老いと若さと

魔法瓶に詰めたホットコーヒーとエッグタルトと長いヤツを持って午後2時過ぎに湖岸へ行く。
河口にはアオサギが1羽、カルガモコガモが僅かばかりだったので、ダイサギなどがやって来るのを待つことにして、早速のコーヒータイムだ。
2杯めのコーヒーに手を出した時フロントガラスの向に驚きの光景を見る。
20代半ばと思われる若者がカヤックで漕ぎ出す準備をしている、その姿におおっ!となったのだ。
上半身は黒いドライスーツのようなものを着用しているが下は半パンツなのだ。

風もなく陽射しは暖かいとはいえ車載温度計を見るに11度Cだ、吃驚する以外になかった。
老躯はダウンジャケットやマフラーも用意している、それに対して半身のドライスーツと半パンツとは、これが若さなのだろう。
若者は入念な準備運動してから漕ぎ出していった。
パドル捌きも見事だ、相当年季のいった漕ぎ手と思われる、見る間に遠ざかって行った。


若者は何処まで行くのだろうか、対岸まで行くのだろうか。
沖の方でポッンと点になるまでカヤックの行方を見つめていた。

待ち兼ねたダイサギチュウサギが飛来するのを見て長いヤツを持ち出す。

ダウンジャケットを羽織っていても少し寒く感じていた。
老いの身の有様を思い、沖に漕ぎ出して行った若者の凛とした姿を羨ましく思っていた。

冬日、先ずは好日だった。