなかで思い描いたインタフェースを実現する手段を最も良く知っている部類の人で、インタフェースを作るセンスさえ持ち得れば、それ作るのにもっとも適した人たちなんじゃないかと思います。

naoyaのはてなダイアリー - インタフェースの話

知り合いの会社では、半期ごとだかクオーターごとだかに、その期に、もっとも優れた働きをした社員を表彰します。

その賞には、ベストテクノロジー賞、ベストマーケティング賞、ベストマネージメント賞、ベストデザイン賞、ベスト企画賞、ベスト営業賞などなど。候補は、経営会議で真剣に議論されるそうです。*1

そして、面白いのは、マーケティング部、デザイン部、営業部があるのに、よく、エンジニアがベストマーケティング賞、ベストデザイン賞、ベスト営業賞をとることです。もちろん、ハンデなしの競争です。まったく対等に戦って、エンジニアがプロの営業やデザイナーに勝っちゃうことって珍しくもないらしいんですよね。*2

そういう、マーケ、デザイン、企画、営業などの職種って、「相手の気持ちの動きを、自分の脳内でどれだけ的確かつ精密にシミュレーションできるか?」という、「気持ちシミュレーション能力」みたいなので、基本的能力がきまっちゃうことがあって、それが弱いと、どんなに営業スキル、デザインスキルを積んでも、「気持ちシミュレーション能力」の高い素人に負けちゃうことが多いんですよね。

つまり、営業にしろ、企画にしろ、デザインにしろ、「相手がそれをどのように知覚するか」、という「相手の目から見える世界」というのを、自分の脳内にリアルにイメージできるかどうかで、かなり勝負が決まっちゃうというか。

で、ここからが、本題なのですが、ユーザインタフェースデザインで、エンジニアをとくに有利にしているのは、デザイン的に重要な「シーズ」を握っているからなんだと思うんですよね。

商品やサービスが成功するパターンって、ニーズドリブンなパターンと、シーズドリブンなパターンがある。人々のニーズを調査・分析し、的確にとらえてヒット商品を生み出すのが、ニーズドリブン。ところが、いくら人々のニーズを調べたって、生み出せない商品というのがある。たとえば、テレビ。テレビが登場する前は、何万人にアンケート調査しようと、「テレビが欲しい」という人なんて、いない。見たこともないものを欲しがることなんてできない。つまり、テレビというシーズが、マーケット自体を創造したんです。

ところが、このシーズというのを見いだすのは、そんな簡単なことじゃなくって、どんな技術でもシーズになるというわけじゃない。シーズというのは、すべからく、人々の「潜在ニーズ」を掘り起こしている。ある技術を知覚したとき、その技術が掘り起こす潜在ニーズの大きさを感じ取るだけのマーケティングセンスがなければ、その技術がシーズになりうるかどうかは判別できない。

ところが、技術のわからないマーケターは、そもそも、技術がわからないから、そこに、シーズとなる技術が落ちていても、シーズ以前に、その技術がそもそもどのようなものなのか、認識することができない。認識できない技術のビジネス的価値など見いだしようもない。一方で、マーケティングセンスのないエンジニアは、その技術の仕組み自体は認識できるんだけど、その技術をどのように応用すればシーズとなるのか、「その技術が持つビジネス的意味」を認識できない。

で、「技術的にできることリスト」というのを正確に認識でき、かつ、同時に、それが持つマーケティング的、あるいは、デザイン的意味を認識できる人間が、シーズをきちんと掘り起こし、それを人間と社会にとって価値あるものにすることができる。ようは、この記事で説明しているハイブリッド問題と同じで、「デザインであると同時に技術でもあるような、ある一つの行為」をすることでしか、真にすぐれたインタフェースというのを作れない場合っていうのが、けっこうあるからなんじゃないかと。で、デザイナーにしてみれば、そういうデザイナーとエンジニアのハイブリッドみたいなやつが作ったクールなユーザインタフェースをみて「ええ? そんなことができんの? だったら、オレだって、こんなインタフェースにしたのに。」とか、悔しがるわけですね。技術を精密に認識できていないから、その技術で可能となるユーザインタフェースを十分にイメージできないわけで、いいデザインするための持ち駒の数が、ハイブリッド君よりずっと少なくって、不利なわけですよ。

あー、なんか眠くなってきたので、この辺で。

*1:会社として、どのような社員を優秀な社員だと定義し、そのメッセージを社員に伝えるか、ということなので、重要な経営事項なわけです。

*2:ちなみに、逆はないんですよ。マーケ部やデザイン部や営業部の人間が、ベストテクノロジー賞をとることはないんです。