パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』
ミックさんのブックレビュー
昨日ミックさんのはなしをしたけど、ミックさんがすごいなと思うひとつには、
取り上げている本がことごとくおもしろいということだ。
ミックさんのブックレビューを読んで何冊かゲットしたうちの一冊がこれ。
- 作者: パオロマッツァリーノ,Paolo Mazzarino
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 147回
- この商品を含むブログ (124件) を見る
本屋でみかけたことはあったけど、中は見たことが無かった。
どうせふざけた内容なんだろ、と思っていた。
で、読んでみると
おもしろい。一気読みした。
正直、今もう内容はあんまり覚えていない。*1、
けど、著者のおもしろさへのこだわりはすごいと思った。
そもそも文章を書く人というのは、自分を賢く見せたい欲と無縁ではない。*2
それをさりげなくやるか、露骨にやるか、無意識にやるか、という差はあるにしても。
んで、知識をひけらかしたり、人をこきおろしたりすることもある。
あるいは、突っ込まれない為に、手堅い生硬な文章を書いたり、
やたら人の引用で構成されてたり。
渡邊二郎なんか、文章の半分は引用じゃないだろうか*3。
脱線小話
ちなみに、ぼくが大学時代にお世話になった教官は、学生の頃、
渡邊のゼミに在籍していたらしい。
その教官から聞いた話だと、学生が「フッサールはこう言いました」とか適当な発表すると、
渡邊は、次の週のゼミまでに著作全部調べて、
「どこにそんなことが書いているんだ!」と言って本を投げつけて怒るんだとか。
極めて渡邊らしいエピソードだと思った。
閑話休題
マッツァリーノに話を戻すと、
ぼくが、おもしろいなーと思う文章を書く人は何人もいるが、
ここまで、こういった顕示欲を抑制して、おもしろさに振った人は珍しいと思う。
ほんと、見習いたい。
主張そのものより、主張の組み立てというか話のもってきかたのほうが
勉強になるという、ちょっと変わった本でした。