少年スポーツ漫画の傑作「弱虫ペダル」が生まれるまで 〜不屈の漫画家:渡辺航〜

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

ご存知の通り「弱虫ペダル」は冴えない主人公が成長するという、スポーツ漫画の中でも王道中の王道を突き進む、読者の心を熱くさせるロードレースがテーマの少年漫画です。
その「弱虫ペダル」が2009年7月の現在、J SPORTSのサイトでコラボレーションしています。


J SPORTS | J SPORTS×弱虫ペダル ツール・ド・フランス2009観戦ガイド
http://www.jsports.co.jp/cycle/pedal/index.html


ツールでの日本人選手の快挙と言って良い躍進といい、作者と作品が恵まれているという印象が強いですが、むしろ作者の渡辺航先生は運が良いどころか史上稀に見るほどの悲運をくぐり抜けてきた作家の一人なのです。幾度となく降り注ぐ不運にめげず、不屈の闘志で這い上がってきた渡辺航先生だからこそ、「弱虫ペダル」が生まれたとも考えられる訳です。
以下、Wikipediaの記述を元に渡辺航先生のサイトの日記を交えてその来歴を振り返ってみます。

何とデビューは今から20年以上も前

めざせ漫画家!手塚・赤塚賞受賞作品集 5 (ジャンプコミックスデラックス)


元々ジャンプ志望みたいでしたが、賞は取れども連載は取れず。普通ならここでアシ専属になるか、全く違う業種に行くなり諦めますがあくまで漫画家になることを諦めなかった渡辺航先生。
ちなみにこの頃、持ち込みしていたジャンプ編集部で鳥山明先生にサインを貰った模様。*1

デビューから15年近く経って遂に連載をもぎ取る

  • 2001年、講談社マガジンSPECIAL」において『サプリメン』で連載デビュー(ナツメハルオ名義)。が、打ち切り、未単行本化となる。

実はワタクシ。連載デビューは(誰も知らないですが)マガジンスペシャルという週刊マガジンの増刊月刊誌だったんです。「サプリメン」という薬で強くなるという主人公の話でした。14ヶ月続いたんですが・・。

なんとコミックスは一巻で打ち切りに・・・!!(涙)




と。それならばまだいいが・・・(自虐)。

出なかったんです。コミックスがっ!!!!(大涙・・・・前出の一巻はウソです。言ってみたかったんです・・すいません。)
だから。「読んでみよう」と思っても雑誌は今では手に入らないから読めない。
当時の講談社のコミックス部門のヒトはコレはコミックスにしても売れないのでいらないな。と判断したんですねー(号泣)。
(でもそれはワタシも実力不足なのでしょうがない。なのに14ヶ月も連載させてくれた当時の編集部にむしろ感謝であります。)
2008/01/30 01:51

プロデビューから15年、遂に雑誌での連載を獲得するも打ち切りに。しかも人気商売だから仕方ないとはいえ単行本にすらならないという不遇。しかしその責任を他人に押しつけず、自らの未熟のせいと割り切り更なる精進を重ねる渡辺航先生。

マニアックながらも評価を受けていた作品が非業の打ち切り

  • 2002年、ペンネームを渡辺航に改め、秋田書店チャンピオンRED」にて『制服ぬいだら♪』を連載開始する。
  • 2005年、同誌での『電車男』の漫画化企画の作画担当に選ばれたため、『制服ぬいだら♪』は連載中断。そのまま打ち切りとなる。連載開始した『電車男 でも、俺旅立つよ。』では、終盤のクライマックスにあたる回が編集部のミスにより話の順番が間違って掲載されてしまう。

制服ぬいだら (5) 電車男 ―でも、俺旅立つよ。 1 (1)

レッドをお読みになった方は知ってると思いますが
制服来月までです。
来月号を今描いてて、それが終わると終わりです。
突然すぎるよ・・・。
あまりにも・・・。


あああ。
あああーーー。
さよなら菊ちゃん。
さよならののたん
さよならみのりん
ほかにいっぱいいっぱいさよなら・・。


う。


マジで泣いてもいいですか・・・・。


ううううう
うがぉぁーーーーー!!!

