栄光の銀の城

fujigelge2013-02-19

どうも、ゴールド・アームです。
ウソです藤です。
この前、ふと、自分に子供がもし出来た時、自分の子供に見せたいアニメや特撮作品を挙げるとすれば何か?と言うのを風呂場で考えてまして。
そこで私が厳選して選んだのが特撮作品なら<未来戦隊タイムレンジャー>と<仮面ライダークウガ>と<仮面ライダー電王>で、アニメなら<出崎統家なき子>と<ガンバの冒険>と<絶対無敵ライジンオー>と<疾風!アイアンリーガー>に落ち着きました。
家なき子ガンバの冒険は出崎作品なんですが、絶対無敵ライジンオーと疾風!アイアンリーガーは確か90年代前半の同じような時期に放送されたアニメで、この4つのアニメの共通点と言えば、アニメ制作者が子供相手に本気で何かを伝えようとしてるという部分です。
自分が子供だった頃は、アニメや特撮を見てる時、
「これ作ってる大人はオレらを子供だと思ってナメてるな」
というのを敏感に感じてまして、そういうのが伝わると冷めるので、これらの作品を子供の頃に見せておけば将来犯罪者にはならないだろうというチョイスです。
で、疾風!アイアンリーガーは私が二十歳そこそこの時に見てたアニメで、当時おもしろかったという記憶があるんですが、もしかしてこれは思い出補正も加わってるんじゃないかと思ったんですよ。
なんせキャラクターデザインが当時流行ってたスーパーディフォルメ、所謂SDで、なんとなく一見子供をナメてるようなデザインでしたから。

そんでちょっともう一回最初の触りだけ見返してみようと思ってネットで動画探して見出したら続きが気になって止まらなくなり、結局最終話の52話まで見てしまいました
結論としては今見てもおもしろい。
まず設定がおもしろいです。
この作品、近未来のSFモノなんですが、この時代にはアイアンリーガーと呼ばれるロボットがサッカーや野球などのスポーツをするアイアンリーグというモノに人々は熱狂しているというところから始まります。
しかしスポーツとは名ばかりで、そこではロボット同士がラフプレイで相手のロボットを壊し合い、それを見て人間たちは熱狂してまして。
で、そのアイアンリーグや、そこでプレイをするロボットであるアイアンリーガーを牛耳っているのがダークスポーツ財団というところで、そのトップにいる人間がギロチという巨人軍のナベツネみたいなアイアンリーグを金儲けの道具くらいにしか思ってない奴なんですよ。
あれ絶対モデルはナベツネだろうな。
で、ギロチは自身が所有してるチームにえげつないラフプレイをさせ、人々を熱狂させ金儲けしているというのがこの物語りの入り口です。
そこで、マグナムエースという本編の主人公のロボットが突如ラフプレイを一切しない万年最下位の弱小サッカーチーム<シルバーキャッスル>に現れ入団します。
そして客である人間やラフプレイばかりする他のアイアンリーガーが、マグナムエースとシルバーキャッスルのメンバーを通し本当のスポーツの素晴らしさに目覚めていくという話です。
これの何がおもしろいのかと言うと、まずロボットモノなのにバトルシーンがないというところですね。
一応ラフプレイという部分でサッカーや野球の試合で脚や肩にドリルを仕込んだアイアンリーガーがぶつかり合うというシーンがあるんですが、正々堂々スポーツをプレイしたい主人公たちのチーム、シルバーキャッスルのメンバーはただそのラフプレイに耐えるだけで、それは一方的なリンチであってバトルとは呼べないモノになってまして。
ここで相手と同じようにバトルをすればこのストーリーの根幹がグダグダになるワケですよ。
バトルシーンが必然的に多くなる空手や柔道やプロレスなどの格闘技を敢えて避け、チームプレイが主な団体球技をメインにして、この辺の<正々堂々>というテーマをわかり易く描いてるのがミソです。
あと、アイアンリーガーというアニメの良いポイントは、もし、このラフプレイを人間に置き換えた場合、痛々しくて生々しいんですよ。
不当な暴力に耐えているのが血の出ないロボットだから子供に見せられるんです。
でも、ロボットだからと言ってもアイアンリーガーは人間と同じような感情を持つ感情回路も備わっているので、酷い行為を受けてるコトには変わらないワケで、<このままやられると壊れるかもしれない>というところで見てる側は感情移入もできるワケですよ。
この人間じゃなくロボットである必然性がある設定がおもしろいんですよ。
あとロボットのスポ根モノって言う発想も今までなかった大きなおもしろいポイントです。
で、そこから話は発展して行き、このダークスポーツ財団はアイアンリーグでそこそこ結果を残した選手である優秀なロボットを突然強制引退させ武器商人に兵器として売るという、アイアンリーグには隠された黒い実体があるコトがマグナムエースによって次第に暴かれていくんです。
まさに奴隷や道具のようにロボットたちは扱われて行くんですよ。
これも人間に置き換えると痛々しくて生々しいところです。
こういうシリアスな展開もロボットでおもしろく見せるコトが出来るのがアニメの強みですね。
そして主人公のマグナムエースは過去にダーク財団に在籍していた選手だったという事実が物語中盤で明かされます。
マグナムエースは当時ダーク財団に知らないうちに強制引退をさせられ、武器商人に売られ過酷な戦場から帰ってきたアイアンリーガーだというのがわかり、何故マグナムエースは頑なにラフプレイを嫌っていたのか?とか、何故マグナムエースはアイアンリーグをスポーツマンシップに則った試合にしたいのか?という動機が追々わかって行くんですよ。
そして兵器にさせられる実体を何も知らずにラフプレイばかりするアイアンリーガーたちや、ロボットの潰し合いに熱狂する客である人間たちにシルバーキャッスルのメンバーは終始正々堂々とプレイする姿を見せ、最終的に武力を使わずにアイアンリーグと武器商人の腐った繋がりを絶つコトに成功するという一風変わった最終目的を達成させるロボットアニメです。
あと、これはアニメ作品なのでケレン味というのも忘れてません。
ロボット同士に友情が芽生えたり、ラフプレイばかりするアイアンリーガーがスポーツの素晴らしさに覚醒した時に出る
「オレのオイルが沸騰するぜ!!」

「お前のサビ付いた回路に熱きオイルを注ぎ込め!!」*1
などの本気とも冗談とも取れるキワキワの名台詞や、キャプテン翼少林サッカー以上のバカシュートも炸裂してくれます。
まあ、だいたいこういうストーリーで、もし自分に子供が産まれたら<何があっても絶対汚いコトはするな>というのをこれで教えるコトができるなと。
でも、そんなのどうでも良いくらい普通に楽しんで見てしまった。
しかも52話も!!
でも、もし自分の親がアニメを52話も一気に見てたらオレはそんな親は尊敬しないだろうな。
よし!
子供なんか作らないぞ!
以上。

*1: