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 本屋で会社法コンメンタールを立ち読みしてたら,預合いを無効とする点で学説はあまり争ってなくて有効説を採るのは立案担当者だけだ,みたいなニュアンスで書かれてた気がしたけど,どうなんだろう。うろ覚えだけど。100問とか読むとわりと有効説も説得的だから同調する学説が多くても違和感ない気がしたんだけどな。

 会社法は,退社制度を設けないことにより,株式の払戻しを禁止するとともに,株主になる者が会社に対して払込み又は給付をした財産の額を資本金又は資本準備金の額として(445条),分配可能額の内容となる「その他資本剰余金」又は「その他利益剰余金」に算入しないこととし,その分配可能額を超えて株主に対する剰余金の配当を行うことを禁止している(461条,計186条)。

葉玉匡美編著『新・会社法100問〔第2版〕』58頁。

 注目すべきは最後。「計」って会社計算規則だよね?条文見ても166条までしか存在しないんだけど…。
 …と思ってたら,会社計算規則は改正されてたのね(改正前旧規則)。

 社民党党首の福島消費者相は4日、記者団に、「首相は、県内移設をやめてほしいという沖縄の強い思いを受け止めて政治をやっていくべきだ」と注文をつけた。首相が県内移設で決着しようとすれば、社民党内で連立離脱論が浮上するのは確実で、沖縄選出の照屋寛徳社民党国会対策委員長は「『最低でも県外』と言った公約をかなぐり捨て、国外・県外移設の可能性を具体的に検討した根拠も示していない」と首相を批判した。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100505-OYT1T00633.htm

 「もはや戦後ではない」から54年。
 そういえば参院選っていつあるんだろうか。

通常選挙
32条 参議院議員通常選挙は、議員の任期が終る日の前30日以内に行う。
 2 前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から23日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から24日以後30日以内に行う。
 3 通常選挙の期日は、少なくとも17日前に公示しなければならない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO100.html

 ということは,今回改選になる議員の任期満了日が7月25日なので,6月25日以降に選挙があるというわけか。ただ,今国会(第174回国会)の会期は6月16日まで*1らしいので,2項の適用があって,7月10日から16日の間におこなわれることになるのだろうか。そうすると日曜日は11日だけだから選挙執行の日は7月11日で確定するよね。ただ,会期延長した場合は閉会日がずれるから選挙執行日もずれるのかしら。3年前の第166回国会のときは,6月23日までだった会期を12日間延長して7月5日を閉会日としたために参院選が予定より1週間遅れたので,ありえない話ではない。
 かりに会期延長になった場合,何日間延長されるのかよく分からなかったので国会法を見てみたけど,

第12条 国会の会期は、両議院一致の議決で、これを延長することができる。
 2 会期の延長は、常会にあつては1回、特別会及び臨時会にあつては2回を超えてはならない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO079.html

と規定されているだけで,延長できる日数については定めが見当たらない。議院規則にも。ということは,何日延長してもいいってことなんだろうか。
 ただ,

第10条 常会の会期は、150日間とする。但し、会期中に議員の任期が満限に達する場合には、その満限の日をもつて、会期は終了するものとする。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO079.html

とされているから,めいっぱい延長しても,ただし書が適用されて,参議院改選議員の任期満了日の7月25日で閉会になる。そして,その後24日以降30日以内に選挙があるから,どんなに遅くても8月22日の日曜日には選挙がある,ということになるのかな。
 ちなみに,衆参同日選挙をやるとしたら,解散の日から40日以内に衆院選をやらなきゃいけない*2から,会期延長がないと仮定したら,6月1日に解散すれば7月11日に選挙ができるというわけだ*3

 あれ,そうすると普天間問題について5月末決着と言った鳩山さんの真意は衆参同日選挙にあるのかと若干勘ぐりたくなるわけだけど偶然なのかしら。

*1:今国会情報:参議院

*2:憲法54条1項

*3:もっとも,衆議院が解散されると参議院は同時に閉会となる(憲法54条2項)から,6月1日に解散をおこなった場合は国会閉会日が繰り上がって,公選法32条2項ではなく同条1項の適用によって,参院選の選挙期日が原則に戻って6月25日以降となる。そうすると,早くて6月27日,遅くとも7月11日には選挙がおこなわれることになるはず。

 海外では欧米を中心にブロッキングが広がっている。背景には児童ポルノを厳罰化する国際的な流れがある。
 日本の児童ポルノ流通防止協議会によると、英国では大手通信業者「BT」が04年に開始した。同国にも「通信の遮断は事業者の義務に反するのではないか」との声はあったが、パソコンに児童ポルノの閲覧記録が残っているだけで罰せられるほど規制が厳しいことから、同社は法的リスクを認識しつつも違法行為の防止を重視したという。
 欧州にはドイツのように「検閲につながりかねない」との反対論もあるが、欧州連合(EU)の行政府・欧州委員会は3月、「EU域内からは児童ポルノサイトに接続できないようにする」との法案を提示。承認されれば、加盟国は法案に準拠した国内法の整備を求められることになる。
 アジアでも韓国が07年、プロバイダーにブロッキングを義務づけた。海外にサーバーを置くサイトに限っているが、児童ポルノ以外の違法情報も対象としている。

http://mainichi.jp/select/today/news/20100505k0000e040004000c.html

 ドイツで反対論が出ているというのは知りませんでしたね。

 従物について効力が及ぶことを,民法370条によって説明するか,87条2項によって説明するか,には争いがある。
 これは,一方で,民法87条においてドイツ法系の「従物」という概念を定めながら,他方で,従物概念を用いないフランス法系の考え方を,不十分な整理のままに導入したという法継受上のゆがみから生じる対立である。

