今さら2013年NHK大河ドラマ「八重の桜」第一回感想など

 2013年1月6日日曜日、今年2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の第一回を見ました。
 1月中には記事を書き始めていたのにぐずぐずしていて随分時間が経ち、「八重の桜」ももう最終回まで放送してしまってそれどころか2013年ももう終わり。今さらという感じですが、せっかく書いたので一応感想を公開しておきます。
 もっとも雑用をやりながら・ザッピングをしながらで集中して見たわけではありません。だから以下に間違いがある可能性は小さくないですので御注意ください。万が一この記事の情報(そもそも大した情報は無いと思うけど)を利用するならば用心して、自己責任でお願いします。
 一応ネタバレがあります。放送が終わったドラマですし大丈夫とは思いますが、問題があっても責任は取れませんので、以下を読む際は自己責任でお願いします。






 NHKが盛んに宣伝していたから見てない人も含めて多くの方が御存知と思いますが、今年の大河ドラマは戊辰の会津戦争に参加し後に同志社創始者新島襄の夫人となる山本八重(新島八重)が主人公でした(綾瀬はるかさんが演じます)。
 アバンタイトルの冒頭いきなりアメリカの南北戦争から始まって、NHK大河ということで幕末の時代劇的な絵を予想していた私のような人間の意表を突きます。南北戦争を世界最初の本格的な近代戦争としそこで使われた近代兵器が世界に拡がっていって幕末の日本でも歴史に大きな影響を与える事になったといったような趣旨のナレーションがあり、モンタージュ?オーバーラップ?フラッシュバック?正確な用語では何というか知らないけれど会津戦争の八重の姿(それにアメリカの都会を歩くオダギリジョーさんが演じる新島襄の姿)につながって(或いは重ね合わせられて)いって、その後オープニングテーマに入ります。近代世界史全体の中に幕末維新の動乱を位置づけようという、とても野心的なスタートです。(そういえば、幕末維新での会津アメリ南北戦争での南部とは、その時の立場とか後世からのふりかえられ方とかちょっとだけ似ているかもしれませんね。NHKは八重の事を「幕末のジャンヌ・ダルク」とか譬えるのを推してるみたいですけど、むしろ「日本のスカーレット・オハラ」とかの方がふさわしいんじゃないですかね、八重も悪女と呼ばれた事があったみたいですし。)戦闘シーンの映像は「坂の上の雲」などでの技術の蓄積が生かされているような感じでした。
 本体部分では特に、新しい殿様の松平容保の初めてのお国入りの後に行われた会津藩の「追鳥狩(おいとりがり)」と呼ばれる軍事操練が地元の人々のお祭のように描かれていたのが印象に残っています。私はテレビドラマは時代劇も含めてあまり見ていないので間違っているかもしれませんが、会津藩の悲劇を扱ったこれまでのテレビドラマは(私が聞いたことがある範囲では連続ドラマではなくスペシャルドラマが多いせいもあってか)会津の「義」までは描いても平和だった頃の会津の人々の生活までは描いていないものが多かったような気がしますが、それを描く事によってこそ悲劇性も際立つような気がします。それは十九世紀のグローバル資本主義・その一環である明治維新が破壊した世界の美しさ・豊かさを感じさせます。このそれなりに美しく豊かな世界がこれから悲劇的に壊されるのだと思うと、期待にワクワクゾクゾクしました。
 まあNHK大河ドラマはメジャーな存在だけに色々な制約があって、その潜在的に持っている可能性を十全に展開する事は多分出来ないんだろうなとは思いました。例えば幕末の歴史において(もちろん私は詳しくないですけど)会津新撰組などによる白色テロの責任者でもある事は否定できないでしょうし、山田風太郎の「幻燈辻馬車」ではたしか戊辰戦争において新政府軍側の暴虐だけでなく会津の側にも戦争犯罪があったように書かれていたと思います(まあ「幻燈辻馬車」はフィクションですから私には風太郎氏の創作でないと断言する自信はありませんが)が、そういった主人公の側にとって都合の悪い事が本格的に描かれる事は多分無いんだろうなと。いやそれどころか主人公側の敵である明治新政府軍の側の犯罪(会津戦争での虐殺とか)さえ十全に描かれるかどうかは疑わしい、多分無理だろうなと思いました。
 「Apes! Not Monkeys! はてな別館」2007-01-08より「日本人が「虐殺」なんてするはずない、だって?」。
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070108/p1
(最近は「会津の悲劇」に対して疑問を呈するような本もよく出版されているらしいですが。

