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fskuitの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-08-27

横須賀美術館のブルーノ・ムナーリ展に行ってきました。

横須賀美術館で行われているブルーノ・ムナーリ展に行ってきました。なんと会期は29日(日)までです、まだ間に合います! 気になっている方はぜひ行ってみて下さいね。


横須賀美術館ですが、2007年と割と最近のオープンなんですね。私は今回初めて行ってみました。HPを見てもわかりますが、観音崎にあって、海が眼の前です! 非っ常に開放感のある建物です。

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屋上からの光景です。

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外観はこんな感じです。空とは別の水色がきれいです。


さて、ブルーノ・ムナーリ展です。私は2007年の板橋区美術館での展示には行けなかったので、申し訳ないのですが展示の重複などはわかりません。


入ってすぐの展示室は、さすがムナーリ展ということで、実際に手で触っていい作品の部屋になっていました。「本にであう前の本」という正方形のかわいらしい文字のない本のシリーズ(文字がない代わりに服のボタンがあったりしますw)、透明フィルムにイラストが描かれていて、重ね合わせることでコラージュが生まれる作品がありました。子どもと一緒に来たらここだけでずっと楽しめそうです。


「目の見えない少女のための触覚のメッセージ」という作品は、レプリカが触れるように吊るしてあって、実際に目を閉じた状態で触っていると、感触が最初に入ってくるというのはこういうことかと実感しました。感触からはなかなか何なのか判断できなかったものが多かったです。人工芝とかたわしとかw

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図録より、左が「目の見えない少女のための触覚のメッセージ」


進んで行くと、ネガポジが一瞬混乱するような色彩構成の作品や、板を折り畳むことで出来上がっている折り畳める彫刻など、アイデアにあふれた作品が展示されています。

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図録より、「ゼログラフィーア」。コピー機を使った作品。

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図録より、「役にたたない機械」。名前がちょっと未来派っぽい???


作品に共通しているかなと思うのは、既存の概念をちょっとはみ出した視点から見て面白がっているような、ユーモアのセンスにあふれていることかなと思います。「え? なになに? それってどういうこと!?」と思わず身を乗り出してしまうような魅力的な「問いかけ」を、デザインを通じてやっているような。。。


以下ちょっと余談。


横須賀美術館ですが、サイン計画は廣村正彰さんによるものです。いわゆる「スイス的」なピクト以降の雰囲気をもったもので、すごくやわらかなやさしい印象を受けました。こういうやわらかな空気感が2000年代、2010年代のデザインの空気感をつくっていくのかなーと。以下のサイトに紹介があります。

横須賀美術館、其の壱:サイン編: 今日の献立ev.

http://ubukata.cocolog-nifty.com/my_favorite_things/2009/06/post-8330.html


私が昔書いたエントリです。ムナーリの「木をかこう」の話とブラックメタルのロゴを絡めて書いてみた、私にしか書けないんじゃないかwという視点のエントリです。

君もブラック・メタルのロゴが作れる!(かも…?)

http://d.hatena.ne.jp/fskuit/20090516/1242490114


以下もっと余談。


熱が夏いので思わず海のほうにも行ってみました。

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ビーサン履いてきてよかったw

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海からすぐ山で、ポニョの舞台みたいです。リサの暴走カーが走ってきそう。

2010-06-11

見えない枠組みを意識する。


 余白の項目でも触れたのですが、デザインといっても、何も目に見えているものだけを扱っているわけではありません。見えているものが当てはまっている枠組み、そんなところを設計することから、既にデザインは始まっています。


 他のエントリを見てくださった方は気づかれると思いますが、このエントリでは、一行あたりの文字数を減らしています。改行するまでの文字数が短くなり、他のものよりは読んでいて少し忙しい感じがするかも知れません。こういった忙しい雰囲気は、例えば雑誌やタブロイドなどの活気のあるムードや、鮮度の高さを伝える時にぴったりです。


 一方、文字数が減っていることから、段組みのまわりの余白が増えています。こうした余白をマージンと言います。一般にマージンを大きく取っているデザインは、高級感を伝えたいときに向いていると言われています。


 一行の文字数が減ることによって文章に活気や勢いが生まれます。しかし、文字数が減ってそのままスペースが減っていると、活気や勢いとはおよそ正反対の雰囲気の静かさ、高級感が出てくるので、もし演出したいのが活気であるなら、何か別の要素でスペースを埋める必要があるかもしれませんね。


 建物では土台が大事と言われますが、マージンはデザインの土台と言えるかもしれません。マージンという見えない枠組みを土台に、その中の各要素のせめぎ合いの中で、全体を一貫したトーンの中に収めていきながら、デザインは成り立っていきます。



Question :

お菓子が高級であるほど、増えていくものはなんでしょう?

