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粉飾決算と投資家の権利問題研究会

2013-01-25

ご挨拶

09:04

会社法の視点から】
 会社法が数次の法改正を経て商法から独立したのは,主として,営利法人たる会社をより使い易くする方向のものでした。営利事業の展開に当たり,会社という組織形態を利用しようとするのは資本に他なりません。資本とは,人の経済的欲求の抽象化された総体であり,会社法がこのような歩みをすることは,今や資本が世界を駆けめぐる時代の要請ともいえます。そのことは会社をより抽象化させ,経済合理性のみを行動基準とする権利義務の主体とすることになりかねません。そして,経済合理性のみを行動基準とすれば,粉飾決算すなわち会計・財務関係書類の虚偽記載に関する企業の行動は,虚偽記載によるメリットと虚偽記載が発覚した場合のリスクとの比較において決まる,と言って過言ではないでしょう。
 しかし,そのことは,株主・債権者・従業員を含む多くの企業関係者に間違った情報を提供して正しい判断を歪めるものであり,その結果,とりわけ大きな企業にあっては極めて多くの関係者の権利・利益を損なうこととなります。また,残念ながらこれまでそのようなことが繰り返された結果,会社法の中でも,監査制度の改革を始めとして粉飾決算すなわち会計・財務関係書類の虚偽記載を抑制防止するための諸改正が行われ,更には,企業の社会的責任やコンプライアンスの重視が強調されるようになっている次第です。

金融商品取引法の視点から】
 ところで,我が国の市場経済にあっては,企業が事業活動を行うに必要な資金につき,株式や社債を発行してこれを一般国民に購入してもらって調達することが広く行われています(*)。
(*)国や地方自治体なども国債・地方債を発行して,企業と同様に,資金調達を行っています。
 これを一般国民すなわち購入者側から言い換えると,そのような株式や社債あるいは国公債(これらをまとめて「有価証券」あるいは単に「証券」と言います)を購入することによって,保有する金融資産を運用し,その増殖を図っているということになります。我が国の個人保有にかかる金融資産は概ね1500兆円と言われますが,その中の相当部分が「証券」に対する投資に回っています。このように,証券投資は一般国民にとって重要な資産運用の機会であると共に,我が国市場経済にとって不可欠なものとなっているのです(なお,証券投資を行う一般国民を普通「一般投資家」と呼び習わします)。そこで,金融商品取引法は(以前は「証券取引法」という名称でした),一般投資家を保護するために,「証券」の発行や流通にかかわる事業者に対して「情報開示(ディスクロージャー)」を基本とする様々な法律的規制を課しています。さらに,それら規制に違反した関係事業者には,それによって損害を蒙った一般投資家に対する賠償責任を負わせています。その典型例が,企業が粉飾決算などで「有価証券報告書」に虚偽のことを記載した場合です(*)。発行会社は「有価証券報告書」に真実を記載しなければならず,一般投資家はその記載内容を信頼して或いは前提にして購入・売却の是非判断(投資判断)を行っている訳ですので,もし,そこに虚偽のことを記載した場合には,一般投資家がそれによって蒙った損害を賠償しなければなりません。違反した企業と役員等にしっかり損害賠償の責任を果たさせることによって,二度とそのようなことを起こさないよう,つまり,「有価証券報告書」には常に真実が記載されることを確保・推進しようとしているのです。
(*)「有価証券報告書」は発行された証券が売買流通する段階での情報開示(ディスクロージャー)です。発行段階での情報開示としては「目論見書」による情報開示が行われます。

【粉飾決算などと投資家の権利および役割】
 そのような意味で,もし,一般投資家が企業の粉飾決算などによって損害を蒙った場合,即ち,企業が内容虚偽の「有価証券報告書」を公表していた最中に同社の株式や社債を購入した場合,一般投資家が損害賠償を請求することは,被害者として当然かつ正当な法的な権利の行使であるといえます。更に,その権利行使は,「有価証券報告書」の真実記載を確保し,我が国の市場経済を公正なものとするために重要な役割である,ともいえるのです。