)
 それでも、今年の大河ドラマはなかなか面白そうだと大いに期待させる初回でした。
 まあただ大河ドラマは私の生活リズム的には時間帯が合わないんで(1月6日はまだ新年気分がいくらか残っていていつもと違いました)、残念ながら第二回以降(私の予想通り)一部しか見ませんでした。
 テレビの番宣の映像やネット上のキャプチャー画像それに私が見た少しの部分等から判断すれば(それだけで判断するのは本当は無茶でしょうが)戦闘シーン等も迫力があって予想通り面白そうでしたが、その可能性を完全には発揮できないだろうなという上に書いた予想もはずれではなかったような気がします。


 見つけた「八重の桜」に関係するサイトのURLを、せっかくだから保存しておこうと思います。
 「ウィキペディア(日本語版)」より「八重の桜」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E9%87%8D%E3%81%AE%E6%A1%9C
 「NHK大河ドラマ「八重の桜」」公式サイト。
http://www9.nhk.or.jp/yaenosakura/
 「Togetter」(Twitterのまとめ)よりタグ「八重の桜」。
http://togetter.com/t/%E5%85%AB%E9%87%8D%E3%81%AE%E6%A1%9C
 同じく「Togetter」より初回の感想を集めた「「八重の桜」離陸!上昇気流に乗れるか。おおむね好評まとめ」。
http://togetter.com/li/435280
 日本のドラマを好きな人達が集まる英語サイト「JDorama.com」での「Yae no Sakura [八重の桜]」の紹介ページ。
http://jdorama.com/drama.1821.htm
 同じく「JDorama.com」の「Discussions on Japanese Dramas」のフォーラムより「Yae no Sakura」のスレッド(英語)。海外ではまだ途中までしか公式放送されていない筈だと思いますが、その段階では「『風林火山』より後では最良の大河ドラマ」みたいなコメントもあるようで好評らしいです。
http://www.jdorama.com/viewtopic.13173.htm
 日本などアジアのドラマを好きな人達が集まる英語サイト「D-Addicts」の「Japanese Culture & Entertainment」の「JDrama Discussions」のフォーラムより「[Discussion] Yae no Sakura」のスレッド(英語)。
http://www.d-addicts.com/forum/viewtopic_126307.htm
 こちらも日本などアジアのドラマを好きな人達が集まる英語サイト「MyDramaList.com」より「Yae no Sakura」。
http://mydramalist.com/japanese-drama/5574/yae-no-sakura
 「MyDramaList.info」というよく似た名前のサイトも在るみたいで、そちらも日本等アジアの文化(映像作品中心か)を好きな人達が集まる英語サイトらしくて大変紛らわしいです。「MyDramaList.info」より「yae no sakura 八重の桜」。
http://mydramalist.info/title/8735/yae_no_sakura
 「GIRL FROM HIROSHIMA」さんより「2013 NHK Taiga Drama - Yae no Sakura」(英語)。このサイトだかブログだかの管理人さんが日本(特に幕末・維新の日本史)に興味があるアメリカ人なのか英語のうまい日本人なのか私の能力ではよくわかりませんが、充実しています(いや私の語学力では内容はよくわかりませんが、とにかく文章量や画像が多いです)。最近はあまり更新が無いようなのが残念ですが。
http://misaki-toyodome.tumblr.com/yaenosakura
 ブログ「nanohana」さんよりカテゴリー「八重の桜」。山川浩役を演じられた玉山鉄二さんのファンであられるらしいです。ざっと上の方のごく一部だけ見た感じでは、こちらはかなり批判的みたいですね。まあ「始めは良かったですねえ。」と書いてあるので上に書いた私の感想や予想と大きく違ってはいないような気もしますが。特に「家事は苦手で力持ちで男勝りなはずがいつの間にか裁縫も上手な単に銃が好きなだけの優しい普通の娘になってしまっている。」というのは、私がごく稀に見たドラマの一部分からの印象とも合致します。後年婦人雑誌のインタビューか何かで戊辰をふりかえって「戦(いくさ)というのは面白いもので」とかおっしゃったという(NHK御自身の歴史番組で見たんだったと思います)やんちゃ者の面影は薄くずいぶん行儀の良い人になってしまっているようなと私も感じました(まあ一部しか見ないで云々するのは本当は慎むべきでしょうが、勘弁してください)。歴史ドラマでもフィクションには違いないのですから魅力的にするための創作はありだと思うのですが、魅力的な人物と善い人物はイクォールではないしましてや御行儀の良い人物とは違うと思います。やっぱり上に書いたように「幕末のジャンヌ・ダルク」より「日本のスカーレット・オハラ」にしといた方が良かったんじゃないですかね?まあ私はそれでも、そもそも期待のハードルが(「八重の桜」に限らず一般的に)高くないからか、見た部分はまあまあ面白いと思ったのですが。それはともかく、このブログは同じ人物を扱った他のフィクション作品や関係する史書・史料にまであたって書かれていて無知な私にとってはとても勉強になります。
http://ree-47.cocolog-nifty.com/blog/cat51149076/index.html