2004/12/18 17:32

あまりの唐突な第一部完には涙。だが悲劇は打ち切りだけで終わらなかった。

さて悪いお知らせです。
制服再開を楽しみにしていただいてる方に。


これは編集長が替わるときに前の編集長に聞きました。
「制服は第一部完でしたけど二部はあるんでしょうか。」
答えは「次の作品でがんばろう」
でした。
今回の新編集長にも聞きました。答えは同じく。
「制服の再開はありません」でした。
理由はコミックスが売れてないからだそうです。(5巻まで出してるのに増刷という実績がない)これは編集部ではどうすることもできないことだそうです。(つまり上が判断したことだと。)


例え読み切りが載ろうが、再開しようが6巻は秋田書店からは出ないということでした。


ワタシも密かに期待してたんですが・・電車をやりはじめた当初はそれを思って仕事のテンションを上げたものですが・・。
今回の事故の時に制服再開を口にしてみてはっきり無理だとわかてしまいましたよ・・。
泡のごとく未掲載の3話は幻になってしまいました・・・。
楽しみにしていた皆様・・!!
どうもすいません!!!!
力不足ですいません!!!
2005/11/25 21:06

編集部の都合で打ち切りになった上に最終巻が発売されないという非業の死を遂げた『制服ぬいだら♪』
しかも『電車男』は同時期に巨匠・原秀則が当時まだメジャー誌であったヤングサンデーにて連載されていた為、知名度はどうしても低いものに…
はじめの一歩に例えると、プロデビュー間もない一歩が鷹村の前座で鷹村以上の活躍をしろと言われているようなもの。しかも、その単行本1冊目からにして理不尽が渡辺航先生に襲いかかる。

ところでコミックスに入ってる各種コミックス新刊のチラシ「秋田書店2005年5月新刊ニュース」。
に重大なミスがありました。




ワタシの・・電車男・・・


だけ・・・・



モノクロなんです〜〜〜!!


他はばりばりカラーなのに〜〜〜!!


これは印刷所のミスらしいんですが・・・。


でもなぜか馴染んでたりもします・・・。
おそらくはじめて見た人はそういう効果かな・と思うでしょう。


でも。


悲しい・・・・。
悲しいことばっかりですね!!
はっはは。


コミックスの表紙が白黒ミスじゃなくてよかったと思いましょう。
2005/05/16 01:39

印刷所のミスの被害まで… しかしポジティブシンキングで乗り切るのだが…

皆様に謝らなければならないことがあります。




先日発売のレッド巻末のワタシのコメント見て
あれと思った方がいるでしょうか。


知らないヒトのために書きますが、
3巻の発売が2月、となっていました。


しかし9月28日のこのhpの日記では1月20日発売という風にお伝えしました。


間違いではありません。
どちらも。


9月の段階では1月だったのが10月には2月になってしまいました。


合わせて4巻まで続くと書いてましたがあれも
間違いではありません。
そして変更になりました。


電車男〜でも、俺旅立つよ〜」
は3巻で終わりです。
雑誌は2月発売のもので連載は終了です。


変更になった理由は2巻の売り上げが予想を
下回ったからだそうです。(編集長談)


急きょです。


本当に急にです。


また・・・。です。


急に終わりです。
泣きたいです。
あまりにも・・です。


雑誌とコミックを一緒に出すというスケジュールのためにかなり原稿の方は先行して描いています。聞いたときには残り一話でした。
それでは無理なのでなんとか
もう一話分ページを作ってもらいました。
ですから3巻は1〜2巻にくらべ厚くて5話載ってます
4巻まで楽しみにして頂いていた方、大変申し訳ありませんでした。


ページは少ないかも知れないですがみんな納得の
華やかな感動のフィナーレを描ききりたいと思ってますので
期待してください!


のこり一巻となりましたが今後も電車男
何卒よろしくお願い致します。
(2月20日発売予定です)




そして。
その後の「制服」の動向ついて気になってる方も
いらっしゃると思いますが




未定だそうです(編集長談)。






もう一度泣いていいですか?





・・・・・・・・。
2005/10/22 22:14

単行本の売り上げが予想より下回った為にまたも打ち切り決定。しかし悲劇はこれに留まりません。

「大変なことになりました」


皆様にお知らせです。


大変ことになっております。
毎月レッドを読んで頂いてる皆様には
言い訳のしようがありません。
申し訳ないです!


正直私も困惑しています。
泣きたいです。
今日わかったことですが
取り急ぎ事実だけ発表します。





●今月19日発売の「チャンピオンレッド1月号」に
おいて掲載されてる内容は
本来「2月号」に載るものです!


「1月号に載る原稿」と「2月号に載る原稿」を
間違って印刷し製本し、流通させたらしいです!!

本当はあり得ない間違いなんですが
起こってます。
今日、刷り出しと本をもらって
目玉が飛び出るかと思うほどびっくりしました。


詳しい原因、今度の動向については明日編集部と打ち合わせます。


ですから現段階では先月号の続きは読めません。
楽しみにして頂いていた方、本当に、誠に申し訳ありません!!



