琥珀色の戯言

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ツイッター 140文字が世界を変える ☆☆☆☆


ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)

ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)

内容紹介
ツイッター(Twitter)は個々のユーザーが「つぶやき」を投稿し合うことでつながるコミュニケーション・サービスで、2006年7月にサービスが始まりました(日本語版は2008年4月)。
当初、日本では大ブレイクというほどではありませんでしたが、2009年の春ごろから急激に普及しはじめ、ブログやSNSに続くコミュニケーション・ツールとして、著名人の参加、企業のPRツール、ニュース媒体としての成長など、新たな展開を迎えています。
今はまだ、世間から「よくわからないサービス」と思われがちなツイッターですが、知らないうちに普及していて、ブログやSNSのように、ビジネスユーザーを中心に、知らないと恥ずかしい、という状況になりつつあります。

本書では、ツイッターがなぜ流行ったのか、どのように進化したのか、今度どうなっていくのかについて、人気ブログ「ネタフル」のコグレマサト氏と、人気ブログ「みたいもん!」のいしたにまさき氏のお二人に、ツイッターのヘビーユーザーとしてお二人が経験したことも含めて、幅広く語っていただきました。
また、フジヤカメラやオンラインショップ「ビザビ」といったツイッターの影響力を感じさえてくれた事例を具体的に紹介しています。
さらに、「ヒウィッヒヒー」が話題になったアーティストの広瀬香美さんに、ツイッター上で行ったインタビューも収録!

本書をきっかけに、なんとなく知っていた、使っていたレベルのツイッターへの理解を、もっともっと深めましょう!

話題の「Twitter本」。近くの書店では見かけたときには最後の1冊だったので、かなり売れていそうです。
僕もTwitterを最近使い始めて、なかなか面白いな、と感じているところなのですが、本当にこの数か月のTwitterの日本での盛り上がりはすごい。
最初は、「何が楽しいの、これ?」って思っていたんですけどね。

この新書には、そんなに画期的なことは書いてありません。というか、あえてそうしてあるのでしょう。
こういう入門書としては、非常にわかりやすくてまとまっているし、Twitterの「現在の問題点」もきちんと書いてあります。
今の時期に続々と出てきている「Twitter本」の大部分が、「Twitterをビジネスに活かす!」みたいなタイトル・内容であるのに比べると、「現時点では、(ビジネス的な)即効性はほとんどないと思う」と率直に述べてあり、「Twitterには、こんなに面白いことや、将来の可能性があるよ!」という「希望」を読者(これからTwitterをはじめてみようと思っている人)に投げかけることを主題にしているように感じられたのには、すごく好感が持てました。著者のお二人は、本当にTwitterが好きで、その可能性を信じているのだなあ。

 タイムライン上には、自分のつぶやきを発言するための画面があります。そして、驚くべきことに、ここまで長く話をしてきたツイッターの画面というのは、基本的にこの一つの画面だけなのです。このシンプルさ、これがツイッターです。しかし、このタイムラインで一番大事なことがあります。
 タイムラインには、前述のように自分がフォローしている相手の発言が時系列で表示されますが、その特徴は「全く同じ画面を見ている人は一人もいないし、その画面を再現することも不可能」ということです。
「今」を共有するから、「今」だけを表示すればいい。だから、ツイッターにおいては「今見られなかったものは、もうなかったもの」として考えればいいのです。
 そして、「今」が面白いとき、その情報の伝播のスピードをタイムラインが一気に加速させるのです。
 そう、日本にはいい言葉がありますね「一期一会」というやつです。決して「旅の恥はかきすて」ではないので、ご注意ください。

