伝わる・揺さぶる!文章を書く

作者:山田ズーニー
出版社:PHP研究所
発売日:2001/11/29
評価:★★★☆☆

伝わる・揺さぶる!  文章を書く (PHP新書)

伝わる・揺さぶる! 文章を書く (PHP新書)

今週3冊目。


前半は文章構成のポイントについて、後半は具体例を挙げての添削形式で、文章の書き方を学ぶ本。
文章の構成方法に重点が置かれており、人に読んでもらえる文章を書けるようになる、というのが本書の目的。

「機能する文章」を書く

  1. 文章を書くことは、考えること。
  2. 「読み手の心を動かす」という「結果」を出す。
  3. 文章の基本構成は、論点・論拠・意見。

文章は機能しなければ意味が無い。
謝罪の文章では読み手が謝罪の気持ちを受け取ってくれること、感謝の文章では自分の感謝の気持ちが伝わることが必要。

文章を書く6つの要件

  1. 意見 自分が言いたいことを発見する。文章の核は「意見」。
  2. 望む結果 何のために書くか。結果をイメージする。
  3. 論点 何を書くか。自分と読み手の問題関心から外れない論点を設定する。
  4. 関係性 自分の立場を発見する。関係性の中で自分の立場が見えてくれば、自分の書くものはよく機能する。
  5. 論拠 説得のために視野を広げる。
  6. 根本思想 自分の根っこの想いに忠実か。自分の腑に落ちるまで、自分の生き方にあった言葉を探し、自分を偽らない文章を書く。

文章を書く際には常にこの6つの要件を意識しながら書くと良い文が書けるかもしれない。
中でも望む結果をイメージするというのが重要。

論理構成


お手本として素晴らしいと思えるアウトラインがあったので、そのまま引用させて頂く。

論点
プロジェクトのリーダーに誰が適任か?
提案させていただきます。

論拠
リーダーにはどんな資質が求められるか?
→商品知識と経験
なぜ商品知識と経験が必要と言えるか?
→過去の成功事例、トラブルから。

予想される反論
リーダーには、専門性より、利益効率を重視したほうが良いとの声がある。
↓  
再反論
利益重視で専門性に乏しい商品開発は、短期的な「改善」にとどまり長期的な利益に結びつかない。長期的な利益を生むには、全く新しい「創出」が必要で、そのためは専門性が不可欠。

論拠
なぜ、そう言えるのか?
→先進の会社の事例、当社の過去と現在の利益構造と比較より。(データを添える)

最も知識と経験がある人は誰か?
→田中春夫さん

意見
ゆえに、リーダーには田中春夫さんが適任と考えます。


学部でよく使っていた法的三段論法にも似ている。
文章の構成は、書き終えてから客観的にチェックすると良い。

読む気を引き出す文章の書き方

  1. 効能を示す
  2. 相手にとって切実・身近な話題とリンクさせる 
  3. イムリーな話題とリンクさせる
  4. 面白そうな独特の世界を醸す

最初の「効能を示す」とは、読み手にとってその文章を読むことが利益になることを示すこと。
相手のモチベーションを引き出せるか、引き出せないかは、文章の書き出しにかかっていることが多い。


文章の構成はこの本で学んで、節や句読点の使い方については日本語の作文技術で理解すると良いかも。