vol.16 建築家 猪熊純 成瀬友梨

建築家である猪熊 純さん、成瀬 友梨さんにインタビューをしてきました。
インタラクティブな風景」等、新時代にふさわしい空間コンセプト等についてお話を聞いてきました。
なお、お二人は11月1日から4日までヒルサイドウェストにて
展覧会「ひとへやの森 インタラクティブな風景展」を開催されます。

実際に空間を体感できるチャンスですので、僕らも遊びに伺わせて頂きます!


猪熊 純/一級建築士
1977    神奈川県生まれ
2002   東京大学工学部建築学科卒業
2004   東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修士課程修了
2004−06千葉学建築計画事務所勤務
2007   成瀬・猪熊建築設計事務所共同主宰
2008   首都大学東京助教

成瀬 友梨/一級建築士
1979   愛知県生まれ
2002   東京大学工学部建築学科卒業
2004   東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修士課程修了
2005−06成瀬友梨建築設計事務所主宰
2007   成瀬・猪熊建築設計事務所共同主宰
2008   東京理科大学非常勤講師

interview内容 (以下敬称略)

インタラクティブ/オープンエンド」

猪熊:いきなりだけど今日は僕らがg86にインタビューしようかな笑

一同爆笑

猪熊:g86はスタンスはある意味明解だよね。学校の課題とg86の活動の違いに、違和感を感じたりしないの?

鎌谷:3年の時はいろんなことに閉塞感を感じていましたけど、最近は相対的に落ち着いて見られるようになりました。研究室で籠って専門的な議論をしたいときもあるし、g86でオープンなことしたいときもあるし。

山道:g86に至った最初のモチベーションは、僕が昔、千葉学さんの事務所に通っていた時に、猪熊さんにコンペを100個くらいやれとか言われたことあって、それで一年生から鎌谷といろいろ作っていたんですけど、コンペに参加するっていう当たり前の手続きから考えなおそうと思って、じゃあg86をやってしまおうと笑。

猪熊:僕、そんなこと言ってたんだ笑。でもそこで(g86をやろうと)動けるのがすごいよね。コンペって結局は審査員の考え方に動かされるでしょ、本当に新しいことやろうとしたらコンペじゃ出来ないもんね。

鎌谷:実作が無くinterviewやっていたとき東京R不動産の林さんに「じゃあどうするの?批判もいいけどそのまえになんかやっちゃいなよ」といわれたことがあるんですけど、それでもう今回の空間デザインとかアーキサミットとかゼロからやってしまおうと。

猪熊:それでやりはじめると意外なところから広がってつながっていくのが面白いよね。

成瀬:あと人づたいにっていうのも大きいよね。

山道:僕らのinterview形式も人づたいいに行くとある人とある人が意外なつながりを持っていたりして面白いですね。

猪熊:最近ぼくらが面白いと思っていることを君たちがすでにやっているから話をきいてみたかったんだよね。

山道:猪熊さんと相当議論したというのもありますが、僕らの世界観って似ていると思うんですよね。今回のお二人の展覧会のテーマであるインタラクティブな風景っていうのもすごく僕らの感覚に近いところがあって、建築だけじゃなくて内部に納まってくる物とか人との距離感の重ねあわせで風景が出来ていて、そういうのをインタラクティブという言葉で説明してると思うんですけど、共振する世界観がありますね。

猪熊:今回のインスタレーションもある意味g86の言うオープンエンドを建築でやろうとしているところはあるからね。スタートしたらあとは走らせるみたいな。


「建築言語を超えて」

山道:お二人の今までのコンペ案とかみていて、建築を屋根とか柱とか壁とかのいわゆる建築言語でないところから考えていますよね。

猪熊:たしかに言語スタートではないかもな。

鎌谷:コンペの案のとっかかりは何からですか?

成瀬:ふたりでコンペする笑。

猪熊:そう笑。まずカタチをつくってみる。どういうことが起こりそうかなって考える。二人で話し合ったりインターンの子達とも対等に話し合う。ボリュームスタディとかはあまりしないかな。

成瀬:あとでボリューム違った、小さいかも、みたいなこともあるよね。

猪熊:一人で興奮して面白いとか言って、さんざん一日中スタディして、あとでやっぱ納まらない!みたいな。でもそうやってスタディして偶然できあがるものを楽しんでいるところもある。

山道:藤本壮介さんが去年東工大にレクチャーに来たんですが、その時は敷地からはみ出していてもまずは無理に納めずに設計をすすめることもあると話されていました。

猪熊:そうだね。そこで制約はしたくないんだよね。やっぱり決まったスタディの順序からは、決まったものしかでてこない。ボリュームスタディをすると、結局できあがったものがスタイロの形だったりする。紙でやると自然な曲線がでたりする。そういう意味では、一般的なスタディの順序をわざとひっくりかえすようなこともあるかもしれない。行き詰まると模型材料を変えたり。たまたま来ていたインターンの子に適当にやってみて、とふったりして。

成瀬:すると、そういう考え方もあるんだ、って気づいたりして。

猪熊:模型をつくった本人は気づいていないけれど、勝手に僕らが解釈側に回って、これはこういうところが絶妙だね!とか発見して。

山道:いろんなフェーズで思考が進歩していくと思うんですけど、最終的には建築っぽく見えると思って、それは最終的にはそういう落としどころはあるんですか?

