琥珀色の戯言 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2005-09-28 もう、個人サイト業界への「新規参入」の時代は終わった(1)

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 『テキスト庵』という「段落文体サイトのリンク集」にて、ちょっとしたコップの中の嵐が起こっている。人気サイトが固定しがちで、「新しいサイト開拓のために役立ててもらいたい」という『テキスト庵』管理者側の意向にそぐわない形になりつつあるということで、このたび、「Hot in six Hours」という、「最近6時間のアクセス数」の表示という新機軸が打ち出されたのだ。最初は「24時間のアクセス数」だったのだが、それだと結局、今までのアクセス数上位者が上位に居座ったままになってしまうということで、管理者側は、1時間、3時間、6時間、8時間…などというかなりのテストを実際にやってみて、この「6時間毎のアクセス数」という結論に達したということだ。確かに、その前までの24時間毎よりは、流動性もあるんじゃないかと思われる。

 でも、そんな中でも、「やっぱりいつもの常連上位サイトばかりが得をするから、いっそのこと「アクセス庵」(一週間のテキスト庵からのアクセスの累計上位サイトを集計したもの)の上位サイトは、カウントしないようにするべきだ、という意見が出てきたり、上位グループからの「そういう発想は、上位者の日頃の努力を踏みにじるものだ」という意見が出てきたりしている。いやまあ、どちらの言い分にも一理はある。

 まあ、僕自身は、「テキスト庵」に誰も読んでくれなかった時代に拾ってもらった経験があるので、むしろ「新しい書き手を見つけ出す場」としての機能を重視するというのは、良い傾向じゃないかと考えているのだが。

 僕がヘンにネット慣れしてしまったからなのかもしれないが、最近、新しく面白いサイトを見つけることがどんどん難しくなってきているような印象がある。前述の「テキスト庵」は、昔はそれこそ「梁山泊的」なひと癖もふた癖もある書き手が集まっていたのだが、最近は、そもそも段落文体じゃねえだろ!というようなものがけっこう多いし、内容的にも、「だから何?」と言いたくなるようなものの割合が高くなっているような気がする。

 「さるさる日記」「エンピツ」などの「日記ツール」によって敷居が低くなった個人サイトというのは、近年「ブログ」によって、さらにその開設への敷居は低くなった。それはもう間違いない。少なくとも「WORD」で文章を書けるくらいのスキルさえあれば、「個人サイトデビュー」できるようになったのだ。でも、その一方で、「誰かに見つけてもらう」というのは、どんどん難しくなってきている。

 「テキスト庵」の「週刊アクセス庵」によると、最上位のサイトで、一週間に190アクセス、要するに、1日あたり30アクセスもないことになる。無視はできないアクセス数だが、その一方で「Read Me」で1日のアクセスが100番以内に入るようなサイトは、「テキスト庵」には登録していない。なぜかというと、もちろん「段落文体ではない」ことが大きな理由なのだろうが、それとともに「更新報告しても、費用対効果に乏しい」という判断がされているのだろうと思う。

 そんな「コップの中の世界」で、「順番」にこだわる人が多いのは、僕のような「テキスト庵愛好者」が多いのと同時に、「個人サイトというのは、現在、アクセスデフレの状態にある」ということも影響しているのだろう。

 前記の「Read Me」にしても、例えば「500位以内に入るため」の必要アクセス数は上がっているのだが、上位を占めるのは、ニュースサイトや情報系、ゲーム攻略サイトが多くなってきている。「エンピツ」の1日単位のアクセスランキングにしても、以前は平日に200位以内に入るには、1日100アクセスは必要だったのに、現在は80くらいがボーダーラインだ。

 そもそも、発信する人が増えるにつれ、母集団は多くなるのだから、「みんなに読んでもらえるサイトに成長できる確率」というのは、次第に減っていくわけだ。ましてや、企業サイトや有名人ブログが次から次に出てくれば、多くの個人サイトは、大きくなる前に、あまりの「やりがい」のなさに潰れていく、ということになる。たぶん、現在では「サイトを続けていくこと」そのものがひとつの関門なのだ。

 さらに、これだけ全体のパイが決まっている中で、母集団が増えるとどうなるかというと、要するに「勝ち組による囲い込み」がはじまっていくのだ。いわゆる大手サイトは、仲良くすることでリターンが期待できる大手サイトと連携しようとして、大手サイト同士で人を巡回させていくようなシステムを構築してしまう。いや、実際に「ネタを拾う」立場になってみると、やっぱり、「それなりに実績があるところ」を巡回したほうが、はるかに効率が良いというのも事実だし。ニュースサイトにだって時間的制約がある以上、より高い確率でネタを提供してくれるサイトを選別するようになるのは当然だ。そもそも小さい個人サイトというのは、最初に紹介してくれる人さえいないのだから、といえばそれまでなのだが。

 無人島でどんなに努力してみても、「友達」ができないのと一緒だ。

 かくて、個人サイト界では、声が大きくて傍若無人で場の空気が読めない新人くらいしか、「大人」になれないという、魚の産卵のような事態が起こっているのだ。

 「テキスト庵」にこだわる人が多いのは、「テキスト庵」というのが、現在残存している、「新規参入者にとっての数少ないアピール可能なツール」のひとつだから、なのだと思う。「日記才人」とかでも、よっぽどセンセーショナルなことを書かないと、他人の目に届くところには到達できないし、「ジャンル別新作日記」まできちんと見ている人というのは、ほとんど皆無なはずだ。その取り上げられ方はさておき、「2ちゃんねる」にでも取り上げられないと、急激なアクセスアップは望めない。

 ある程度「個人サイト」として軌道に乗る確率というのは、昔がサケの産卵だとすれば、確かに、今はマンボウの産卵レベルだよなあ、実際。

 というような状況なので、最近の個人サイトというのは、どちらかというと、「特定の来訪者との強いつながり」を重視するようになっているような感じもする。はたから見ていると、管理人にストーキングしているのではないかと思うくらいに、他人のサイトやブログで自分語りをしている人々もいるくらいなのだが。

 確かに、サッパリ人気の出ない自分のサイトをやるよりは、人気サイトで管理人にストーキングしていたほうが、はるかに多くの人に読んでもらえそうだしね。

 「ブログは簡単にできる」とか言うけれど、「簡単に多くの人に読んでもらえる」という時代ではないのは事実だ。ライブドアの堀江社長は、僕個人としては友達になれそうもないし、してくれそうもないキャラクターだけれど、「IT産業」という新規参入が相次いで競争が激烈だった世界で、「目立つ」という目的は十分に達成している。まずは目立たないと、選択肢に入れてももらえないのだし。そして、いろんな問題を抱えつつも、ライブドアは、他のもっと地味で堅実な経営者の企業よりも栄えているのだ。好き嫌いはともかく、堀江社長がやったことには、「効果」はあったと思われる。「そんなことまでやるの?」と言われるくらい徹底的にやらないと「新規参入」というのは、うまくいかない時代なのだ。

おかげで、宣伝下手な優良サイトが、僕の知らないところでどんどん消えていってしまっているのだとは思うけれど。