映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2005-01-20 勝利は一瞬、敗北はずっと…

gakus2005-01-20

 ゴルーデングローブのドラマ部門最優秀作品賞を受賞し、アカデミー賞最有力候補とみられている鬼才マーティン・スコセッシの力作「アビエイター」を観る。

 実在した実業家ハワード・ヒューズの自伝で、映画と飛行機作りに全精力を注ぎ込んだ時代をフィーチャー。自分の夢をかたちにするために大金を惜しみなく注ぎ込むヒューズの熱情をとらえる一方で、石鹸を常に手放さず、不潔なことに必要以上に反応する潔癖症ぶりをも映し出す。というか、その神経質な性格の描写が執拗すぎて、じつはこの後者の方がメインなのではと思えるほどだ。レオナルド・ディカプリオは「ギャング・オブ・ニューヨーク」以上に、この変人を好演していると思う。

 個人的にスコセッシは大好きな監督のひとり。スコセッシは、人生における一瞬の勝利を鮮烈に描きながらも、それが敗北の日常の地続きにあることを知っている。「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」「レイジング・ブル」「エイジ・オブ・イノセンス」…どの映画も主人公は一瞬は勝利するが、すぐにツラくて退屈な日常に戻される。「アビエイター」は、自分がスコセッシを好きである、そんな理由を、久々に思い起こさせる映画だった。大富豪だから一生、勝利者であるとは限らない。神経症的な日々が、この後さらに続くであろうことを示唆して映画は締めくくられる。

 ふー、それはともかく、この映画にはふたりの現役アーティストが出演している。ひとりは、ノー・ダウトの紅一点で、先ごろソロアルバムを発表したグウェン・ステファニー。ヒューズが撮った最初の映画「地獄の天使」のヒロイン、ジーン・ハーロウ役。もうひとりが、シンガーソングライタールーファス・ウェインライトで、こちらはココナッツクラブで唄っている歌手の役。正直なところ、前者は観終わってもどこに出ていたのかわからなかった。後者もメイクがテクニカラーの肌色っぽくて、人工的でわかりづらい。

 スコセッシといえば、製作総指揮を担当したブルース・ムービー・プロジェクトの総集編的なライブ・フィルム「ライトニング・イン・ア・ボトル」が来月公開公開される。考えてみれば、ブルースのアーティストは敗北の日常を過ごしているからこそ、ブルースを歌えるのであり、その曲をプレイしている瞬間こそが彼らにとって勝利のときとなる。それを思うと、スコセッシがこのプロジェクトを牽引したのは必然だったのかもしれない。

 ジャケは全身ブルースマンと呼びたいジョン・リー・フッカー、1962年のアルバム『BURNIN'』。「ライトニング・イン・ア・ボトル」では、ここに収録された『BOOM BOOM』を、チャック・Dが替え歌パフォーマンスしている(2004年12月6日の日記参照)。

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