猪熊:そういう落としどころがあるのが、果たしていいのかまだよく分かっていないところもあるんだ。成瀬と僕は、この辺なら最終的に面白くきれいにアウトプットとして完成しそう、というのはそんなにずれていなくて、だから最初はオープンコンペ形式でも、最終的にわりと二人とも納得いくものになるんだけど。でもむしろ最近は、それをわざと疑問に思うようにしている。出来たものが落ち着きすぎているんだよね。もっと壊れていてもいい、というか。きれいにまとまってしまっているものが多くて、説明も論理的に出来てしまって。たぶんコンペ主体でやってきたから、というのもあるかもしれない。変に相手を説得するようにやっているところがある。以前、テレデザインの田島紀之さんに、ワークショップで自分の作品をプレゼンした時に、一見直感的な形なのに、かなり論理的に説明可能だよね、と言われて。最初は直感的に始まっても最終的にはきれいにまとめてしまっているのがばれてしまっていて、それは甘いんだなと思った。そんなの分からないくらいに、一体どうやってやっているんだろう、と思われるくらいじゃないといけないなと反省した。
「ひとへやの森について」

「ひとへやの森」

鎌谷:今回の「ひとへやの森」展覧会の設計の流れはどうだったんですか

成瀬:これは、ワンルームにおける新しい住まいの提案のコンペだったんだけど、30平米のワンルームって、どうやっても狭いし、壁で仕切るとか、ボリュームを浮かせるとか思いつくようなものは、全部出尽くしている気がしたの。だから全然違うもの、30平米全部見渡せるというものをつくろうと思った。最初30パターンくらいつくって猪熊くんに見せたりしていた。私は今回展示する案の原型が一番気に入っていたけど、猪熊君はこんな木みたいな形は好きじゃないかなと思っていたから、「こんなのもありますよ・・・」って恐る恐る出したら、猪熊君がいいって言ったので、そこから始まったんだよね笑。初めは木の形をした面を置いていたんだけど、それを立体にして枝を減らして、カタチをどんどん単純にしていった。

猪熊:今回のに関して、その後細かく頑張ってたのは、家具の置き方。物を置いていくとびっくりするぐらい部屋の雰囲気が変わっていくんだよ。面白いなと思ったのは、自由なようで結構部屋の外形に引きずられるんだよね。一見部屋の外形には関係のない置き方をしたいと思うから、ベッドを壁に平行に置かなくても自然に見えるように木を配置するのに、すごく時間がかかった。普通にやると壁にぴたっと寄せちゃったりするんだけど、そうすると木によってプランが決まっているんじゃなくてギャラリーの形によって決まっているように見えてしまって。そこで微妙に調整をして行くと、部屋に全く影響されていないプランに見えるようになってくる。でも風呂は窓際にあったほうが気持ち良さそうだ、とか、部屋の環境は利用しようとして、全然矛盾したことをやっていた。部屋の細かい環境を反映しつつ、ぱっと見では全く関係ないように見えるプランをつくるっ、ていうことをやろうとしていた。

山道:そうやってスタディをしていくと自然に収束していきましたか?

猪熊:数ミリ程度は動くかもしれないけど、もう一度一から設計しても、たぶんまたこういう配置になると思う。

成瀬:全然頭にあたらないようなプロポーションの木じゃ面白くないんですよね。木が目の前を横切ってもらわなくては面白くない。

鎌谷:人をおいてみると、目の前を横断していくのが面白いですね。

鎌谷:素材は最終的には?

猪熊:木だね。木のまま何も塗装をしないで、ベースプレートをつくって4枚さくさく刺していく。設計はどうやっているかというと、とりあえず頭がぶつからずに通れる経路を一応確保したいということで、図面で枝の下端が1800の点に印をつけて、そこから半径700くらいの円を描いて、その中に他の枝の高さが1800の点になるのが一個も入らないものを確保して、奥まで行けるようにするっていうことをした。それを模型に落とし込むと、通れるところが分かりやすくなりすぎて、全体として疎密があるだけっていう状態にならなくなってしまうので、何度もスタディして。最終的にいろんな場所の寸法がちゃんと確保出来ているけれど、全体の雰囲気も一番最初に想像していたものにかなり近いところまで来たかな。

「ひとへやの森」のplan


山道:高さ方向で枝同士がからんでいるところとかって図面だけだと設計できないじゃないですか。以前新建築に出ていたルーム101も奥行きが変わると空間が変わるみたいな話をしていたと思うんですけど、ああいう立体的な空間があるっていうのは模型スタディが強いからなんですか?