これは完全に編集部側のミスです。
ワタシは毎月締め切りキッチリ守って
原稿渡してるのに・・。


なんでこんなことになってるんでしょうか・・・。


本当に泣きたいです。
もうサプライズはいらないです。
勘弁してください。
泣きます。もう・・・。メソメソ


メソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソ
2005/11/18 09:45

打ち切りだけではなく掲載話数が逆になるという前代未聞のミスが発生。本当にどこまでも不運な作者に多くの同情の声が寄せられました。

新天地での連載も打ち切りに

ゴーゴー・こちら私立華咲探偵事務所。 1 (BUNCH COMICS)

  • 2006年、「週刊コミックバンチ」に『ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所。』を連載。全4巻分の38話で完結。

昨年4月末から始まり一年近く続いた
「ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所。」でしたが
さ来週(3月16日発売号)をもちまして終了することになりました。



各方面からいろんな励ましのお言葉をいだたき、サイン募集のハガキに書いてあった皆様の熱い気持ちのこもった応援に感動し
これからもビシバシ描いていきたかったのですが、もう少し続けたかったのですが
残念ながら1.2巻の売れ行き不振で新潮社の方から4巻までしか出せないと言われてしまいました。


正直言って私の力不足です。応援して頂いていた方々本当にどうも申し訳ありませんでした。


雑誌の方ではそこそこ人気もあったようだったのですが
コミックスが売れないと次が出せないので出せないと描けないということになるのです。
すいませんでした。
2007/03/05 11:32

新潮社に仕事先を移すも売り上げというシビアな現実を前にまたも終了の憂き目に。

雑誌掲載かと思ったら小冊子掲載。しかしそれでも本誌での連載を獲得

まじもじるるも(1) (シリウスコミックス)

本日シリウスが届きました。


軽い衝撃がありました。


・・・・・。本誌に載ってませんでした。


知らなかった・・・・。
気付かなかった・・・。


この漫画小冊子に載る漫画だったんだ・・・。


がーん。


別の雑誌の担当さんと打ち合わせをしてるときに「シリウスのギャグ祭りのアレって小冊子にな載るんですよね」とか言ってて「えーそんなわけないじゃないですかー。ちっちゃく載ったらけっこうショックですよう(笑)」
とか言ってた会話を思い出しました。



ちっちゃいです。
若干ショックです。


探してみてください。


すんげーネーム多いんで・・・あの、途中で飽きずに読んでください。
がんばれみんな!!
よろしくお願いします・・・。




うるる。
2007/05/24 12:33

それでもめげずに頑張り現在シリウスでは看板作品と言っても良いくらいの人気に。
るるも可愛いです。

そして遂に「弱虫ペダル」が生まれる

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

さて。
もうお気づきの方もいるかと思いますが今週号の週刊少年チャンピオン9号(あずあず表紙)で巻頭に広告出てます。


週刊少年チャンピオンで12号から新連載が始まります。
タイトルは「弱虫ペダル


想像通り自転車ものです。
少年誌らしい熱い世界観で自転車の楽しさを体感してもらえるように描いていくつもりです。
新連載巻頭カラーは週刊チャンピオン第12号 
2月21日発売です。
いきなり53ページです!(多っ)
うちカラーなんと5ページです!
(チャンピオン編集部そんなに力入れて大丈夫か!(笑


思えば最近こんな大ページ描いてません。
電車の最終回でも40ページとか41ページだったような・・。。頑張ります・・。
2008/02/03 08:04

弱虫ペダル」は主人公がオタクという点で異色になるかと思いきや、蓋を開けてみたらこれでもかという熱い展開のオンパレード。特に新入部員対抗レースでの今泉とのデッドヒートには熱い涙を流した人も多いと思います。
そして現在、月刊誌と週刊誌の同時進行なだけでなく一挙2話掲載という月産100ページを軽くこす勢いで書き続け、サイン会も好評で単行本もチャンピオンの中でもかなり売れている上に、上述したようにツールでの日本人選手の活躍に後押しされるという形になっています。


弱虫ペダル」の主人公、小野田坂道の特長として「目標に一途なメンタル」という点がありますが、実はこれは作者の渡辺航先生自身の事ではないかと思えてきます。
「好きなことをテーマにして、しかも売れる」だけでなく、「そのテーマが現実で盛り上がり」、「自作品とコラボレーション出来る」というのは類い希なる幸運ですが、その幸運は苦節23年、耐えに耐え、諦めずに頑張ってきた「目標に一途なメンタル」を持っているからこそ掴み得た幸運なのです。
正直、渡辺航先生の経歴で一本の漫画が描けるくらいのドラマがあると思います。秋田書店講談社に嫌な思いは散々させられてきただろうに、それでも腐ることなくずっと真摯に漫画と向き合ってきたからこそ「弱虫ペダル」の人気が出て、講談社から「制服脱いだら♪」最終巻を出すことが出来たのでしょう。


本誌では遂にインターハイが始まります。学内戦だけであれだけ盛り上がっただけにインターハイでの熱闘に期待が高まりますが、渡辺航先生ならきっと期待に応えてくれると信じています。
週刊少年誌の中では一番マイナーなチャンピオンでの連載ですが、その面白さは間違いなく本物なので多くの人に是非読んで貰いたいです。