真昼に見る夢 このページをアンテナに追加

自作小説

2010-09-05

[]2010年上半期ライトノベルサイト杯 23:12

投票します。何年ぶりかな気がする。今年特に読んだわけではないですが、推したい作品は推した方がいいだろう、という判断。

追記:間違えて七月発売のやつ入れてた。

新規作品部門

  • 『ストレンジ・ボイス』江波光則
ストレンジボイス (ガガガ文庫)

ストレンジボイス (ガガガ文庫)

【10上期ラノベ投票/新規/9784094511857】

思春期コミュニケーションをテーマにした良作。ご都合主義にも露悪趣味にも極端にふれることない絶妙のバランス。


  • 『破小路ねるのと堕天列車事件』木戸実験

【10上期ラノベ投票/新規/9784569674261】

レーベルも含めて怪作というにふさわしいと思う。島田荘司みたいな謎ではじまる物語。後半、ややライトノベルっぽく落とそうとして失速するのがもったいないが、伏線の使い方のトンチキさなど変なところがキレてる。


幻人ダンテ (講談社ノベルス)

幻人ダンテ (講談社ノベルス)

【10上期ラノベ投票/新規/9784061826939】

コンパクトなDDDつうか戯言っていうか。派手さには欠けるが、こういう感じの話好きだし、もう少し読みたい的な希望も込めて。主役カップリングがよろしゅうございます。


既存作品部門

【10上期ラノベ投票/既存/9784044266226】

まさかあの人とあの人がカップリングされるなんて……!

2010-07-19

[]更新状況について 20:44

せめて、後輩のように傑作と思った作品くらいは更新していきたい。『ヴィークル・エンド』もあとで書きたい。

[]アンチ・マジカル〜魔法少女禁止法〜 20:44

アンチ・マジカル ?魔法少女禁止法? (一迅社文庫 い)

アンチ・マジカル ?魔法少女禁止法? (一迅社文庫 い)

発売前から魔法少女ウォッチメンと言われ、本当に出版されるにあたっても、誰もがネタだと思っていた代物。すでに評判はあがりつつありますが、ネタじゃなくてガチだったという。

あらすじはほとんどウォッチメン。それこそ笑ってしまうくらいに。登場人物はすべて魔法少女。主な元ネタにセーラー服の五人組(のちに増えるが)をとり、15年ほど前の魔法少女たちを次々とウォッチメン世界にあてはめていく。頭がいいからって、オジマンディアスにされたりと符号する部分もありつつ、二つの世界が摺りあわされている。ストーリーが笑ってしまうくらいウォッチメンなので、もちろんコメディアンが死ぬところからはじまる。その後もかなりウォッチメンのあらすじに沿って進むが、オリジナリティとかそういうケチなことを言う気にはならない。上に乗っかっている魔法少女のフォーマットがウォッチメンのフォーマットを広げ、ずらしていくからだ。登場人物の数もあり方もまったく同じではありえない。それゆえにずれが生じる。そのずれが先の読めない展開になって表れる。でなければ、ウォッチメンと同じ結末を追うだけになってしまう。それだったらこんなふうに久しぶりに感想書くほど面白かったと言えたかどうか(パロディのうまさからすると言えるような気がするけど)。

ネタものらしく一巻完結では、ない。丁寧にウォッチメンの枠をなぞった上でその枠を食い破りつつ、この話は次の巻へ続く。元ネタがウォッチメンである以上、優しさはない。中盤以降の容赦のない展開はぬるいパロディだと思って読む人を振り落とすかもしれない。

気になるところはある。さすがに容赦なさすぎない?という点。これはこれで好きだからいいんですが。二つめに後半の展開だと「魔法少女」じゃなくてやっぱりただの「ヒーロー」なのでは?という点。いまいち「魔法少女」に思い入れがないせいで、判断つかず。最後に、こういうパロディをパクりと言って受け入れず、ネガキャンをするやつが表れる可能性。ウォッチメンという作品を最大限下敷きとして活用しつつ、やはり別の既存のもの――魔法少女を入れて、きっちりと練りあげてきている傑作、というのが僕の認識ですが、それだけに続きが読みたいので、ネガキャンとかないといいなあ、本当に。

2010-02-22

[]SFAdventure アヴァン・ポップ宣言 20:51

どこか懐かしく見えるタイトルのために古本屋で買っていたので読んだ。アヴァン・ポップとして挙げられているものには時代が感じられて、ちょっと面白い。しかしまあ、これSFなんかしらと思わなくもない。ちなみに「虚無回廊」が連載されているが、そこで使われているイラストが角川版『ディファレンス・エンジン』の表紙である。

収録作品について、軽く。

  • 「ベイビー、おまえもか?」マーク・レイナー

精神分裂的でアナーキーな作家らしい人物に対する問い――若者にひとつだけアドバイスするなら。無軌道な自分の人生と友人の死について。体制に飲み込まれるのはおろかだ、という話?