ROOM101(撮影:西川公朗)

猪熊:そうだね、なんだろう。もちろん最終的に立体的にはなりたいけど、それ以上に求めているのはなんだろう。

鎌谷:平面断面から考えることはないんですか?

猪熊:ある。僕はわりとスケッチが最初だったりするんだけど、スケッチだとある断面や平面から見ると、ずっと同じだったりする時に、いつもすぐやるのは全方向から同じルールでつくってみてぐちゃぐちゃになりつつも模型化してみること。たとえば断面で見たときに、ある形があるとして、それを上から見てもそうみえるように一生懸命つくるんだよね。

山道:9坪ハウスのとかもそうですよね。

9坪ハウス

猪熊:そうだね。近いかもしれない。

鎌谷:今回の展示では家具はどこから調達するんですか?

猪熊:家具は、ヤフオクで買ったりとか。笑

成瀬:あと、自分たちでつくったりとか。

猪熊:オープンデスクに来ている子達に、面白いものない?って来てくれる度に聞いたりとか、メールでも持ち込みたいものがあったら写真を送ってくれ!って言って、面白いものはどんどんおいて行くっていうことをしている。今ね、ちょっとづつものを決めていて。

鎌谷:もの置く時めっちゃ楽しそうですね。

猪熊:ものはね、前日10人くらいで入って置いてくつもり。本当に、家具を増やして行くと空間の感じが変わる。たぶん出来上がったものを見るのが一番早いんだけど、何もない殺風景さと、沢山ものがあるときの違いがすごく面白くて。建築だけだと完成しないものを求めている感じが、自分たちでも不思議だなと思っていて。不完全な状態を一生懸命目指してやっているところがあって、僕らがこれで決まりって思えているのは、何を根拠に思っているんだろうね。ものが入らないと完成している感じがしないっていうのは、それこそオープンエンドじゃないけど、自分たちはどういう完成形を描いているのかなって思うよね。

鎌谷:そういう考えは学生の頃からですか?

猪熊:最近かな。

成瀬:最初はそんなんじゃなかったよね。

猪熊:きっかけはなんなんだろうね。

成瀬:なんでしょうね。笑

猪熊:きっかけは分からない。でもそうやって、建築の外側にあるものと、建築の間くらいを一生懸命目指している。そういうところを目指しているんだって言葉で気がついたのは、本当に最近。でも昔のコンペの自分のコンセプト文とかを見ると一生懸命そういうことを書いている。ショップのコンペでも、ただ洋服を並べて、雰囲気はゴテゴテのデコレーションで成立させるのではなくて、なんかもっと、触らなくても布のやわらかさがわかるディスプレイを仕上げてみたい、みたいなことを書いている。最近になって、結局全部同じかと気付き始めた。

成瀬:おなじだって思ってなかったんだよね。

猪熊:そう。うちら毎回違う事やるよねってことを、ずっと思っていたんだけど、どっかのタイミングで、ああ、これは実は同じ事をやっているって気がつき始めて。

成瀬:何がやりたいの?って聞かれた時に考えたんだよね。

猪熊:建築じゃない人で、デザイン関係の仕事をしている人に、たまたま会う機会があって、「君たちは建築で何がしたいの?」って聞かれた事があった。その時はポートフォリオも持ってなくて、言葉だけで何か言わなければいけないんだって所に立たされた。その時に初めて、自分達がやっていることを考え直した。

ショップとか内装とかだけじゃなくて、大きな駅のコンペとかも、だいたい同じような事で説明できそうだっていうのが、最近の発見で、そっちが決まってくると、今までのプロジェクトにいろんな説明が加えられそうだったりして、それは面白いなっていう風に思う。

山道:面白いなって思うのは、たとえばこの図面とかでも、いわゆる各階平面図では書けないじゃないですか。

猪熊:かけない。

山道:新しいこの円とか、グラデーションで表現したりとか、表記の仕方が新しいものがでてきて、普段の平面図では表現できないという事は、やっぱり空間も新しいと思うんですよね。Room101も、1個の断面で書けなくて、いくつもの断面が書いてありましたね。セシル・バルモンドも一個の断面で設計していたらだめだって言ってましたよね笑。
一枚の平面図や断面で書けないということが、動的な広がりを内包することに繋がっていますね。

猪熊:それはすごいある。それが自然に出てくるのが嬉しい。

最初からこのやり方(円やグラデーションを使ったスタディーや図面表記)でスタートするのはたぶん思いつかないと思うんだけど、やっているうちに、こうしないと細かい検証が出来なくなっていくんだよね。それが結果的に新しいことをやっているという自信にも繋がる。

成瀬:行ったり来たりしてやったもんね。模型をつくって、図面に戻って検証しなおして、また模型をつくって・・・みたいな。笑

山道:千葉事務所担当作品の盲導犬センターの作品を見ていると、建築言語でのみでつくったという印象で、方流れがあって廊があって柱があって、今と真逆だなと思いました。あの頃からの変化等ありますか?

