琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

パシフィック・リム ☆☆☆☆



あらすじ: 2013年、突然未知の巨大生命体が太平洋の深海から現われる。それは世界各国の都市を次々と破壊して回り、瞬く間に人類は破滅寸前へと追い込まれてしまう。人類は一致団結して科学や軍事のテクノロジーを結集し、生命体に対抗可能な人型巨大兵器イェーガーの開発に成功する。パイロットとして選ばれた精鋭たちはイェーガーに乗り込んで生命体に立ち向かっていくが、その底知れぬパワーに苦戦を強いられていく。

参考リンク:映画『パシフィック・リム』公式サイト


2013年23本目。
日曜日のレイトショーで、3D吹替え版を鑑賞しました。
観客は僕も含めて5人で、お盆ウィークの最終日で映画館はけっこう賑わっていたにもかかわらず、ちょっと淋しい感じ。
ネット上ではすごく評価が高いんですけどねえ……宣伝不足なのか、ストライクゾーンに入る人が少ないからなのか。


冒頭、やや冗長にも思える世界設定の説明が行われるのですが、「2人がシンクロして載る巨大人間型格闘兵器」という設定には、僕の巨大ロボット&怪獣&特撮心が興奮しっぱなしでした。
こんなむさくるしいオッサンたちと、テカテカのメカで『エヴァンゲリオン』かよ!とかなんとか。


ある大きな悲劇のあと、イェーガーに再度搭乗することをためらう主人公に、司令官が「お前はずっとここで壁を作って、世界の破滅を待つつもりなのか?」と問われた次の瞬間に「じゃあやっぱり乗ります!」ってなったのには、ちょっと笑ってしまいました。
うーむ、これがハリウッド的なのか、それとも、上映時間が2時間ちょっとしかないからなのか?
エヴァンゲリオン』だったら、「僕がイェーガーのパイロットです!」になるまでに、30分はかかるだろうに。


この映画、おお、これはゴジラ!エイリアン!エヴァンゲリオン!ザンボット3!などと小ネタ満載なんですよ。
(もちろん、これらの作品も、相互に影響を与えあっているのですけど)
「人間ドラマ」には興味ないので、「アツいヒーロー映画ツクール」みたいな感じでベタにしてしまって、資源を最大限に巨大ロボットと怪獣と町の破壊に使う!
その信念に敬服です。


ストーリー的にツッコミを入れ始めると、「なぜ人間型格闘兵器である必要があるのか?ミサイルや戦闘機じゃダメなの?」とか、「モリマコどう考えても不適格だろ、いきなり暴走モードじゃねえか」とか「脇役には脱出ポッドも無いのか?」とか、尽きないところではあるのですけど、それよりも、ギレルモ・デル・トロ監督、ここまでやってくれたのか!すごい!これほど自分の趣味に満ちあふれた映画は観たことがない!と応援したくなるのです。
大丈夫か、予算足りてるのか?あと上映時間30分だぞ、監督がんばれ!でも時間ないぞ、まさかここで終わりで、『週刊少年ジャンプ』の10週打ち切りマンガみたいになるのか?


結果的には、最後までうまくまとまっているんですけどね。
作品そのものの素晴らしさ、というか、雨に濡れるイェーガーの光沢とか、エイリアンの造形のギーガーっぽさとかを愉しむ映画なんだろうなあ、これ。
元ネタさがし、とか。
終始ニヤニヤしながらエイリアンが暴れている姿を見ていた僕は、傍からみれば、さぞかし気味悪かっただろうと思います。
3D吹き替え版を観たのですが、菊池凜子さんが林原めぐみさんに吹き替えられていて、日本人俳優でも声を別人にアテられるのだなあ。もとは英語でしゃべっているのだとしても、本人の声でアテればよさそうなものだけど。
まあ、あの役に林原さんを起用したい気持ちもわかる。


個人的には、すごく楽しい映画でした(ちょっとだけ3D酔いしました)。
ただ、この映画の楽しさというのは「ここまでやってしまった同好の士を発見したという高揚感」みたいな気がして、この映画そのものが面白いのか?と問われると、正直あんまり自信ないんですよね。
巨大ロボットとか怪獣とかに興味がない人にとっては、「何このストーリーも怪獣もベタベタした感じのオタク映画?」って思われるのではないか、という気がします。
「そこまでやったこと」が、この映画の凄さではあるんだけれども、『アバター』は万人受けして、『パシフィック・リム』は観る人を選びそうなのは、「いつのまにか、テレビゲームのほうが、特撮や巨大ロボットよりもはるかに『ふつうの人のもの』になってしまったんだなあ」という感慨もあります。


これ、気になった人は、ぜひ映画館の大画面で観てほしい作品です。
こればっかりは、大画面じゃないと伝わらない面があるから。
そして、こういう作品が作られ続けるくらい、ヒットしてくれればいいなあ、と願っています。
実際は、日本での興行成績はかなり厳しそうなのですが……

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