【当研究会の成立ちと役割】
 私たちは,これまで証券投資にかかる諸分野での紛争解決(*)に一般投資家の立場と視点から取り組んできた弁護士のグループです。なかでも,粉飾決算と有価証券報告書・虚偽記載の分野では,ニイウスコー社(民事再生)と関係役員等に対する損害賠償請求を訴訟遂行しています。
(*)違法不当な投資勧誘にかかる証券会社および銀行に対する損害賠償請求,インサイダー取引におけるインサイダー(内部者)と情報開示を怠った関係者に対する損害賠償請求,オフショア投資における国際投資詐欺にかかる損害賠償請求など
 このたび,私たちは証券投資おける被害救済の弁護活動を行う傍ら,とりわけ粉飾決算などと有価証券報告書の虚偽記載にかかる諸問題及び関連問題を掘り下げて研究して行きたいと考え,当研究会を発足させました。加えて,その成果をもって,一般投資家の方々がもし証券購入(あるいは売却)に当たって対象企業及び関係役員等による粉飾決算すなわち「有価証券報告書」の虚偽記載などによって損害を蒙った場合には,被害回復の相談に応需すると共に,ひいては証券投資における情報開示(ディスクロージャー)の真実確保に資する役割を果たしたいと考えている次第です。

   2012(平成24)年5月1日

                    粉飾決算と投資家の権利問題研究会
                       代 表  三 木 俊 博
                       副代表  松 葉 知 幸

2012-12-28

12:43

ニイウスコー事件東京高裁判決(平成23年4月13日)について,金融・商事判例1374にて紹介していただきました。

粉飾決算と投資家の権利問題研究会のブログへようこそ!

12:37

「粉飾決算と投資家の権利問題研究会」は,複数名の弁護士が結成した団体です。近年,上場会社等による粉飾決算等(有価証券報告書・有価証券届出書・目論見書・計算書類等への虚偽記載など)がなされ,投資家が損害を被る事例が相次いでいます。当研究会は,長年に渡る証券取引に関する被害救済活動を通じて培った経験を活かし,粉飾決算等による被害救済のため,定期的に研究会を開催して理論的検討を行うと共に,会社や役員等に対する損害賠償請求訴訟を遂行するなど実践的活動をしています。

2012-05-01

ご挨拶

09:04

会社法の視点から】
 会社法が数次の法改正を経て商法から独立したのは,主として,営利法人たる会社をより使い易くする方向のものでした。営利事業の展開に当たり,会社という組織形態を利用しようとするのは資本に他なりません。資本とは,人の経済的欲求の抽象化された総体であり,会社法がこのような歩みをすることは,今や資本が世界を駆けめぐる時代の要請ともいえます。そのことは会社をより抽象化させ,経済合理性のみを行動基準とする権利義務の主体とすることになりかねません。そして,経済合理性のみを行動基準とすれば,粉飾決算すなわち会計・財務関係書類の虚偽記載に関する企業の行動は,虚偽記載によるメリットと虚偽記載が発覚した場合のリスクとの比較において決まる,と言って過言ではないでしょう。
 しかし,そのことは,株主・債権者・従業員を含む多くの企業関係者に間違った情報を提供して正しい判断を歪めるものであり,その結果,とりわけ大きな企業にあっては極めて多くの関係者の権利・利益を損なうこととなります。また,残念ながらこれまでそのようなことが繰り返された結果,会社法の中でも,監査制度の改革を始めとして粉飾決算すなわち会計・財務関係書類の虚偽記載を抑制防止するための諸改正が行われ,更には,企業の社会的責任やコンプライアンスの重視が強調されるようになっている次第です。