猪熊:やっぱり千葉さんのやってることから、すごい影響を受けている部分と、全く変えてやろうというところとが半々くらいある。近いというか、引きずってるなって今でも思うのは、敷地に行った時に、その敷地の雰囲気の感じ方だったり、読み解き方。例えば盲導犬センターだったら、千葉さんは微妙に坂になって富士山の方に傾いていたりする地形まで活かしたいと思ったりする人で、そういうのを活かしたら楽しいよねっ、て初めて敷地に行ったときから言うんだよね。そういうのは、僕もやっぱり好きだね。違えようとしている部分は、つくる段階で、そういう言語的なものを超えたところで、いわゆる建築ではないかもしれない部分からくみ上げたいなと思っている所。

今回のインスタレーションも、家具なのか、柱なのか、壁なのか、というところで説明しようとすると無理だし、どこかにあてはめようとすることすら無意味で。そういう考え方でどこまでいけるかというのは、興味がある。

山道:ものとかを掛けられるんですよね。

猪熊:いっぱい掛ける。

山道:構造じゃないんだけど、化粧じゃなくて、なんかインフラ的でもあるじゃないですか。それが面白いなと思って。建築の言語の新しい部分になるのかなって。新しい生活の何かを担保する、名前はまだ持っていないけど新しい言語のようにも見えます。

猪熊:なんか、ひとつのもので沢山兼ねたいんだよね。柱は、何々をするもので、って、役割分担が明快でしょ?建築というものすごく複雑でデカイものを、手早く奇麗につくるためには、そういうのは必要だったんだと思うけど。特に大量につくろうとしていた時代は。

インターナショナルに全部に広めたいって思ったら、明快に分かれていないといけないのかもしれないけど、今の僕らは全部兼ねて一個のものをつくりたいと思っている。

山道:役割的なものの話なんですけど、オーノJAPANの大野さんが面白い事を話されていて、柱/梁とか言語的に分節するのではなく柱も梁も同じようなものだと捉えると可能性が広がると言っていて、すごい予算が安いプロジェクトで、基礎のコンクリートをそのまま立ち上げたプロジェクトがあって、そうすると、基礎屋さんが壁までつくれるから安くなるし、壁だけどそれが梁を兼ねているかの様に見ることが出来るし。一旦形式化したフィルターをはずして建築を捉え直すと、新しいものが見えるんじゃないかと言っていたのですが、それが今の話と似ていると思いました。

猪熊:そうだね、本当に。いろいろなモノを全部引き受けるという意味では、少しは梨は違うかもしれないけど、いわゆる形式を突き詰める事とコンテクストを深める事、どっちも引き受けたい。千葉事務所にいたときに、友達に盲導犬センターについて、「千葉さんはコンテクスチャリズムじゃなかったの?形がすごい形式的だけど」って言われた事があって、その時僕は勝手に、両立できるんだよって答えた。それは今も残っているところで、コンテクストだけを拾って、それにだけ従ったものをつくると、他全部を捨てている事になる。例えばコンテクストが変わったらその建築はもう価値がないものになってしまうというものはやっぱりつくりたくないから、コンテクストはもちろん、それと同時に、使う人の人数から、プログラムから、雰囲気まで全部統合したものにもっていきたいなって思っている。そういう意味でも、一個のものに突き進むんじゃなくて、たくさんのものをぐにゅーって引き入れられるものになりたいなというのはあるよね。

山道:塚本先生が今と真逆の事を言っていて、車だと、最近バンパーとボディーを三次曲面で統合したデザインとかあるじゃないですか。それだと事故を起こすとボディーを全部変えないといけない。だから車はバンパーがあってボディーがあって、それでいいんだって言っていて、逆にそういう思考もあるんだなって思いました。

猪熊:なるほど!それはどう論破すればいいのかなあ。笑

山道:分節している事で、逆に活き活きしてくる可能性もありますよね。バンパーだけを交換すれば車は生きながらえる。全体の形式の問題につながると思うんですが、ひとつものであると、逆にある種インタラクティブさが欠ける可能性もありますよね。

猪熊:形式の方が前面に出ちゃうってことだよね?建築家の押し付けがましい空間に成りかねないという事だよね。その感覚はすごくよくわかる。それを避けようとして、モノや人を全部抜き取った時には形式があきらかなんだけど、全部入った時には形式がなくなってしまうようなものでありたいなと思ってるんだよね。

素材の選定も、今回のインスタレーションは木で出来ていて、建築の形をすごい見せたい人だったら、他のものは同じ素材を入れないと言うこともできるんだよね。本体は木だけで出来ていて、他は例えば最初は全部の家具をワイヤーでつくろうと言う話もあった。でもやっぱり納得がいかなくて、家具まで全部合板にした。出来上がったら、どこまでが形式かわからなくても楽しい空間になっていればいいじゃないかという風に思っている。

