2008-07-26
■豚が警鐘を鳴らしていた
大機小機 童 さんの寄稿。昨年夏、中国で豚肉価格が上昇した際に、豚の供給を増やせば価格が下がると当局者は考えた。しかし、多くの養豚農民は高収入の建築現場や輸出産業に転職していた。背景には、過剰流動性に基づく固定資産投資の過熱と、旺盛に海外需要による輸出景気。かくて、物価上昇は、豚から他の農産品や工業製品に波及。
余永定氏は、住宅価格を資産価格と考えて議論せず、経済全体の需給アンバランスを低くみて、緊縮措置のタイミングを誤った、と悔やんでいるらしい。資産価格上昇と消費者物価の安定は、日本がバブルの認識を誤った時と同じ状況。
専門家の間では既知のことかもしれないが、それをさりげなくはさまれる筆者の筆致に敬服。
■住宅市場関連法案が米上院を通過
米議会は夏休み前にかなりの仕事を行う。日本の与野党、特に野党にはこの成熟さがない。政治、経済にかかわらず事態の深刻さよりも党利党略を優先するという、経済成長時代には通用した戦略をいまだに適用している。疲弊するのは国民と起業。
住宅保有者への減税
Fannie Mae および Freddie Macについての新規制機関の設置
住宅の担保流れ(foreclosures)を回避する3000億ドルのパッケージ
財務省の両機関向け信用枠の拡大。
■石油元売り各社の会計処理方法
日経記事が「石油元売り6月中間決算 会計処理方法で業績に明暗」はこの件をまとめている。有益。原油在庫の評価など会計処理方法の違いで明暗が分かれたとする説明。
1.総平均法
期初の在庫額と期中の仕入れ額を合計して平均する。期中に原油価格が上昇すると、期初の割安な在庫による利益のかさ上げ効果(在庫評価益)が発生する
2.後入れ先出し法
直近に仕入れた在庫から先に出荷したと見なす。売上原価が時価に近くなり、在庫評価益が発生しにくい。
東燃ゼネ
昭和シェルなど石油元売りの多くは、海外で調達した原油が日本国内に到着した時点の原油価格を基準に仕入れコストを計算する。
東燃ゼネは、海外で船積みした時点の原油価格を基準にしている。
■アジア経済連携の再構築を を読んで
日経社説 アジア経済連携の再構築を 6月に国会が承認した経済連携協定(EPA)の年内発効を目指す(高村外相@日本ASEAN外相会議)。
もっとも、日本の産業界不満:
その1:貿易相手国の関税が一気に大幅削減されるわけではない。
というのは、WTO加盟国に適用される最恵国待遇関税を先行して削減している国もあり、日本とのEPAで定めた特恵関税より税率が低い品目も多い。いわば逆転現象であり、EPAを用いると逆にコスト負担が増えてしまう。EPAを使わないように政府が注意喚起するという異様な事態。
その2:製品の原産地規則の仕組みが不十分で域内で作られたとの証明をえないとEPAの低い関税の定期用を受けられない。
要領よくまとめて問題点を指摘。他の新聞にはない強みだろう。最後に、日本企業が域内統合で果たしている役割に言及しながら
「日本企業は製造工程を複数の国に分散し、それぞれの国で付加価値を積み上げている。原産地を認定する際に部品・材料や労働の価値を累積するルールが明確でなければ、日本企業は永年築いてきた域内の製造ネットワークを生かせない。」
とする。結論に発展性や具体的提案がなく問題点の指摘の繰り返しに終わっているが、やむを得ないだろう。