希望とは、あるともいえないし、ないともいえない。 それは道のようなものである。
地上にもともと道はない。 歩く人が多くなれば、それが道なのだ。
<魯迅 「故郷」>
しかし、そのとき、はじめて人は気づくのである。
すべて奪われても、なお、自分が最後の一線で渾身の力をふるってふみとどまれば、
万人に平等に与えられている唯一の、そして本当の武器がなお残っていること。
それは言葉である。もうそれしかない。だが、自分で捨てない限り、これだけはだれも奪うことはできない。
<山本七平 「私の中の日本軍」>
神様を信じる強さを僕に 生きることをあきらめてしまわぬように
にぎやかな場所でかかりつづける音楽に 僕はずっと耳を傾けている
<小沢健二 「天使たちのシーン」>
2007-06-18-Mon
金正日の草団子
どこかで読んだのですが、金正日が日本のある老舗菓子屋の草団子を気に入って、それをピョンヤンで食べたくなって、部下の調理人に作らせようとしても、満足の行くものがつくれなかったという。
だから、金正日がそれを食べたくなる度に、部下が北京経由で東京に来て、そのお菓子屋さんで草団子をまとめ買いしてまた北京経由で持って帰るらしい。飛行機の機内ではどこに置くんですかね。
さて僕が興味があるのは、「なんで北朝鮮ではこの草団子の複製が恒常的にできないのか」ということです。独裁者の雇う調理人なんだから、腕はたぶん北朝鮮で一番良いに違いないし、調理設備も不足はないだろう。それでも草団子が美味くつくれない。
僕はこれ、ひょっとしたら素材じゃないかと思うんですね。米粉、ヨモギ、お砂糖、上新粉、塩、小豆、それらの良い物をピョンヤンで手に入れようとしても、地元のマーケットで買ってこれない。粗悪品ならないことはないでしょうが。
もしその日本の老舗が使っているようなそれらの素材をピョンヤンの金正日の宮殿で「内製化」しようとすれば、とんでもなく手間がかかって高コストになるんじゃないかと思う。それだけ作物の出来栄えに気配りができる農業技術者から育成して、畑を作り、製粉・精製設備を整備し、そんなことすると、一大システムを構築しなければならなくなるが、それで草団子量産化が出来ても、そんな高級品をそればっか向こうのVIPたちが食べるわけには行かない。
それよりも、必要なときに必要な分だけまとめ買いしてくる、飛行機運賃のほうが安いのではないか。
ではなぜ東京のその老舗はそれを低コストで製造販売できるのか。大東京圏三千万人の豊かな消費者が、周辺地域に居住して、日常的に高級食品をいろいろあれこれ食べて暮らすエコシステムが完成しており、私企業がそこで事業を展開してそれなりのスケールメリットを享受し、システムの維持費を調達できるからですね。
ピョンヤンはそのおこぼれに与ることしか出来ない。北朝鮮の国民経済がそれだけ貧弱だから、という風に考えられないか。全くの憶測ですけれども。


