株主提案権の濫用的行使

2/10日経によれば、株主提案権の濫用的行使を防止するため、新たな措置の具体的な検討に入った。株主提案権は総株式の議決権の1%以上または300個以上の議決権を6ヶ月以上前から保有する株主に認められている。
今回の検討の方向は、
① 株主提案の数に制限を加える、
② 濫用的な内容の議案を排除する、
③ 株主提案権の要件を引き上げる。

現行法でも株主の提案が濫用とみなされれば会社は権利濫用であるとして議案として取り上げないことは出来る。だがそれでは、「企業は濫用的と見られる株主提案でも、訴訟リスクをを恐れてそのまま召集通知に入れる場合が多い(2/10日経、全国株懇連合会)ので、訴訟されないよう法で手当てしてくれということである。

この件について「法律コラム】第14回 株主提案権について」が野村ホールディングス株式会社の事案(東京高決平24.5.31 資料版商事法務340号30頁)を詳しく説明している。
http://www.irokawa.gr.jp/law/archives/2362/

事案は,株主が,株主提案権に基づき,提案議題,提出議案並びにそれらの要領及び提案理由を定時株主総会の招集通知または参考書類に記載するよう求めたにもかかわらず,会社が応じなかったため,株主がその記載を命じる仮処分の申立てを行ったというものです。株主が63個の議案を提案したところ,会社は権利濫用で不適法であるとして取り上げなかったのです。

株主の権利に制限を加えるもので慎重な対応が求められる。2/11日経社説「株主との対話促す会社法に」は「株主提案に必要な保有割合を引き上げる」提案をしているのは
理解に苦しむ。株式の保有比率の大きな変動など、客観的に説明できる状況変化があったのだろうか。