2010-06-07

見えてくる順番を設計する。


 名刺のデザインは、新人デザイナーの習熟具合を見るのにうってつけの題材です。小さなカードに情報をどう配置するか。つまり、伝える情報を把握して、優先順に並べるということができるかどうか、一目でわかるのです。


 優先度の順で並べる、といっても、上から下へ(または右から左へ)杓子定規に配置する他に、様々なバリエーションが可能です。「会社名」より前に、「名前」をずっと大きい文字で置けば、名前の優先順位が高く表現されて、その人は会社名よりも個人の名前で勝負をしている、というニュアンスが出て来ます。そうしたニュアンスまで含めた様々な見え方を設計して、その人の総体を表現しようとする作業ですから、なかなか侮れない題材なのです。


 これが例えば雑誌のデザインであれば、雑誌のテイストによっては、読者の目線を動かすことで誌面に躍動感を作り出す目的で、タイトルをページの初めではなく、(縦組の本であったら右下などの)わざと中途半端な位置におくことがあります。定石通りの順序をずらして、画面に少し気取った雰囲気を感じさせることができるのです。しかし、そうした際にも、タイトルがまず一番に目を引くように、ページの中で一番大きいサイズで配置したり、それなりの空きの中に配置するなどの配慮が必要です。こうした配慮が、情報の優先順位の設計と言えるのではないかと思います。


 こうして、色や形、そして画面の中でのそれぞれの要素の位置関係を調節して、優先順位に従って情報が伝わるようにすることが、デザインがコミュニケーションとして成り立つための最初のステップといえます。


Question :

あなたの名刺で、最初に見えてくるものは何ですか?

文字のリズムを意識してみる。

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 横丁の八っつあんとご隠居の会話ですが、八っつあんとご隠居で、文字の調子が違って見えますよね。八っつあんの話は息切れするような慌てた調子で、畳み込まれるように読まされる感じがするのに対し、ご隠居が慇懃に対応するような印象まで伝わりますでしょうか。これは八っつあんのせっかちな印象を文字を詰めることで、そして、それにゆっくり対応するご隠居の様子を文字の間を開いて見せることで、試しに表現したものです。


 また、こうしたリズムは詰めだけではなく、文字のサイズの差でも表現できます。見出しと本文のサイズの差が大きいと、見出しに注目が集まり、誌面に活気や勢いを演出できます。一方、このサイズ差が小さいと、文字組みには静かで丁寧な印象が生まれます。


 例えば冒頭の八っつあんの台詞なら、ご隠居の台詞より文字サイズを大きめに設定し、また、八っつあんの台詞自体のなかでも「てえへんだ」という部分を見出し的に大きくしたりすると、駆け込んできたような勢いをより強く表現できそうですね。また、そうした工夫が,加工の無いご隠居の文章の静かさをより際立たせるでしょう。


 何気なく流れている文章にも、文字の空きや詰め、そして大きさを調節することによって、表現したい内容にあった固有のリズム作って、個性を出すことができるのです。


Question :

もしもあなたの伝記が出るなら、文字はどんなリズムになるでしょう?

2009-05-30

一番目立つ色、それは?

 やはり赤でしょうか? それとも意外に青? 黄色も工事現場に使われているように、注意色として強い存在感があります。では、どの色を使えば目立たせることができるのでしょう?


 答えは実は意外にも紫! といった具体的な色名ではなく、何色でもよい、というのが答えになるかなと私は思っています。というのは、ある画面のなかで目立つかどうかというのは、他の色との関係性に関わってくるからです。


 たとえば赤が目立つという印象があるのはなぜか、ということから考えてみましょう。テストに点数が書かれるときは赤ですし、「赤字」といえば修正の代名詞です。その際、テストであれば印字は黒、書かれている解答も黒、習字に赤字が書き込まれるときにも、元の文字は墨で書かれているわけです。つまり、白黒の画面の中で、赤は唯一の色彩として存在するために目立っているのです。


 これが様々な色彩の中に混在している赤であれば、そこで赤が目立つかどうかは、扱われ方次第と言えるでしょう。逆に言えば、色を使って目立たせたい場所があるときには、その色が目立つ仕組みを作ることが必要だということなのです。そうした仕組みを整えれば、どんな色でも目立たせることができるのです。


 濃い暖色系の地色に入りこんだなら灰色でも対比として目立ちますし、さまざまな色彩があふれたパレットのような画面のなかでは、実は黒が一番目立ってくるということもあるでしょう。肝心なのは、訴えたいメッセージを一番引き立ててくれる色は何色なのかを考え、そしてその色が画面のなかで存在感を持つような仕組みを設計し、作り上げることと言えるでしょう。



Question :

"google"のロゴの色、何色が使われていたか思い出せますか?

2009-05-23

「大きさ」は相対的。

 春の夕暮れ、昇ったばかりの月の大きさに驚いたことはありませんか? ビルにかかる月の模様を確認したりします。どちらがウサギのあたまかな?


 しかし、月の大きさは昇ったときから中空で変化しているわけではなく、実は大きさは常に一定です。これは、中空にある月はサイズを比べる対象が無く、空全体と大きさが比較されるために小さく感じられ、他方、昇ったばかりの月は、木や建物など、地上の様々なものとの比較でとらえられるために大きく感じられるせいだ、といわれています。


 実際には直径3,500kmもある月が、中空でその大きさを感じないのは、もちろん地球から遥か遠く離れているからです。これがもし月が地球に近づいてきて、空を覆わんばかりに見えているのなら、その大きさは自明ですよね。空をキャンバスと想定してみれば、地に対しての対象物は、文字通り大きい方がその大きさが伝わるのです。地に対しての占有率が、サイズの見え方に直結しているといえます。


 一方で、空の端にある月の大きさを感じる、そのとき私たちは、対象物との比較において月の大きさを感じています。このような比較において大きさを感じるとき、その比較に差があればあるほど、大小の差は際立って感じられます。この見え方をうまく使えば、地への占有率とは別の次元で、大きさを演出して見せることができるのです。


 月の隣にビルが建っているのよりも、かごに来客を乗せた自転車がぽつんと浮かびあがっている、そのほうが、ずっと月の大きさ(そして逃亡者のささやかさ)が印象づけられること、あなたはもうご存知ですよね。


Question :

実物を見て、先入観とはサイズの印象が変わったものはありますか?