本当の顔役
SMALL FACES〜FACESの故ロニー・レインの生涯をたどったドキュメンタリー『ロニー MODSとROCKが恋した男』が来月公開される。
多発性脊髄硬化症という難病と闘い、1997年に世を去ったロニー。エリック・クラプトンやピート・タウンゼント等、同世代のミュージシャンとの親交が深かったのは有名だが、それも納得の人間像を浮き彫りにする。FACESで大金を稼いでも、ロッド・スチュアートやイアン・マクレガンが豪邸を購入したのに対してロニーは家賃の安いアパートに住み続け、移動スタジオ作りに注ぎ込んだとか。“他のメンバーはスター生活を楽しんでいたが、ロニーは違った"とはピート・タウンゼントの弁。
90分ほどの尺のうちFACES解散まで、なんと30分。残りの一時間は、ほとんど日の当たらなかったソロ活動(プラス闘病生活)をたどることに費やされる。当時主流だったハードなサウンドを嫌ったロニーは、農場に引っ込んで音楽活動を続けた。ソロアルバムはセールス的には悲惨で、ギグをやっても観客がバンドの人数より少ないこともあったとか。それでも当時のバンド・メンバーは農場でセッションを重ね、屋外でレコーディングした体験を振り返り、“楽しかった"と語る。
ツアーの会計士に金を持ち逃げされても気にした素振りを見せなかったとか、病気のためのチャリティコンサートの収益を女弁護士に着服されたとか、お人好しぶりをうかがえるエピソードもあり、商売人ではなくミュージシャンであり続けたロニーの人柄がしっかり伝わってくる。そんなところが、他のアーティストから尊敬される理由なのだろう。
ジャケは来月紙ジャケで再発される1974年のアルバム『RONNIE LANE & SLIM CHANCE』。このレコーディングの時は金がなくて、一度使ったテープを使い回した…という逸話が映画の中で語られる。
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