道垣内弘人『担保物権法〔第3版〕』137頁。

 ということは,民法370条はフランス法に由来する規定なのだろうか。脚注で,立法過程については,角紀代恵「民法370条・371条」広中=星野編『民法典の百年2』594頁以下(有斐閣,1998)参照,となっているので,今度探して読んでみよう。

(利息の元本への組入れ)
第405条 利息の支払が1年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

 なぜかいつも落とすんだよねこの条文。


 債権の定義について。

 権利論との関係で,定義α〔債務者の行為のみに着目する説――引用者注。〕は権利意思説に由来し,定義β〔債務者の行為だけではなく,行為の結果も重視する説――同前。〕は権利利益説をも考慮したものだと指摘されることもある。

中田裕康『債権総論』14頁。

 権利意思説がヴィントシャイトの所説で,権利利益説がイェーリングの所説であることは,青井先生の法理学概説で確認したんだけど,該当箇所を読み進めていくと,現代の学説の箇所で,

 現代権利論の大勢は,考察の重点をそれぞれの分野における権利の構造分析に移している。

青井秀夫『法理学概説』179頁。

とされたうえで,私法分野ではホーフェルドの所説を紹介されている。right,privilege,power,immunityというやつ。どこかで見たことがあると思ったらこれだった。

 権利ということばは,法律上も倫理上もさまざまな意味で用いられる。しかし,誰か(権利主体)が他の誰かに対して有している法律上の地位を指して,権利ということばが使われる点は,共通している。アメリカの法哲学者,ホーフェルド(Hohfeld, W. N.)以来,権利ということばの基本的な用法として,自由(liberty),請求権(claim-right),権能(power),免除(immunity)の4つが区別されている。

長谷部恭男『憲法〔第4版〕』97頁。

 微妙に原語が違ってるけど原典読んだわけでもないしそもそも法哲学は未履修なのでよく分からない。
 ちなみに,青井概説では,公法分野についてアレクシーの基本権理論を紹介しているんだけど,そこに同時に出てくるドゥオーキンの原理とルールの話って,もしかして高橋先生が曹時で書かれてた論文*1の話なのかな。……と思ったら,脚注*2で参照してあった。ちゃんと読んでない証拠だ。

*1:高橋和之違憲審査の方法に関する学説・判例の動向」曹時61巻12号1頁。

*2:高橋・曹時43頁・注3。

 やはり担保物権法といえば高木先生の体系書がメジャーなのだろうか。

担保物権法 (有斐閣法学叢書)

担保物権法 (有斐閣法学叢書)


 ふと思ったのだけど,憲法訴訟って実務上はどういう契機で発生するんだろう。なんでもかんでも違憲主張するわけではないと思うけど,憲法上保障された権利が侵害されていると構成しうる場合にはとりあえず主張してみるんだろうか。


 第三者抵当不動産の一部を分離・搬出し,それが付加一体物たる性質を失った場合に,

 第三者が,当該物につき抵当権の負担のない所有権を即時取得(民192条)することはありうる。

道垣内弘人『担保物権法〔第3版〕』181頁。

とされるのだけど,この場合は抵当権設定者に,当該分離物の処分権限が存しないということを前提にしているのだろうか。そうでないと192条は適用できないように思えるのだけど。

 第三者は,当該物について抵当権の効力が及んでいることを一応知っていても,自らへの処分が抵当不動産の通常の使用の範囲外であることについて善意・無過失であればよい。

道垣内弘人『担保物権法〔第3版〕』181頁。

との記述が続いていることからすれば,192条が適用されるためには,設定者の処分行為が通常の使用の範囲外,すなわち,処分権限なき処分にあたることがやはり前提になっているのだろうか。


 客観的帰属論が予備校テキストに載ってるのを見るとなぜか笑ってしまう。


 ものは試しで読んでみるものでありまして。

 近年,別に,責任説(Schuldtheorie)と名づけられる見解が普及している。これは,目的的行為論と結んで有力化したものであって,故意の観念を犯罪事実の表象を内容とする事実的故意(Tatvorsatz)であるとし,違法性の意識ないしその可能性は,故意とは別の独立した責任要素であると解するのである。

大塚仁『刑法概説(総論)〔第4版〕』463頁。

 責任説は目的的行為論と結び付いていたのね。責任説に対して違和感を覚えた理由がなんとなく分かったような気がする。