 そうなんですよね、僕のタイムラインは、僕だけのもので、そんなふうに自分のためだけにリアルタイムにカスタマイズされていくサイトというのは、今までのネット上には存在しなかった。そう考えるだけで、なんだか、Twitterってすごいな、という気がしてきます。
 中川昭一さんが亡くなられたニュースを、僕が最初に知ったのはTwitterでした。先日の台風のとき、僕が住んでいた地域は風がちょっと強かった程度だったのですけど、フォローしている人たちが、全国で「電車が停まっている!」とか「すごい雨!」とか呟いているのを見て、あらためて日本の広さみたいなものを感じたこともありました。
 僕自身は、正直なところ、Twitterが素晴らしいとか役に立つ、というような意識は現時点ではなくて、「世の中にはいろんな人がいて、いろんな生活をしているんだなあ」ということをリアルタイムに実感させてくれるツールなんですよ。
 ちょっとした時間の気分転換として、思いついたことを書いたり、タイムラインを眺めるのが楽しい。それ以上のものではないし、それで良いと思っています。

 ただ、Twitterもメジャーになってくるにつれ、いろいろと「しがらみ」が出てくることも予想されるんですよね。
 すでに、梅田望夫さんのこのTwitterでの発言が、はてな界隈で激しくバッシングされたことがありますし、Twitterも、「一期一会」の世界だとは、考えないほうが安全でしょう。
 「今見られなかったものは、もうなかったもの」だという観念は、もうそんなに長くは続かないかもしれません。

 この本で勧められている(そして、ネット上のヘビーユーザーのなかではよく言われている)「まず100人くらいをフォローして、タイムラインの流れをみる」というのも、僕の実感としては、ちょっと違うような気がします。
 もちろん、まったくの0からのスタートだと、「太平洋一人ぼっち」みたいな世界になってしまうので面白くもなんともないのですが、「おすすめユーザー」の多くは、ネット関係の情報に強い人やそれなりに名前が売れている人、企業などです。
 そういう「まずは有名人からフォロー」というスタートだと、「自分には興味のないネタで、有名人どうしが仲良くやっているのを眺めるだけ」という状況になってしまい、僕は全然面白くありませんでした。
 いま、こうして楽しめるようになったのは、このブログや他所でも「フォローしてください」とお願いして、たくさんの人にフォローしてもらえるようになったからであり、その「フォロワー」の人たちは、「僕に少しは興味を持ってくれている人」なわけです。僕にとっては、「ああ、こういう人たちが読んでいてくれるんだなあ」というのが実感できるという喜びもあります。
 ただ漠然と「有名人100人フォロー」をしても、これまでの「ネット人脈」みたいなものが無い人にとっては、Twitterは「しっくりこない」のではないかなあ。
 僕の個人的な見解としてですが、いわゆる「ネット強者」じゃない人は、まず、「ネットを通じてでも興味を持った人をまず10人くらいフォローして、その人が今日何をしていたのか、寝る前に一日一回確認する」くらいのスタンスではじめたほうが楽しめるのではないかと思うのです。
 「中川さんの訃報がどこよりも早く伝わってきた」のはすごいことだけれど、「普通に仕事をしていて、日中ずっとパソコンの前にいたり、しょっちゅうモバイル機器に触れる環境にあるわけではない人」にとっては、それが自分の人生にとって何の意味があるのか?と考えると、膨大なタイムラインを追うために失う時間ほどのメリットはありません。僕みたいに地方都市住まいだと、現時点では、「この辺に良い店ある?」って尋ねてすぐに返事をもらえるようなこともないし。
 媒体がTwitterになっても、そこに屹立しているのは、勝間和代さんとか小飼弾さんのような「既成勢力」でしかないわけだし、彼らは、Twitterだからといって、目新しいことを言っているわけではない。

 ああ、なんだかすごく脱線してしまいましたが、少なくとも、こんな僕にとっても、かなり役に立つ本ではありました。Twitter初心者にとっては、巻末のツールの紹介だけでも、かなり有用なのではないかと思います。少なくとも、「Twitter愛」は伝わってきますし、Twitterつまんねえ、とお嘆きの諸氏は、一度目を通して損はないはず。

 ツイッターの140文字では、なかなか世界は変わらないと思います。それで本を書いたりした人以外にとっては。
 でも、たしかに少しだけ、「世界の見え方が変わる」ような気はするんですよ。


僕のTwitterは↓です。ここまで読んでくださった方に、覗いてみていただければ嬉しいです。
http://twitter.com/fujipon2

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