映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2004-09-15 私の好きなイギリス映画 6

gakus2004-09-15

 今やイギリスを代表する映画監督といっても差し支えのないケン・ローチの作品のなかで、どれか一本を選ぶとなると「ケス」が妥当なところですが、あえて近作「SWEET SIXTEEN」を。

 刑務所からの出所を間近に控えた母親との新生活を夢見て、マフィアの仕事に手を染め出した15歳の少年。しかし現実は非情で、彼の思い通りにはことは運ばない。で、やり場のない怒りが暴発して悲劇へと向かうのだが、そこにいたる過程の緻密さが、とてもいいのです。殴られても殴られても立ち上がる頼もしさには大人の頼りがいがあるものの、誰かに裏切られると途端に脆さを発揮するのは子供っぽいところ。悪事で成り上がるところに極道の資質を見せつつも、幼い甥っ子相手にサッカーボールを蹴ってる姿に優しさがにじむ。そんなアンバランスな部分を、ローチ監督お得意のドキュメンタリー風の映像でリアルに見つめているのがいい。痛みが自分のものとなって迫ってくる感じ。「ケス」はもちろん、「大人は判ってくれない」にも通じる、心底切ない秀作です。

 音楽的な部分では、プリテンダーズの『I'LL STAND BY YOU』がメロドラマチックに使われていたが、ベタベタすぎるこちらよりも個人的に、より印象に残っているのがマニック・ストリート・プリーチャーズ/MANIC STREET PREACHERSの『YOU STOLE THE SUN』。主人公の友人が、彼の母親の出所パーティーでDJをしていて、この曲をかける。“俺は自分の見たいものだけを心に描くけれど、それは簡単じゃない"という詞は10代の一途さそのもの。そしてそれに続くサビで“とっちにしても君を愛してるが、君は俺の心から太陽を奪った”という詞は、この後の主人公の運命を暗示しているかのようだ。切なさ倍増のナイスな選曲。

 写真はこの曲を収録したマニック・ストリート・プリーチャーズ、1998年の5THアルバム『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』。


SWEET SIXTEEN [DVD]

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