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2016-01-21 【読書感想】本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方

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Kindle版もあります。

内容(「BOOK」データベースより)

「後で何か言われそうだから、言わない」「失敗が嫌だからやらない」…。しがらみも多い日常の中で、本音を言わずに、本心を殺して過ごしてしまうことも多い。しかし、自分に言い訳ばかりしていて、後悔はしないだろうか?世間の声に惑わされず、常に本心を伝え、本音で生きてきた著者。本書では、本当に後悔しない人生を送るために必要なことを伝授する。


 堀江貴文さんの「人生を後悔しない生き方のヒント」。

 僕は堀江さんの著書をほとんど読んでいるので、率直なところ、「堀江さんはブレない人だよなあ」と思いつつ、どこかで読んだことがあるような話を再確認、という感じでした。

 この新書が、はじめての「堀江本」という方には、読みやすいし、堀江さんの言いたいこともコンパクトにまとまっているのでオススメできますが、これまでの著書を読んでいると、あまり目新しいことは書いてないな、と。

 まあ、それは堀江さんの真摯さ、ではあるんですけどね。

 このペースで本を出していて、毎回違うことが書いてあったら、それはそれで嘘っぽいし。


 ものすごくシンプルにまとめてしまうと、「他人の目を気にせずに、自分のやりたいことをやれ」「時間をムダにするな」「言い訳をするな」「とにかく『今』を大事にしろ」ということなんですよね。

 ただ、こういうことを説得力を持って語りかけられる人というのは、そんなにたくさんはいない。

 堀江さんは、その数少ないひとり、なのだと思います。


『本音で生きる』というタイトルを依頼された時、正直、何もピンとこなかった。


 本音で生きる。

 むしろ、なぜ本音を言えないのか、なぜ本音で生きられないのかのほうが、僕にはわからない。


「失敗が嫌だから、やらない」

「あとで何か言われそうだから言わない」

「嫌われたくないから、突っ込まない」


 それで何かいいことがあるのだろうか。


 シンクロナイズドスイミングの名コーチ、井村雅代さんは、インタビューで、「私は人に好かれたくない。好かれたくないと割り切っているから、言うべきこともはっきり言えるし、思い切った行動ができる」と仰っていたそうです。

 井村さんは中国チームのコーチも務め、中国の躍進に貢献しています。

 なぜ日本のライバルの「手伝い」をするのか?という批判もあったそうですが、井村さんは、自分のやりたいことを貫いた。

「好かれたくない」と割り切ってしまえば、かえって「自由」になれるところはあるんですよね。

 そして、突き抜けた実力があれば、好悪の感情を超えて、必要とされる。

 まあでも、その「好かれたくない、という割り切り」こそが、最大のハードルでもある。

 ……とか書くと、堀江さんに「お前はそんな言い訳ばかりだから、ダメなんだ」と叱責されそうですが……


 みんな自意識過剰なのだ。


 大企業を辞めたくても辞められない人、あるいはリストラされても再就職できない元会社員はたくさんいる。日本であれば、働き口もあれば、ほかの選択肢もたくさんある。それなのに動くことができないのは、「大企業を辞めて、小さな会社で働くのがみっともない」「バイトで働いたり、生活保護を受けるのは恥ずかしい」と思ってしまうからではないか。

 会社や仲間内でいるとしても、「○○にどう思われたら嫌だ」「こんなことをしたら、何を言われるかわからない」と思って、やりたいことをやれないでいる。


「世間体が悪い」「人の目が気になる」というのは、僕に言わせればすべて自意識過剰だ。

 実際にあなたのことをそんなに注目している人は、そうはいない。多くの人は、自分以外のことになんの関心もないのだ。

 僕は離婚の経験があるけれど、別れても死ぬわけではない。

 こう言うと冷たい人だと思われるかもしれない。

 でも、ここで聞きたいのだが、あなたは元カノ(元カレ)のことをどれだけ思い出すことがあるだろうか。一時期はすごく愛し合ったとしても、たいていの人はいつかは忘れてしまう。それに関して「何で忘れんですか? ひどい人だな」と言われる理由はないだろう。

 そう考えると「親子の情」などというのも思い込みのような気もしてくる。

「親子の情がないといけないよ」とみんなに言われているから、あるように思いはじめる、という人も、いるのではないだろうか。

 家族や結婚というのものも、必ずしも「安定」したものではないといえる。


 「身も蓋もない」話の数々なのですが、「自分が他人にどう見えるか」を考えてしまうことによって、行動が左右されてしまうのは事実なのです。

 でも、そういう人が多いからこそ、人間社会にはそれなりの規律みたいなものがあるのかな、とも思うんですよね。

 3組に1組が離婚する社会ですから、そんなに珍しいことでもないのだけれど。


 最近の堀江さんの話を聞いていて感じるのは、堀江さんが拝金主義者だというのは誤解ではないか、ということなんですよ。

 日本人は幼い頃から、「何かをするためにはお金が必要だから、地道に貯金をしておきましょう」とすり込まれて育つ。貯金することがまるで美徳のように語られるが、裏を返せば、お金がなければ何もできないという意識がすり込まれているということでもある。

 そう考えてしまうのは、お金の本質を理解していないからだ。


 お金というのは本来、価値を交換するためのたんなるツールにすぎず、それ自体に価値があるわけではない。

 物々交換で取引を行なう際は、相手の持っているモノが、自分の欲しいモノであることを確認する必要がある。そのためには密にコミュニケーションを交わし、自分が欲しいモノを持っている相手が信用に足る人間であるかどうかを確かめることになる。

 つまるところ、取引されている価値というのは、「信用」なのだ。取引相手がこれまで約束を果たしてきたか、周りの人間に対して誠実な振る舞いをしてきたか、そうした積み重ねが信用を作り、信用のある人間ほど大きな取引ができるようになる。

 お金は、信用という複雑な存在を、単純な数値に落とし込んだツールである。信用の一側面ではあるものの、信用そのものではない。何度も言うが、大事なのは信用であって、お金ではないのだ。


 結局、未来はどうなるかわからないのだから、小金をためても、あまり意味はない。

 もし苦境に陥っても、「信用」を積み重ねていれば、誰かがサポートしてくれるはず。

 だから、若者は「老後のための蓄え」よりも、「実力をつけ、自分の信用を積み重ねていくこと」を考えたほうがいい。

 ただ、「信用」というのも人間関係のひとつだと考えれば、「別れても死ぬわけじゃない」という人を「信用」するのも難しいのではないか、とも思うんですよね。

 

 「堀江貴文入門」としては、ちょうど良い新書ではないかと思います。

 これまで堀江さんの考えに触れてきた人には、ちょっと物足りないかもしれないけれど。


ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく

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