統合失調症をたどる
- 作者: 中井久夫,考える患者たち
- 出版社/メーカー: ラグーナ出版
- 発売日: 2015/11/11
- メディア: 単行本
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一般に突然張り切ることは危険信号と
考えたほうがよい
「親に怒られないように,先に行動しておく」
という思考をある程度手放せたのはよかった。
先回り思考の積み重ねが,
自分を追い詰めていたのかもしれません。
発病に接近していくときに加速因子となるのは
劣等感であったり,周囲の評価を期待する気持ちであったり
「ついになりたい自分になりつつある」という達成感であったり
宇宙大にまで自分を広げて考える大問題への傾向であったり
現実離れした慎重さの不足かもしれません。
「(苦痛を)訴える能力」を自分が持っているという感覚は
非常に大きな安心感を人間に与えるものである。
他方,「訴える能力を奪われている」という感じ,
「訴えても通じない」という途方にくれた体験,
「訴えても無駄であった」という徒労感は,
人間を非常に絶望させ,いちじるしく孤独を深める。
自己実現性予言の持つ弊害とは
ある自体を予言することによってその自体の
実現性を高めているのに,そのことに気づかないで
かえって予言の正しさが裏付けられたと思うことである。