映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2007-03-22

gakus2007-03-22

 このジュード・ロウって、なんかムカつくよなあ…と思いつつ観たラブストーリー『こわれゆく世界の中で』(4月公開)の話。いや、イケメンに対する単なるひがみなんですが…。

ジュードふんするのはロンドンの都市開発にかかわっている建築技師で、籍を入れていない恋人(ロビン・ライト・ペン)、自閉症気味のその娘と家族のように暮らしている。この男が治安の悪いキングスクロス地区に事務所を構えるのだが、これを設立した夜にいきなり窃盗団にPCをごっそり盗まれる。実行犯の少年は、貧困地区で仕立て屋の仕事をしている母親(ジュリエット・ビノシュ)と二人暮らしのボスニア移民。度重なる盗難に業を煮やしたジュードは夜中に事務所を見張り、この少年の跡を尾け、その素性を探ろうとしてスーツの修繕を装ってビノシュに接近。気づけば彼女と恋仲に…というお話で、アカデミー賞監督アンソニー・ミンゲラが、シリアスにこの物語を演出している。

 “都市開発で街の浄化を”的なことを言っている時点で、まず偽善臭がプンプンしていたジュード。恋人との関係が冷めつつあるのだが口論になるとキスしてごまかすようなところもイヤだし、ビノシュの元にスーツの仕立て直しを頼むとき“最近ヤセたので”などと言われた日にはメタボ気味の身には何だかカチンとくるじゃないですか…。ともかく男子的に感情移入できるキャラがいないので見ていてツラい。ロビン・ライト・ペンジュリエット・ビノシュに気持ちはむしろ気持ちを重ねやすいので、女性的にはオッケーかもですが。

 キャラ的に面白かったのは、見張り中のジュードの車に“寒いから乗せて”と乗り込んでくる路上の売春婦(演じるは『デパーテッド』でレオとマットを魅了したセラピスト役が印象的だったヴェラ・ファーミガ)。ジュードへの誘惑を試みるが相手にされず、それでも気づけばジュードの話し相手になり、カーオーディオでCDをかけてエロいダンスを踊ってはまた誘惑してみたり。で、このCDから流れてくるのがPJ HARVEYの『MANIAC』という曲。シングルのカップリングとしてしか発表されていないアルバム未収録のナンバーなんだけど、よくもまあ発掘してきたものだと。“I neeeeed a maaan"というフレーズを歌うPJ HARVEYのボーカルはエロチックというより強烈な自己主張のこもった声で、それが逆にイイ。“このCD、あげる"という娼婦にジュードは“いらない、持ってる"と言うが、いろんな意味でウソだとわかる。

 ジャケは1995年にリリースされたPJ HARVEYのシングルCD『C'MON BILLY』。このシングルには2種類あって、もうひとつはエロくないジャケだったが、どちらにも『MANIAC』は収録されていた(はず)。

 あ、あとこの映画のスコアはUDERWORLDが、ガブレエル・ヤレドと一緒に手がけていることを追記しておきます。