鎌谷:それはすごくドローイングに表れてますね。

猪熊:そうそう。完全に等価にしてしまっている。

鎌谷:それだけ見せたかったら、そこだけ色変えたり、家具だって、もっと統一感ある家具を使いますよね。

猪熊:形式が見えないということと、形式が無い、ということは違うと思う。

もし形式自体がなくなってしまうと、あなたは何をやっているのですかという問いに対して、建築家である意味がなくなってしまうと思っている。ものがどんどん交換可能で、いろんなものが移り変わって行く、その下のベース見たいなものをつくりたい。仮に、今回のような内装を塚本さんの車の話のように部品ごとに交換可能にしましょうというと、部屋の内装は構造すらないから、建築家は何もやれないというとこに行き着くと思う。好きなものを買って、自分のインテリアをつくればいいんじゃないかっていう、建築家が何もやらない方向に行く気がして、そうではなくて、形式があるからその活き活き具合が半端ないですよというものをつくりたい笑。

一同爆笑

猪熊:普通に部屋を放っておくと、空中にものが浮くということはほとんどないんだけど、こういうのがあると、勝手にいろんな人が、やると思うんだよね。その結果、元の形式はなんとなく消えてしまっても良くて。それを可能にするいわゆる構造ではないけど、空間の構成的な意味での構造は必要じゃないかなと思っている。

山道:前、千葉さんの講演会の時に、質疑応答で、乾さんが、これは盲導犬センターとしてだけでなく、幼稚園にも使えそうですね。とおっしゃっていたのですが、それは面白いなと感じていて、そういう風に建築が再生産された事は実際にはあんまりないと思うんですけど、ある種形式を突き詰めて行くと、条件とかは盲導犬の条件を詳細に引き受けているけど、結果として出来上がる空間は、何か別のものも受け入れられるぐらい強くなるのかなと。

鎌谷:形式が強くなればなるほど、交換可能になりやすいかなと。平田さんのHONDAの耕耘機の建築はすごく形式が強いけど、あれは違うものでも使える気がして、交換可能な気がします。平田さんもそういう事を言っていて、時間が経っても最終的に形式が残ればいい。それくらい原始的なレベルで考えている。逆を言えばなんでもいいって言えますけど笑。バランスですよね。

猪熊:たぶんそこからすると、僕らはどういうものが来るかという事に対して細かいのかもしれない。何でもいいとやりすぎると、誰にも使われないという事がある。今回のインスタレーションなんかは、ものをぶら下げてからもスタディが続いて、木の形が変わっていくんだよね。だから部屋の中に置かれるもののサイズとかを反映しているんだと思う。形式はすごく大きな建物の構造体に同じ様に転用可能かって言うと、ぼくらは嫌ですと言うと思う。僕らはこれは部屋のサイズくらいのスケールでしか使えないと思っていて、ワンルームの部屋に来るもののスケールって決まってるから、本当に1つ1つものをぶら下げてみて、そういうものとうまく調和するようにやっている。大きさとか数とか、ひらく場所とか、椅子の高さのどの辺りにくると楽しそうかということを考えていて、中に入って来る細かいものに結構依存しているところが多くい。使われ方はどうでもいい、と言いすぎると、形式が強い建物が生まれてしまと思う。威圧的になるというか、活き活きしないんだと思う。だからどういうもので活き活きさせたいかというところはこっちが方向付けているところがあって、そうして初めて、建築が消えて行くようなものが出来ると思う。

建築は最終的には消えてもいいとして、何で消えて行くかというとこはこっちが決めている。このインスタレーションだったら家具で消えて行く。

坂根:枝や幹の幅は全て同じで出来ているともうんですけど、この幅を変えたりとかしたんですか?

成瀬:この純粋な形に成る前に、もっと有機的な形だったときは、やっぱり先の枝は細かったの。幹があって、枝があって、小枝があって、というのだったんだけど、そのヒエラルキーも嫌で、もっと木なのか、植物なのか、草なのか、よくわからないような形にしたいというのが、途中で出てきた。途中で猪熊君も、上いくほど細い方がいいかなとか言ったけど、最終的にこうなりました。

猪熊:これが面白いのが、一本だと木に見えないんだよね。でも八本だと森に見えるんだよね。本物の木を8本いれるよりは、よっぽど森らしい空間になっていて、森っぽい部分だけ抽出しているけど、1本だけでは木に見えない。一本だとコートハンガーのお化けみたいなただの家具なんだよね。笑

山道:最初の、内装のプランはアルミ押し出しみたいなものだったじゃないですか。素材の話とかありますか?

