南極で客船エクスプローラーが沈没

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南極で客船エクスプローラーが沈没

クルーズ船がまた沈没です。

南極大陸沖でクルーズ客船エクスプローラー(2398トン)が海上で物体と衝突し沈没しました。船主のGAPアドベンチャー社によると乗船していたのは乗客 100人(日本人1人含む)と乗組員54人で、たまたま近くを航行していたノルウェーの船に全員救助されました。エクスプローラー号は大西洋南部や南極などを19日間かけて航行するクルーズに就航し、12日目に事故に遭い沈没に至ったとのことです。原因はあきらかになっていません。建造は1969年でした。

今年はエーゲ海ルイス・クルーズラインのシーダイヤモンドがエーゲ海で沈没したのが記憶に新しいところです。またフジテレビ系列の番組「奇跡体験!アンビリバボー」で『実録沈没する豪華客船!!』というタイトルの放送がありました。これは1952年建造のオシアノス号が1991年に南アフリカ沖で沈没した事件です。この時は船の安全管理が誠にお粗末で、老朽設備の破損から、海水が進入し、本来なら沈没するはずのない安全装置が次々と管理不良で突破されて、沈没に至るというものでした。そして何より問題なのは、乗客優先のはずの乗組員が、船長を初めとして我先に逃げ出して、乗客を置き去りにした無責任さです。

そこでふと疑問がわき起こりました。「なぜクルーズ客船のように多くの乗客の命を預かる船がダブルハル(二重底)でないのだろうか」ということです。親切な読者が次のように教えてくれました。これは業界全体の総意ではなくて一部の識者の意見ととらえて下さい。

最近は、ダブルハルと謳っているフェリーが就航し始めたが、まだ一般的でない理由として、
?フェリーや客船は、相当の水が浸入しても沈まない様に、貨物船などに比べると格段に防水に関して設計・検査基準が厳しくなっている。そのため敢えてダブルハルにする必要がない。
?鋼板を大量に使用しなければならないので、コストが上がる。
?窓の取り付けなどデザイン面で難しい。

またオシアノス号の沈没の遠因となった排水系も海水に対する耐食性のある亜鉛メッキをした鉄材が使用されていることが多いようです。しかし同時に亜鉛メッキもキチンとした保守点検がなされてこそ有効です。船会社が乗客の安全第一の観点にたって、基本的な事項を死んでも守る姿勢を示しているところの船を利用するのが一番重要であることは船舶も航空機も変わりませんね。

事故というものは「たまたま」が三回続けておこるような、通常ではありえないことが原因で起こります。クルーズでは私達もとかく浮かれた気分になりがちですが、退避訓練には気合いを入れて臨むことが乗客サイドにも必要だと痛感しました。

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm