予防接種と外部性

インフルエンザもピークを越えつつあるようだ。インフルエンザに関しては、予防接種の有効性は明らかである。またインフルエンザ治療薬の有症状期間の短縮は明らかではあるが、意外なことにインフルエンザ治療薬が重症化を本当に阻止しているかについてははっきりしていない。
さて、予防接種で思い出すのが外部性の話である。ある地域での接種率が上がってくると、その感染症は流行しなくなり、予防接種を受けていない人も恩恵を受ける。まさに正の外部性だ*1。だが、そのために予防接種を強制するのがよいかというと難しい問題だ。むしろ市場が競合する予防接種薬を提供する方がよりよく流行を阻止するようにも思える。ここで少しリバタリアニズムにとってはマイナスの話を書いておこう。麻疹*2の発生が残る数少ない先進国が日本である。アメリカや韓国では持ち込み以外はほとんど麻疹を見ることはないと言われている。日本は予防接種に対する偏見が強く、麻疹の定期予防接種を受けていない人が他の国に比べて多いためだ。この問題をリバタリアンはどう説明するか。
まず、国家が個人の健康管理に介入するのがおかしいという論法も考えられる。そもそも個人の判断で予防接種を受けずに感染症にかかっても、あくまでそれは個人のことで他人があれこれ言うべきではない、という理屈だ。また予防医学を含めた医療全体を民間が提供したらもっと効率的に感染症を予防できるという話も展開できるかもしれない。
もっとも個人的には日本の予防接種恐怖症が一番の問題のような気がするのだけれど。