猪熊:ちょっと前に、もしかしたら実際の賃貸の部屋につくれるかもという機会があった時に、素材も色々使って、キッチンのそばだったら、ステンレスでつくったり。同じ素材のものが、たくさん家具としてあって、他の家具やものが全部持ち込まれた時に、どこまでが僕らが決めて、どこからが住む人が決めたのか分からない状態になったら、面白いなって思って、そういう風に素材を決めたらいいかもねって話していた。結果的に値段のこともあるし、まわりの家具を合板でつくるから、全部合板と言う形になった。

成瀬:家具に関しては全部、家具やさんから家具借りようとしてたんだけど、でもなんか違うかなと思って。ショールームになっちゃうかなって。あと、住んでいるお家を再現するのとも違って、ギャラリーだから作品ぽくも見せたいしという、微妙なところを攻めてるつもりなんだよね。

猪熊:家のようでもあり、ギャラリーでもあり、

成瀬:実物大の模型の様に見えてもいいかなって。

猪熊:実際の家の様につくり込みすぎると、なぜかショールーム化していって、家らしく見せようとすると、本物の家とは違うデザインをしなきゃいけないっていう不思議な事になっている。家らしく見せたいため、家らしくないものを投入していくみたいなところがあって、わざと模型っぽくした方が、家らしく見えたりする。

成瀬:だからといって、全部の家具が木で出来ていたら変だったんだよね。微妙にお風呂とか、本物も混ざってないと変で。

猪熊:合板でつくって、頭の中でイメージして下さいっていうところと、本物のワシリーチェアを入れたりしてリアルなところがあったり、その辺のバランスは、もう勘ですとしか言えない。でも勘ではあるけど、混ざっていていいんだって言う決断は頭でしている。普通にスタートすると、全部合板とか、全部借りてきたものとかになるところに、混ざるからこそ面白いと言う判断を下せるのは、やっぱりスタディーのあとの、理性的な決断だったりして、その辺が設計って面白いなって思う。

成瀬: 入れていくものは、手伝ってくれてるオープンデスクの人には支えられていますね。模型のスタディーはみんな楽しそうで、オープンデスクの子を5人くらい放っておいても勝手にやってる。

鎌谷:女の子とか好きそうですね。シルバニアファミリー的な。笑

一同爆笑

猪熊:そうそうそう。そうやって盛り上がるってことは、いい設計なんだって勝手に好意的に受け止めている。

「やっぱりシャンプーハットいりますよね」とか絶対普通は出て来ないだろうというのをみんな言ってくるんだよね。そういうのはみんなに任せておいた方がむしろありきたりのものにならなくて、「ダンベルをブックエンドに使うとかアツイですよ!」とか。笑


「建築教育について」

鎌谷:今お二人とも大学で教えていらっしゃってどうですか?

猪熊:おもしろい反面、怖いなと思うのは、学校てやっぱり教える・教えられるの関係が形式化して整えられすぎてる場だなと。本当はこうやって話していると、僕らもおしえられることがあるし、今日みたいに、どっちもお金を払うことなくやるのは、どっちも学べるからでしょう。本当はお互いにメリットがあるはずなのに、やっぱり60人を前にして教壇に立つという構図が、教える教えられるの関係をすごく決めてしまって、学生は全部言うことを聞かなきゃいけないし、僕らは学生から教えられるチャンスをちょっと失っている気もする。

小林;想定外のことがうまれなさそうですね。

猪熊;こっちが決めた課題を一方的にエスキスして、しかも60人いると一人当たりが長くても5分とかになっちゃうので、それでいいのかな?と思う。やっぱり30分くらいしゃべらないと。後半になるほど盛り上がるとかね、そういうこともあるじゃん。そういうのに疑問を感じることもあるし、でも、疑問を感じるからこそ、がんばっている子には直接いろんな話をしに行ったりとかして、なるべくおもしろいことを拾おうと、意識的にはやっている。

鎌谷:猪熊さんのスタイルって、この事務所と一貫していますね。みんなと同じようにフラットに。

猪熊:そういうふうにやりたいですね。でも二年生みたいに、建築始めたばっかりの子には、スコヤはこう使うんだよ、とかからスタートでしょ。だからやっぱりある程度、いわゆる教える側・教えられる側の関係ができてしまっていて、その子とかがオープンデスクに来るとやっぱり、全然対応の仕方が違うらしくて、違いますねと言われる。やっぱり先生面しているんだろうね笑。

一同爆笑

猪熊;だから教育についてはいろいろ方法を模索しています。学生は事務所でわいわい適当にやっている僕をみるとびっくりするらしくて笑

成瀬:適当なの?笑

一同爆笑

猪熊;結構、事務所でスタディする時は、最初のうちは本当におもしろくなるかということさえ考えずに、ワーってフラットに案を出す。で、これはおもしろいのかな、よくわかんないね、はい次へいこうみたいな。よくわかんないけど別にokっていうスタンスをとるのに対して、学校のエスキスは5分の中で的確な答えを出さなきゃいけない。これはこうするとよくなるとか、スタディーは普通こうやるもんだ、とか答えを出そうとしている。だから事務所での「まぁいいや」っていう僕が新鮮らしい笑。「わからない」連発なんだよね、事務所では笑

