映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2004-07-03 悪魔を憐れむ歌

gakus2004-07-03

35年前の今日、自宅のプールで溺死体となって発見されたローリング・ストーンズブライアン・ジョーンズ。その一月前、彼はストーンズを脱退していたが、在籍最後の2〜3年はドラッグによる逮捕やバンド内での力関係の変化により、相当神経がまいっていたという。そんなブライアンの姿を、はっきりと確認できてしまうのがジャン=リュック・ゴダール監督作「ワン・プラス・ワン」。

 政治的メッセージを含む難解な映像と交わって、ストーンズの『悪魔を憐れむ歌』のレコーディング風景が映し出される。昨年リミックス・バージョンが発表された、このナンバーは言うまでもなくロック史に残る名曲のひとつ。セッションの過程で、どんどんレコーディングされたバージョンに近づいていくさまは、この曲を知る者にはエキサイティングそのものだ。しかし同時にブライアンの、あまりの覇気のなさはショッキングでもある。かつてはストーンズのリーダーでもあった男。そのカリスマ性は見る影もない。空ろな表情でボンゴを叩いている姿は一度観たら忘れられない。

 このレコーディングの2週間ほど前、ブライアンは警察のガサ入れを受け、麻薬所持の罪で逮捕される。ドラッグ所持に関しては、すでに前科があったが、どうやらこの時期の彼は立ち直りを図ろうとしていた時期らしく、濡れ衣説は濃厚とみられている。毛糸玉のなかにドラッグが隠されていたというが、ブライアンは自分のものではないと主張している。そもそも、ひとり暮らしの若い男の部屋に毛糸玉が置いてあるものだろうか。いずれにしても、有罪になれば前科があるだけに服役は必至。裁判を待つ身のブライアンは心労から消耗しきっていたことは容易に想像できる。それが濡れ衣となれば、絶望的な気分にもなるだろう。「ワン・プラス・ワン」でのブライアンの痛ましい姿には、そんな背景があった。

 “ストーンズの創造性が最大限に発揮された曲”と評価されることもある『悪魔を憐れむ歌』だが、そこにブライアンの創造性がほとんど発揮されていないのは皮肉としか言いようがない。

 ブライアンの死に関しては自殺、他殺、事故など諸説あるが、1995年に日本でも発刊されたバイオ本『ブライアン・ジョーンズストーンズに葬られた男』(英国での発刊は1992年)には驚かされた。何と、ここではブライアン殺害犯を名指しで挙げているのだ。ブライアンの身の回りの世話をしていた建築業者が犯人であり、しかも計画的な犯行であった…と断定している。書物でこうもはっきりと書かれたとなると物議を醸しそうなものだが、その後どうなったのだろう? ご存知の方、お教えください!

 写真は『悪魔を憐れむ歌』収録の『ベガーズ・バンケット』。この便所ジャケ、何かの映画のシーンでオマージュが捧げられたと聞いたけど、それが何だったか思い出せない。記憶力がドンドン低下しているなあ…。


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