映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

*過去に取り上げた作品についてはページ左下の一覧表を参照

メールは

こちら

はてなアンテナに追加→

2006-01-11 ごろつきパパは出張中

gakus2006-01-11

 1972年、ミュンヘン・オリンピックの選手村でイスラエル選手団を襲ったテロリスト“黒い九月”。これに対する、モサドの暗殺チームの報復計画の行方を描いたスティーブン・スピルバーグの最新作「ミュンヘン」が来月、日本公開される。

 核となるのは、エリック・バナふんする暗殺チームのリーダーのドラマ。妻の出産が控えているというのに暗殺者に任命され、任務を遂行すればするほど身が危険となり、安眠すらできなくなる。任務の前まではごくフツーの青年だった主人公だが、子供が生まれても家庭の幸福さえ噛み締めることができない。家庭人にはヘビーな内容でした。

 で、音楽ネタ。最初の暗殺任務を終えてチーム5人が集ったカフェ。ここではTEMPTATIONSの『MY GIRL』が聴こえてくる。「永遠のモータウン」では、この曲のイントロを生み出したギタリストが、その功績すら認めてもらないという事実が浮き彫りにされていたが、この暗殺者たちも同様に歴史の表舞台では英雄になれないんだよなあ、などと勝手に連想。そんなことはどうでもよいといわんばかりに、暗殺を成功させて有頂天になってるメンバーのひとり(ダニエル・クレイグ)は、この曲に併せて踊り出す。

 ダニエル・クレイグふんするこの車の専門家はTEMTATIONSのファンのようで、キプロスでの任務の際に車内で見張りをしているとき『PAPA WAS A ROLLING STONE』を鼻歌で歌っている。この直前、チームの面々は主人公がパパになったという知らせを耳にしているのだから、この歌はずいぶんと皮肉がキツい。ちなみにクレイグさん絡みでは、こんなエピソードもある。パレスチナの暗殺チームと同じ拠点をシェアするハメになった際、よそよそしい雰囲気の中、パレスチナ人が聴いていたラジオから流れるナンバーが気に入らず、クレイグさんは別の局をチューニングし、チャンネル争いに発展。最後にクレイグさんがアル・グリーンの『LET'S STAY TOGETHER』をセットして、この争いにオチがつく。さすが次代のジェームズ・ボンド俳優。ユーモアのセンスはなかなかであります。

 ジャケは“パパはゴロつき"収録、ファンキー全開の1972年のアルバム『ALL DIRECTIONS』。

ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]

ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]

オオタキ番長オオタキ番長 2006/01/13 00:44 クレイグの鼻歌は“ドッグ・オブ・ザ・ベイ”だとばかり思ってました(エンドクレジットには当然ありませんでしたがw)。にしても重かったっすね。ただもう一度観てみたいとだんだん思うようになって。スピルバーグってなんだかんだ言って凄い奴。

gakusgakus 2006/01/13 02:04 今原作を読んでいる最中ですが、これだけ濃密な話をよくまとめたもんだ感心しています。説明的なセリフも上手にシェイプされていたのだなあ、と。ドック・オブ・ザ・ベイの歌い出しの音節は、確かにゴロツキパパと似ていますね。