成瀬:答えを一瞬で出すのではなく保留にしておきたいんだよね。

猪熊;コンペだったら提出三日前まで保留にできるし、今回の展覧会だったら、コンセプト文をここに書くまで保留にできる。学校は5分でこたえをだすところなんだよね。それが一番違和感を感じる。だから例えば東工大ではどうなのかもすごく気になる笑

成瀬:火曜日(注:理科大で藤村さんと一緒に非常勤講師をしている)チェックしてきます笑

山道:藤村さんは僕らがやることを言葉で整理してくれて背中をおしてくれる。吉村さんは、僕らのフレームを壊して遠くへ飛ばしてくれる。先生は、たとえ課題でも歴史の中での位置づけまで考えろと。

猪熊:なるほど。僕の印象では設計型とアドバイス型があるよね。僕は設計型なんだよね。お前が設計すんなよって言われそう笑。

成瀬:そうだね笑。まよってる子にはありがたいよね笑

山道;どうしたらいいですかってエスキスというか決めさせに来る子もいますよね。

成瀬:そういう子はいますよね。なんで建築にきたのかなとすごく不思議になる笑。何故この学科を選んだんだ!と問いたくなる。だって高校のときに建築を選んだんでしょ!って笑

山道:徹夜を要する学問ですからね笑




「建築家としての位置づけ」

山道;藤本壮介さんや千葉さん以降で東大周辺の建築家で、若手では猪熊さん成瀬さんが出てきたと思います。猪熊さんが千葉事務所出身というのもありますけど、昔猪熊さんから聞いた話の中でも藤本壮介事務所のオープンデスク経験の話もありましたし、そういうので、思考を受け継いだのもあると思いましたし、自信のそういう位置づけみたいのって意識していますか?

猪熊;オープンデスク経験はめちゃくちゃ効いている。コンセプトとか、自分の設計スタイルとか以上に、スタディーするってこういう感じかっ、ていうレベルで。どんどん模型を作ってのぞいてみてっていうことを、どんなペースで、どんなタイミングでやってるのか、とか。所員を巻き込んで話し合ってる感じだったり。そういう、ものをつくる具体的な雰囲気みたいなものを肌で感じたのは初めてだった。結局学校では建築家がスタディしているところって見えないじゃん。やっぱり藤本さんのところで、藤本さん本人が考えながら設計を進めてゆくのを見れたのがとても大きい。

これは要はなんなの?とか言われて、んって止まって答えられないようなこととか、よくあった。そういう建築家の日常の振る舞いを初めて体験した感じがしている。

成瀬:あれは大きかっただろうね。猪熊君は変わったもんね。学生のころの猪熊君は頭で考えて、スタディをしなかったよね笑。

猪熊:スタディしない人だったんだよ。

成瀬:頭で考えてそれを形にして、はいおしまいっていうタイプだったから、藤本さんのところに行った時は「今日こんな風にすごかった!」とか、「こんなこと言ってた」とか、おお、はまってるなって。笑 楽しそうだったよね、すごく。

猪熊:そんなリアルに藤本さん自身に語ったことないから、これ結構恥ずかしいね。笑

成瀬:私も昔SANAAでバイトしてた時があって、それが無かったら多分設計をやってないと思うし、学校で何やってたのかって最近思うんだよね笑 特に設計に関しては。

猪熊:学校は自分の中での、コンセプトメイキングとかには練習にはなっているけど、いわゆるモノの形を決めるみたいな、そういうレベルでのスタディは僕はあんまりしてなかったなって思うもん。1mmずつ移動してみるとか、プロポーションをちょっとずつ変えてみるとかっていうのは、多分今の子たちはやってるんだけど、僕は学生の時やってなかったなあってすごい思う。

成瀬:プログラム建築がはやってたからかな。

猪熊:それもあるよね。レムがはやってた最後の世代でもあるから、なんか面白いことをやって、かっこいいダイアグラムを書いたら、設計だいたい終わりみたいな、半分手抜きだったの笑 僕の中ではね。うまく切り抜けようっていうのが人一倍あるタイプだったのね。笑 そういう意味では、藤本さんのところに行ってよかったなって思いますね。

山道:僕がよく覚えているのは、藤本さんが、模型を見た時に、全然違うプログラムなのに「神殿に見える」と言ったエピソードですね。

猪熊:そうそう!駐車場をスタディしているのに、「これはカテドラルだね」って笑

一同爆笑

猪熊:その直感力はすごいうらやましいと思った。別なスタディでは「これは要は墓場だよね」とか言ったりする。笑 もう何だこれはって、それは衝撃的だったね。本人はなんにも意識していないのかもしれないけど、僕はいちいち衝撃をうけてたね。



「流行?」

山道:最近蔓延する空間のイメージっていうのが、開口でつながっていくようなものだったり、内観写真でも、違う建築でも、作家が交換可能なんですよね。窓が開いてて、向こうの風景が見えててまた窓があるとか。

