桜と狐

 小汚い狐が一匹。ふらふらと散歩をしていたら満開の桜を見つけました。
 根元から木を見上げて、あの桜の花の中で昼寝をしたら気持ちいいだろうなぁと思いました。
 狐はまず、距離をとってから飛び上がろうとしました。しかし、桜の木は大きく、一番低い枝まで届かず、狐は地面に落ちてしまいました。
 次に辺りを見回し、隣にある別の木に登ってみました。一番太く、桜の木に向かって伸びた枝を恐る恐る渡っていきます。枝が軋むところまで進んだら、勢いを付けて桜の木に向かって飛びかかりました。もうちょっとで桜の太い枝に届く と言うところで狐の前脚は空を切り、どしーんと、頭から地面に落ちてしまいました。
 眩む頭を押さえながら、狐はよたよたと木の根元までもどってきます。
 仕方がない。狐はよじ登って行く事にしました。右足を木の幹にかけた時、動きを止めました。そしてそっと、幹から足を降ろしてじっと自分の手を見つめる。黄金色の毛と肉球。そして白く鋭い爪。自分の自慢の武器。
 
 狐はもう一度桜の木を見上げる。太陽の光ぽかぽか、花はさらさら、空はきらきら。白い花は風に吹かれて優しく、柔らかく揺れている。狐はぷいとそっぽを向いて言いました。
 「ふん、こんな桜。風に吹かれて倒れてしまえばいいんだ」
 狐は興味無さげに、そこから走り去りました。そしてもう二度と、狐はその桜の木に近づかなかったのです。

怖い

 二十過ぎて「怖い」なんて口にするのは実に恥かしい話だけど、怖い。
 さらに情けない話、怖い夢を見たから夜が怖いだなんてもはや人様にお話できないようなお恥ずかしい話なんだけど、見た瞬間に「これは見てはいけない物だ」って解るような物だった。
 夢から逃げてもしばらく目を明けられなかった。見たときに聞こえた悲鳴とも威嚇とも言えない叫び声は今だ耳から離れ無い。
 これから寝ようかと思うと背筋が凍る。けど、しばらくしてから「あ、これネタにならないかな!」と思ったのは秘密だ!

近況

 やぁ、みんなの裏切り者不眠蝙蝠さんですよ。人類の敵って肩書きもいいなぁと思ったりする今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
 精神的に落ち着きも取り戻し、メッセンジャーに自分のストレス状況を表すゲージを表示するほどにまで回復いたしました。最近はコレピクなんか動かしたり武装神姫なんかやったりしていますよ。無論執筆も忘れておりません。
 アマゾンで頼んだ荷物が一ヶ月ほど届かなくてやきもきしたり、ドットが思うような形にならなかったりしてイライラしたりする事もありますが、私はまだまだ元気です。

多分ここを見て無いだろう人へ

 ゴメンなさい、本心じゃなかったんだ。
 どうせここを見ようなんて思わないだろうけど、もし、万が一、ここを見た時は。
 きっと、そのときは全部解決しているから、許してくれるなら許して欲しい。

寡黙の夜

 会社との関係にケリをつけてから数日。もはや相棒の絵描以外同士と言える人物がいなくなった不眠蝙蝠です。
 いい年こいていつまでも夢物語を追いかけて夢物語書いてるダメな大人 とはっきりと言ってしまえたらどんなに楽な事か。周りからの自分の未来を非難する声から逃れず、身に刺さる言葉をそのままに走りつづけなければダメなのではないだろうか。
 だから私は、自分の事を「2○にもなって夢を追い掛けているダメな大人」と自虐して逃げたりはしません。

過重

 いいかげんいい年になってきたのに、いつまでも夢ばかり追いかけてて、このままじゃいかんなーと思っていた時、志半ばで友人が倒れる。
 思わず受け取ってしまったバトンをどうするのか……まぁ、皆まで言う必要は無いか。

長考

そもそも物書きってのは一人コツコツと文章を書いていく人な訳であって、そこに他人の介入は一切あるはずがないのだ。つまり、物書きであるという自覚を持った以上、他人と関わる事がイレギュラーな行為だと考えるべきなのではないだろうか。いや、しかし人と人とのめぐり合わせと言うのがストーリーな訳であって、完全に一人で作り上げる物とも思えない。となると、どの当りまで一人が良いのだろうか。