半径3mの教育論

元中学教師の教育雑感記

1990 社会科という教科

今日から出勤しました。午前中,何とか実力テストが出来上がり印刷までできました。それと8日に配布する予定の学年通心を作り管理職に渡しました。
社会科部会でいただいた冊子をパラパラと読むと,次の文に目が止まりました。社会科という教科をうまく説明していると思います。長崎活水女子大学文学部の特別教授である山崎滋夫さんの講演をまとめたものです。

〈引用はじまり〉
社会科という教科は,人間社会の「事実」を学ぶ教科である。だから私たち教員は教科内容の「創作者」にはなれない。例えば数学なら難易度の異なる学習課題をいくらでも創作できる。
様々な人間が生きた事実であるから,一部の追体験はできても「実験」ができないという教科でもある。
しかも取り扱う領域が政治,産業経済,文化芸術などの,それも世界や日本各地域の,過去から現代にわたるものであるから,授業の目標と子供の発達段階にあわせての,教材の選択能力が重要となる。
何のために何を題材として授業を行うかという力量が求められる。
さらに世の中,人間は絶えず動いているので,その変化に対応したり,とらえたりする感覚,センスを養わなければならない。社会科は人間社会の営みの典型を学ぶ教科でもある。例えば,日本であってもヨーロッパであっても,また平安時代であろうが鎌倉時代あろうが,政治が動く要因・条件などには共通した部分があるので,そうした普遍性と特性を考えさせていかねばならない。
また,社会情勢にともなって,価値付けが左右される事実もある。例えば国旗や国歌は社会での位置づけが変化してきた。
小学校から中学校,そして高等学校へという接続,系統的な位置づけも意識して,中学校での指導を展開していかなければならない。
〈引用終わり〉

平成24年長崎県中学校社会科教育研究大会 講演会まとめより