自由のないプチブル的な生まれと人生に抵抗するため、サド的であろうとする男(?)の人生。投獄された先で男は妄想し、妄想はサド侯爵と自分を同一化するに至る。

  • 「ヴィデオ/ヴィデオ」ハロルド・ジャフィ

核汚染によって外部に住めなくなった人間達は、超構築物(マンションみたいなものくさい)の中で自分の望むビデオをカポと呼ばれるものたちが届けてくれるのだけを楽しみに生きている。彼らカポたちは、『1984』のような組織に管理されている。カポである男ブルジョアが、超構築物の中の人々が徐々に壊れ、組織が綻びていくのを眺める物語。

  • 「あなたの物語」リック・デマリニス

現代的に「ヘンゼルとグレーテル」を語り直した小説。しかし、それには「わたし」という語り手による枠物語が設定されており、「わたし」は物語を予定調和にくるむための「なにか」を指し示している。


いまさら手に入れて読める人がそういるとも思えないので、一応あらすじを書いては見たもののあっている保証はない。誤読している自信がある。参考と思っていただいた方がよい。

2010-01-24

[]無常の月 20:27

無常の月 (ハヤカワ文庫 SF 327)

無常の月 (ハヤカワ文庫 SF 327)

なぜかアマゾンに二つ同じ本があるんだけど、これはいったい。

ニーヴンの短編集。小説ではなく、小話ゾーンがあり、「スーパーマンの子孫相続に関する考察」など非常にバカバカしい(褒め言葉)。

その他の短編のネタは現在では見慣れてしまっているような平行宇宙にまたがる自己についての「時は分かれて果てもなく」やドナー社会ディストピア「ジグソー・マン」など古臭いを一周してビンテージの味わい。バカバカしい上にこちらもなんか青いあんちくしょうを思い出す「路傍の神」のようなSFらしいスケールあるホラ話も。「マンホールのふたに塗られたチョコレートについてきみには何が言えるか?」もその系統か。

タイトル作に顕著だが、全体に登場人物が聡明で過剰にうろたえたり、予断によって間抜けな行動をしたりもしない。科学的冷徹さが彼らの行動をまともにし、突き詰められた思考が人智を超えていることを冷静に肯定するゆえに、読後感はどこかじんわりとした悲哀がある。この賢さは、油断するとSFファンにありがちな選民思想とか優越感につながるので、バランスの問題よなあとは思った。ここに収録されている作品はそういうところに堕す手前でなんとか踏ん張っているのではないかと思う。「マンホール〜」なんかはちょっと怪しいが。

2010-01-22

[][]去年のこと 11:45

やっぱりここにメモってないと忘れるので、去年よかった本は2009年タグで感想をメモっておこうかと。気が向いたときに。『紫色のクオリア』に関しては、言及まで受けてしまったことですし。

[]Dクラッカーズ2 -祭典-ceremony 11:45

だいぶ昔に富士ミス版で二巻まで読んで挫折していたが、新版で再開。富士ミス版でいう三巻まで収録。よいよい、非常によい。富士ミス版でいうところの三巻、新版でいう二巻まで読んで面白いか、自分にあうかを判断するのがこの作品の嗜みだな、と思った。

一巻の時点ではドラッグを巡るミステリというには半端で、スタンドバトルとするにも密度が足りなかったんだけれど、設定が出揃い、まるで作品の終盤であるかのような展開を見せるこの巻中盤以降がよかった。BBBも途中まで読んであざの耕平は本当にスロースターターだなあとは思っていたが、エンジンさえかかればこの通りということか。序盤のドラッグを扱ったミステリ展開は影をひそめて、暇を持てあました大学生たちの過去の禍根が生み出したスタンドバトルにすり替わってしまうが、作者もあとがきで書いているようにそうやって異能バトルファンタジーに踏み込んで嫌でない人はついていけばいいのだ、と思った。今度は最後まで読み切れる、と思う。

[]384,403km―あなたを月にさらったら 11:45

384,403km―あなたを月にさらったら (ティアラ文庫)

384,403km―あなたを月にさらったら (ティアラ文庫)

玄鉄絢イラストだから読んだというのはもはや言うまでもない。イラストがよかったのも言うまでもない。

内容もよかった。阿呆の子が、愛とか恋とかよくわかんねーせいで外からみてると何考えてるかよくわかんねー子を追い求める話。妄想を現実に垂れ流して生きることに覚悟が決まってる感じの語り手であるアホの子がかわいいし、全体の三分の二が結ばれてからの濡れ場という割り切ったご褒美仕様が素晴らしい。

[][]紫色のクオリア 11:45

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)

昨年のSF、ラノベ業界で議論とか巻き起こして面倒だったので年末まで積んでたそれ。ラノベだのSFだのレッテル貼りがひどくて、SFってやつをガンダムファンがガンダムはSFじゃないって言われた! って喚くみたいなテンションで、ラノベに対する侵略者みたいに思って出てくる人がいたりしてもうその議論は百回くらい見たよ、みたいな空気に見えたので読むの躊躇ってた。読んだらちゃんとSFでラノベだったので、本に罪はないよなあと思った。

散々既出ですが、読書メーターにも書いたように、『玩具修理者』(短編ではなく、本一冊)(より具体的には「紫色のクオリア」が「玩具修理者」で、続く章が途中まで「酔歩する男」)、を経て、イーガンへ至る。イーガンと違って、倫理的に厳格でなく、感情的に納得できるので、中盤以降の展開に素直に感心できる。語り口のひねりのなさを割りきるか、諦めないか、こだわりが問われるようには思った。特に序章である「紫色のクオリア」はざっくりしすぎでね? と思ってた。最後にはイーガンも突破して、どこへともつかない場所へジャンプする(今思い出せるのはトップ2だ)。そこまでの飛躍の素晴らしさを思うと、ラストはぬるくも思うが、これ以上どうこうされてもというのはあるし、このあたりが落しどころだろう。その落としどころゆえにラノベになっていると個人的には思う。

信者なので、これが楽しかった人は『ラストビジョン』も読もうぜ、と薦めておいて終わる。