↑私は今年もTVドラマをほとんど見ませんでしたが、2013年はドラマの当たり年だったのかもしれませんね。


 「今年の大河ドラマはなかなか面白そうだ」というのは去年2012年の大河ドラマ平清盛」がつまらなかったという意味ではありませんよ、念の為。「清盛」は史上最低視聴率だなんだかんだとあちこちで(海外の日本のテレビドラマファンからまで)叩かれたようですが、私が見た範囲内では(上記のように時間帯的に合わないので少ししか見ていませんが)名作・大傑作とは思わないもののそこまで叩かれなければいけないほど・最低視聴率が当然だというほど酷いとも思いませんでした。まあ視聴率と品質が正比例するものでないのは当たり前の事ですし、NHKは公共放送なんだから必ずしも視聴率にこだわらないで番組を放送できるのが存在意義でしょう。そもそも大河ドラマでは戦国時代(それも織田信長豊臣秀吉徳川家康が出てくる後半)と幕末以外の時代は内容がどうあれ視聴率的には苦戦するというのがいつもの事ですからね。

 「Wikipedia(日本語版)」より「平清盛 (NHK大河ドラマ)」。
http://p.tl/NNBo
 日本のドラマを好きな人達が集まる英語サイト「JDorama.com」より「Taira no Kiyomori [平清盛]」の紹介ページ。
http://jdorama.com/drama.1722.htm
 同じく「JDorama.com」の「Discussions on Japanese Dramas」のForumの「Taira no Kiyomori (NHK 2012 Taiga)」のスレッド。
http://jdorama.com/viewtopic.php?t=12967&start=0&postdays=0&postorder=asc&highlight=taira+kiyomori
 日本などアジアのドラマを好きな人達が集まる英語サイト「D-Addicts」の「Japanese Culture & Entertainment」の「JDrama Discussions」のフォーラムより「[Discussion] Taira no Kiyomori」。
http://www.d-addicts.com/forum/viewtopic_101715.htm
 「MyDramaList.com」より「Taira no Kiyomori」。
http://mydramalist.com/japanese-drama/3173/taira-no-kiyomori
 「MyDramaList.info」より「taira no kiyomori 平清盛」。
http://mydramalist.info/title/5003/taira_no_kiyomori


( 以上、文中歴史上の人物の敬称略。)