猪熊:だから僕らも出たいと思いつつ、どこかで引きづられているのが、すごい悔しくて、一生懸命変えているんだけどね。まだ甘い。だからあの辺にある模型は四角い窓じゃない開口を合理的に作ろうとして必死みたいな。笑 全部八枚のパネルだけでできてて、中覗くとね、壁が半分覆ちゃっているんだけど、360度上から全部風景が降ってくるみたいな、不思議な空間になっているんだよね。これができるかもしれないぐらいだよね。これは自分らしい方向に持っていきたいよね。カワイイ建築と逆方向でうちは何故か笑

成瀬:カワイイって言われたくないんですよね。どちらかというと、ワイルドに思われたいんですよね。

猪熊:笑。



「これからについて」

山道:これからの長期的なビジョンはありますか。

猪熊:事務所的には、建築のちょっと外側にあるものと建物の関係でものが出来たらいいなっていうのはしばらくは続くと思う。飽きたらやめると思うけど。笑

成瀬:それぐらい変わり続けていける方がいいよね。

鎌谷:僕らも、結成して一年ですけど、色々と変化していますね。昔の僕らの考えとか今とはやっぱりどこか違うんですよね。それをたまに振り返ると楽しいですね。

猪熊:楽しいよね。いつも昔の自分が恥ずかしいぐらいがいいよね。笑

成瀬:あの頃の自分は良かった、みたいなのは絶対嫌だよね。笑

猪熊:よく言われるけど、今、モダンの時代みたいに一個の真理を見つけていくっていうのは不可能でしょ。大きな物語によって全部出来ますっていう一方的な、提案する側がいされる側が従うっていう構図じゃ無くなっているじゃん。使っている側が少しずつ少しずつ動かしているような所があるから、一方的に提案するスタンスだと、出来たときは良くても、ユーザー側が使っていくと結局建物は古びていく。そういうのではなくて、一緒に変わっていかなければいけないっていう建築を作れるかどうかっていうのが、勝負所だと思っていて、そこが大きいかな。

鎌谷:なるほど。

猪熊:そういうときにインタラクティブっていうキーワードは大事かもと思った。100年残す気だったら。NAPの中村拓志さんが、「僕は白い綺麗な建物なんて、選択肢の一つであって、どっちみち相対化されているんだから」って言っていて、そういうスタンスはすごく攻撃的で好きなんだけど、すごくエロティックだからそういうのしてくださいって言われて、そういうものを作っても、施主が変わっちゃったら、いきなり全部変える話になっちゃう。モダンが相対化された、ということを引き受けつつ、それでも建築で対応するっていうスタンスは崩さないとすると、建築が建ったまま変化するしかないのであって、それがインタラクティブということなのではないか。ただ、その建築の周りにあるものが何なのかっていうのは僕らもよく分かっていなくて、仕事がくる度に、それは敷地の話かもしれないし、使う人の趣味かもしれないし、建った後の時間も違うかもしれないけど、それと建築の間の「ゆらぎ」みたいなものを一生懸命考えれたらいいな。多分しばらくはそういうことを考えていくと思うね。

成瀬:私はいつも来る波をあっぷあっぷ越えていくのが精一杯なので。笑 人に言われたことなんだけど、建築だけやってても食べていけないよって、最近よく言われるのね。建たない時代だから。だから自分は建築家だからってやることを制限しないで、色んな所にアンテナ張ってたいなって思ってて、今までは建築のスタディを家で閉じこもってやってるのが大好きだったから、閉じていようって思ってたんだけど、最近はどんどん開いていこうっていうことだけは持とうと思っています。やったことのないことを、失敗してもいいからやってみようかなっ、ていうのがありますね。そういうことが最終的に作ることに繋がっていればいいなって思っていて、、、。

鎌谷:僕らもg86として、既存の建築活動の枠をいつも越えた範囲での活動を行っていると、そうすると、既存の建築言語は偏狭だなっていうのを感じ出していて、今まで建築を構成すると思えなかった要素も、その範疇に組み込むことができるんだなって、そこから新しい建築が生まれるんだなってことを活動を通して実感しています。

猪熊:そうだね。業態は広げていきたいとは考えていますね。今までには無かった変なアトリエ事務所にしていきたいなっ、ていうのはすごいあるね笑

成瀬:あるある笑

猪熊:小さい事務所でそれをどうやるかにすごい興味がある。無駄なことはしたくないんだよ。アトリエだったらあらゆる無駄をやってもスタディするべきっていうのは、あんまり好きではなくて、ある意味わがままなことを考えています笑。

山道:他に言い残したことはありませんか。

猪熊:展覧会、ぜひ見に来て下さい。スケール的にも入ってみないと分からないものなので、そういう意味ではすごく見に来てほしいです。

成瀬:あと、中で来てくださる方とお話がしたいですね。

猪熊:入り口近くに空いているスペースもあるんだけど、そこに受付を置いたら、結局作品の中に入らない人もいそうだなと思って、実は一番奥のここ(図面を指しながら)で記帳をしようってことにしているんです。

g86:それはおもしろい! 伺います!今日はありがとうございました。