きょうは家族で早起きしてお墓参りに行きました。 
 一年のうち、お盆と暮れとお彼岸のときくらいしかお墓参りに行きませんが、なかなか家族皆揃って出かけることが少なくなった昨今、ちょうどお墓の掃除に皆で汗をかいて行動をともにするのはよいことだと思います。


 さて、今回は、〝剋〟について書いてみたいと思います。
 剋とは、虐げるとか従わしめる、打ち負かすというような意味がポピュラーです。
 「下剋上」という言葉がありますが、まさに下の者(家臣、家来)が上の者(殿様、主人)を倒すという意味です。


 四柱推命も「制剋」とか「破剋」という言葉を使います。
 いずれも、五行や通変星において自らのエネルギーで相手のエネルギーを抑えることを意味します。


 人事事相においては、この剋は節制とか自制心につながり、誰もが適度に必要なもので、社会生活を営むうえで有用なはたらきをなすものです。

 しかしこの剋も度が過ぎれば、自らに向かう剋は自由の束縛を受けることになり、また他に向かえば、自らのエネルギーの損耗が激しくなり自立心や積極的な行動力に欠けることとなります。


 ところで、剋はもうひとつ意味があるように思います。
 財星(偏財、正財)はわが身が剋す相手(対象)が財星になります。

 日干が甲ならば木剋土として、戊が偏財、己が正財になります。
 財星とは、金銭資財の星です。
 
 つまり自らが剋して、知力、体力を使って得るものが財ということです。
 
 昔は、一次産業が主でしたから田畑で一日中農業をしたり、海に漁に出たりして肉体労働をしなければ財を得ることができませんでした。


 しかし現代は三次産業であるサービス業が主体ですから、肉体労働よりも知力を使う仕事が増えています。
 とくに金融や不動産などは情報産業の先端をいくものですから、ハイレベルな知識と情報収集力が必要です。

 このような仕事で財を得る剋とは、虐げるとか従わしめるという言葉はどうもピッタリきません。
 
 何か巨大なレーダーから電波のようなものを出して、瞬時に対象物の状態、状況を察知する能力というものを連想するのですが、皆様はどう思われますか?


 偏財は円転流通の財で、機を見るに敏なところがあり、駆け引き交渉が巧みな性質の星です。
 剋とは、相手や周囲の状況を察知する一種の感性や能力をも意味するものと思います。


 現代社会では、この偏財的な能力の剋が重宝される時代になったようです。