2006-11-04
■経済成長以外のものを目指した方が、むしろ経済が成長する

ビジネスというのは、利益、利益、と必死こいて馬車馬のように働きさえすれば、利益がどんどん増えていくというようなもんじゃない。。。。というのは、みなさん、身に染みてご存じのとおり。
実際、自分の周りを見回してみて、
「利益目標や売り上げ目標ばかりを気にしている会社の方が、どんどん発展している」
なんてこともないでしょう。
また、「長期に渡り飛躍的成長を続けている、飛び抜けて優れた会社」をリストアップして調査したところ、それらの会社が、利益なんかより、その会社独自の企業文化、信念、立場、戦略を貫くことを優先させていることがわかった、というレポートもあるようです*1。
もちろん、そういう「飛び抜けてすごい会社」が、善良なビジネスしかしていない、という意味じゃないです。
たとえば、ウォルマートなんか、ろくでもないことはたくさんやってるでしょう。
しかし、ウォルマートが「単に金儲け主義の会社だから、あれほど成功したのだ」と考えてしまうのも違うのではないかと。
実際、ウォルマートの粗利は、ものすごく低い。
つまり、仕入れ値と売値の差額が小さいということ。
なぜかというと、「安く売れば客が来る」という信念を持っているから。
もっと粗利を大きくした方が儲かるようなケースでも、粗利を大きくすることで儲けようとしたりはしない。
「もっと高く売れるのに、なぜ高く売らないのだ?」と社内で叫んでも、誰も聞いちゃくれない。
それは、会社の戦略と言うより、むしろ、ほとんどカルト的とも言える企業文化だから。
また、ウォルマートは、広告を極力出さない。
広告費を掛けると、その出費を商品価格に上乗せしなきゃならなくなり、安売りができなくなるから。
そして、安売りは、彼らの信念。もはや、理屈じゃない。信仰。
だから、もっと広告を出せば、より多くの人が集まって儲けが大きくなることが分かっていても、それをしない。
また、バーゲンセールを極力やらない。
バーゲンセールというのは、一時的な安さにすぎないから。
一時的な安売りのときだけ安くして、通常価格をそのままにする、というのが受け入れられないから。
バーゲンセールのような、見せかけの安さではなく、「本当に安い」ことが重要みたい。
だから、毎日、極限まで安い価格で売る。毎日がバーゲンセールみたいなもの。
これ以外にも、ウォルマートは、数々の狂信的なこだわりを持っていて、利益目標なんかより、それらの狂信的なこだわりの方をずっと重視する。
もちろん、ウォルマートの場合は、たまたま「安売り」を信念としている、というだけの話で、成功する企業の企業文化や信念には、もっといろいろなバリエーションがある。
しかし、ここでの教訓は、単なる利益追求を第一の目標にしてはうまくいかない、ということ。
日本の経済成長も同じ話で、単に経済成長を目標にしても、うまくいかない。
どんな信念でもコンセプトでもいいが、単なる経済成長とは、別の理想と目標を目指した方が、結果として、長期的に安定した、より高い経済成長がもたらされるのではないだろうか?
たとえば、日本よりも授業時間が少ないにもかかわらず、OECDの国際的な学習到達度調査(PISA)でトップの成績をあげたフィンランドの教育システムは、なんと、「各学校の校長にカリキュラムを決める裁量権が与えられている」などをはじめとして、日本の教育制度からみるとほとんど奇想天外なほどのユニークさがある。*2
このような独特の教育システムが、結果として、将来のフィンランドの国力の源泉となっていくかもしれない。
そんでもって、フィンランドは、単に経済成長ばかりを目標としてがんばってきた国なんかより、よっぽど高い経済成長をすることになるかも。
相撲取りとか、よくインタビューで、「勝てそうですか?」と聞かれて、「自分の相撲をとるだけです」とか答えてますよね。
あれって、けっこう本音だと思うんですよ。
日本も、経済成長よりも、「自分の相撲を取る」ことに注力した方がいいのではないかと。
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