四人姉妹の映画を3本
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2015/12/16
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (29件) を見る
是枝監督の映画って、何かが壊れてゆくドラマではなく、すでに壊れた世界で普通に生活をしてゆく人々のドラマなんだな。綾瀬はるかがけなげに長女の役を演じている。美人はスクリーンの華だ。そして、それよりも光っていたのが広瀬すず。おいしい役どころなんだけど、期待以上のはまり役だったと思う。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2004/06/25
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (127件) を見る
すさまじい世界。女版の仁義なき戦い。森田芳光監督のセンスでユーモラスに描かれていたので少しは救いがあったけど、NHK版はもっと息苦しいドラマのような印象がある。こういう女の世界は苦手なので敬遠していたんだけど、ちゃんと見直してみたくなった。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2015/02/18
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (11件) を見る
四人姉妹の映画を続けて観たので、今年初めに見た「細雪」もここに追加しておく。
この映画では吉永小百合が演じた三女の雪子のキャラクターが興味深かった。頭で作った性格描写ではあるまい。おとなしいけど我が強く、男の言いなりになりそうで実は相手を切り捨ててでも自分の思いを通してゆく。最終的に自分の欲しいものは必ず手に入れる。外面の優柔さとは裏腹に図太い性格。谷崎は女をよく見ている。
池波正太郎の真田本
正月にNHKラジオで池波正太郎の「信濃大名記」と「錯乱」(橋爪功・朗読)を聞き、これが予想外に面白かった。さっそく新潮文庫「真田騒動」を買ってきて活字で読んだが、やっぱり面白い。
一般的に真田といえば幸村なんだけど、こちらは幸村の兄の信幸に焦点を当てている。そして、戦国時代の戦記物ではなく、政治劇である。しかも攻めるよりは守りである。堅守、鉄壁の守りを描いている。
何から何を守るのかといえば、巨大な権力(徳川幕府)から真田家、家臣、領民を守るのである。その信幸の知力、決断力、忍耐力、そして信念を貫く態度はみごとなものだ。思わず、領主の見本、政治家の理想像と言いたくなる。
ちなみに、中公文庫「獅子」を読みたくて新刊書店や中古本屋を探したけど、とうとう見つからなかった。仕方なく、amazonで購入した。昨日届いて一気に読了。内容は短編「錯乱」とほぼ同じで、ゆったりとした長編小説に書き直したもの。
「特別な一日」
- 出版社/メーカー: レントラックジャパン
- 発売日: 2004/07/16
- メディア: DVD
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
ファシスト集会の日、家族はみんな式典に出かけてしまう。アパートには主婦が一人だけ取り残される。さて、ここからどんなドラマが作られるのか? お手並み拝見という態度で観た。
オウムが鳥籠から逃げ出し、主婦がこれを捕まえようとする。そのとき同じアパートの男の手を借りることになる。これがドラマの振り出しである。
ドラマの背骨だけ取り出すと(ネタバレ注意)、ちょっとした事件がきっかけとなり、男女が親しくなっていく過程のやり取りが演出され、それぞれがお互いの過去と現在の生活を語り、抱えている問題を吐露し、それらをさらけ出した後で葛藤と許容があり、突然の別れ(永遠の別れ)がやってくる。たった一日の出来事なので展開がすごく早い。でも、恋愛ドラマの要素がすべて揃っている。
平凡な日常生活を舞台にしてドラマを作るとしたら、やはり恋愛が一番お手軽なのだろうか? 戦争も殺人事件も私立探偵の推理も必要ない。宇宙への冒険旅行も怪奇心霊現象も必要ない。一組の男と女がいればいい。
日常的で安上がり。でも、それだけ陳腐なものが膨大に作られる。ただ、この映画に関しては退屈しなかった。二人の俳優がとてもいい。特にソフィア・ローレンはがっちりした体格で、しかも気が強そうで、あまり哀れさを表現できそうもないんだけど映画の中ではとても魅力的だった。
映画を少々
すっかりご無沙汰です。簡単な映画メモなど。
洋画は、「キートンの探偵」、「輪舞」、「クレーブの奥方」、「チップス先生、さようなら」、「ジェリーフィッシュ」、「ゴダールのリア王」、「王子と乞食」、「裁きは終りぬ」。
邦画は、「深夜食堂」(1部、2部、3部、映画)、「廃市」、「アドレナリンドライブ」。
相変わらず統一感がないんだけど、洋画では「裁きは終りぬ」が見ごたえがあった。メインの安楽死のテーマだけでなく、陪審員一人一人の生活・人生をエピソードで紹介していきながらドラマを作り込んでいく。その構成方法が興味深かった。
邦画・ドラマでは、やはり「深夜食堂」がいい。このドラマを観て、次々に登場してくる若い俳優たちを眺めているのが楽しかった。最近、邦画もドラマも舞台も見ないから、若手の俳優たちのことをまったく知らない。まだ名前を覚えてないけど、何人か、好ましい俳優を発見した。
3冊
東京通勤が断続的に続いている。行き帰りの高速バスの中が唯一の読書空間。慢性的に睡眠不足なので読書スピードがいつも以上に遅くなる。
これは期待外れ。著者は孔子の儒教に肩入れしている人か? 荘子に対していちいち批判的である。しかも、荘子の思想を語るときには老子の文言ばかり引用している。やはりこういう案内書に頼るのは遠回りだな。原典に取り組むべきか。
- 「地獄は一定すみかぞかし 小説暁烏敏』 石和鷹
著者自身ががんに冒され、縋りつくように仏教というか、暁烏敏の思想に救いを見出そうとする。そのあたりが吸引力となってぐいぐい読まされる。ただ、途中から暁烏敏の私生活について記述が多くなり、興味がうすらぐ。また、作為も鼻につく。序盤80点、中盤から後半は40点というところか。
まだ読み終わってないけど、これはいい本だ。考えるヒントがたくさんある。通勤バスの中で読むのはもったいない。じっくり考えながら読書ノートを作って取り組んでみたい。