金融商品取引法の視点から】
 ところで,我が国の市場経済にあっては,企業が事業活動を行うに必要な資金につき,株式や社債を発行してこれを一般国民に購入してもらって調達することが広く行われています(*)。
(*)国や地方自治体なども国債・地方債を発行して,企業と同様に,資金調達を行っています。
 これを一般国民すなわち購入者側から言い換えると,そのような株式や社債あるいは国公債(これらをまとめて「有価証券」あるいは単に「証券」と言います)を購入することによって,保有する金融資産を運用し,その増殖を図っているということになります。我が国の個人保有にかかる金融資産は概ね1500兆円と言われますが,その中の相当部分が「証券」に対する投資に回っています。このように,証券投資は一般国民にとって重要な資産運用の機会であると共に,我が国市場経済にとって不可欠なものとなっているのです(なお,証券投資を行う一般国民を普通「一般投資家」と呼び習わします)。そこで,金融商品取引法は(以前は「証券取引法」という名称でした),一般投資家を保護するために,「証券」の発行や流通にかかわる事業者に対して「情報開示(ディスクロージャー)」を基本とする様々な法律的規制を課しています。さらに,それら規制に違反した関係事業者には,それによって損害を蒙った一般投資家に対する賠償責任を負わせています。その典型例が,企業が粉飾決算などで「有価証券報告書」に虚偽のことを記載した場合です(*)。発行会社は「有価証券報告書」に真実を記載しなければならず,一般投資家はその記載内容を信頼して或いは前提にして購入・売却の是非判断(投資判断)を行っている訳ですので,もし,そこに虚偽のことを記載した場合には,一般投資家がそれによって蒙った損害を賠償しなければなりません。違反した企業と役員等にしっかり損害賠償の責任を果たさせることによって,二度とそのようなことを起こさないよう,つまり,「有価証券報告書」には常に真実が記載されることを確保・推進しようとしているのです。
(*)「有価証券報告書」は発行された証券が売買流通する段階での情報開示(ディスクロージャー)です。発行段階での情報開示としては「目論見書」による情報開示が行われます。

【粉飾決算などと投資家の権利および役割】
 そのような意味で,もし,一般投資家が企業の粉飾決算などによって損害を蒙った場合,即ち,企業が内容虚偽の「有価証券報告書」を公表していた最中に同社の株式や社債を購入した場合,一般投資家が損害賠償を請求することは,被害者として当然かつ正当な法的な権利の行使であるといえます。更に,その権利行使は,「有価証券報告書」の真実記載を確保し,我が国の市場経済を公正なものとするために重要な役割である,ともいえるのです。

【当研究会の成立ちと役割】
 私たちは,これまで証券投資にかかる諸分野での紛争解決(*)に一般投資家の立場と視点から取り組んできた弁護士のグループです。なかでも,粉飾決算と有価証券報告書・虚偽記載の分野では,ニイウスコー社(民事再生)と関係役員等に対する損害賠償請求を訴訟遂行しています。
(*)違法不当な投資勧誘にかかる証券会社および銀行に対する損害賠償請求,インサイダー取引におけるインサイダー(内部者)と情報開示を怠った関係者に対する損害賠償請求,オフショア投資における国際投資詐欺にかかる損害賠償請求など
 このたび,私たちは証券投資おける被害救済の弁護活動を行う傍ら,とりわけ粉飾決算などと有価証券報告書の虚偽記載にかかる諸問題及び関連問題を掘り下げて研究して行きたいと考え,当研究会を発足させました。加えて,その成果をもって,一般投資家の方々がもし証券購入(あるいは売却)に当たって対象企業及び関係役員等による粉飾決算すなわち「有価証券報告書」の虚偽記載などによって損害を蒙った場合には,被害回復の相談に応需すると共に,ひいては証券投資における情報開示(ディスクロージャー)の真実確保に資する役割を果たしたいと考えている次第です。

   2012(平成24)年5月1日

                    粉飾決算と投資家の権利問題研究会
                       代 表  三 木 俊 博
                       副代表  松 葉 知 幸

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