映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2004-11-16 血まみれ純情乙女のBGM

gakus2004-11-16

 11月12日の日記に記した「LADDER 49」では、ブリーダーズ/BREEDERSの『CANNONBALL』が使われていましたが、ブリーダーズといえば、今年はもうひとつ、ベストの部類に入るであろう傑作にも使用されていました。「メイ/MAY」というタイトルの低予算スリラーがそれ。

 幼いころから一人ぼっちで人形だけが友達という女の子メイが初めて男に恋して、それが実りかけたものの、あっさりツレなくされる。なにぶん、ひとりの世界で生きてきた女の子で良くも悪くも世間知らず。初めての愛撫では映画監督志望の、その男が撮ったスプラッター映画の真似をして噛み付き、流血にビビッた男に拒絶され、けっきょくコトにいたらず、“キモい"と思われて失恋。で、またひとりぼっちになったメイは友達が欲しくて、その男の手や同僚の首など、美しいパーツを切断しては縫い合わせて理想の友達を作ろうとする。こうなるとヒロインの心理は悪い方。悪い方に行ってしまい、おかしいやら、不気味やら、かわいそうやら…。とにかく、いろんなテイストが込められた作品で、オススメです。

 ブリーダーズの話。メイが遠くから憧れの男を見つめては、乙女心を高ぶらせるシーンで、まず『DO YOU LOVE ME NOW』がかかり、続いて前記の噛み付きの直前、ラブシーンのムードを高めるべく『OH』が流れる。どちらも4ADレーベル特有のダークな曲だが、このヒロイン、キャメロン・ディアスジュリア・ロバーツのような陽性キャラとは対局にあるから、やたらとピッタリくる。ゴス的…というのとも違うが…こういう不気味ちゃん(でも意外にかわわい)は、どう表現したらいいのだろう。もとい、さらにブリーダーズのケリー・ディールが結成したKELLY DEAL 6000のナンバー『WHERE DID THE HOME TEAM GO』『WHEN HE CALLS ME KITTEN』も前半で使われていて、やはりひとりで恋心をつのらせるシーンを、ねっとりした感じで彩っている。

 この監督、ラッキー・マッキーというフザケた名前の新人だが、映画はダリオ・アルジェントからの影響ありあり。そのうえ、ブリーダーズやケリー・ディールを使用するのだから、名前のノーテンキな響きとは裏腹に、けっこう暗い人なんだろうな…と思う。すなわち、話せるヤツ(笑)。

 ジャケは『DO YOU LOVE ME』『CANNONBALL』収録のブリーダーズ、1993年発表の2NDアルバム『LAST SPLASH』。このアルバム発表後の来日公演を観ましたが、リーダーでボーカリスト、ケリー・ディールの姉でもあるキム・ディールは、曲のイメージとは裏腹の肝っ玉姉ちゃんで、終始ガッハッハ笑いながら演奏していたのが記憶に残ってます。


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