映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2007-05-21 普通の人々の祭典

gakus2007-05-21

 昨日触れたジョー・ストラマーのドキュメンタリー映画の前に、同作の監督でミュージック・ビデオ界のベテラン、ジュリアン・テンプルによるドキュメンタリー『グラストンベリー』が6月に日本公開される。これはフジロックも手本にしているという、イギリスの有名な野外ロック・フェス、グラストンベリー・フェスティバルの記録。

 広大な農場を開放して行なわれ、毎年10数万人を動員するこのフェスの全貌を、多角度から検証。農場主で主催者のマイケル・イーヴィスが歴史や運営の苦労、政治性や祝祭性を語り、参加者は祭の熱狂に酔いながら興奮の声を寄せ、アーティストたちは気合の入ったパフォーマンスを披露する。そこから、3日間にわたるフェスの醍醐味が見えてくるが、一方で商業化に対する批判、静かな生活を奪われる地元住民の不満、フェスに協力してきたトラヴェラーとイーヴィスの対立といった、ネガティブな部分も押さえている。結果、この手のドキュメンタリーには珍しく2時間を優に越える映画となってしまい、また多種フッテージが何年のものであるのかまったく表示されず、映画が時代を錯綜しながら進んでいくので、散漫な印象はぬぐえない。とはいえ、ロックファンならば一度は行きたいグラストンベリー、映画の構成的な不満以前に楽しんで見てしまったのも事実。

 で、やはり注目してしまうのはステージの模様。古くはTERRY REIDの70年代のパフォーマンス、BLURRADIOHEADPULPらのブリットポップ全盛期のころと思われるステージ、BABYSHAMBLES(ピート、客席にダイブ!)、BRAVERY(ベーシスト全裸!)といった最近のバンドの演奏も聴ける。が、こっちは各々、短いのが難点。それでも鳥肌が立つ瞬間は何度かあって、とりわけ映画の終盤で出てくるステージ映像は印象深い。RAY DAVIESが弾き語りで歌う「WATERLOO SUNSET」では客席のオッサンが目を閉じて感慨深げに一緒に歌っていたり、“しゃらっらー”の大合唱になったり。PULPのジャービスは、この人には珍しい熱いMCの後に「COMMON PEOPLE」を演奏し、これまた大合唱。そして30年ぶりに出演したDAVID BOWIEの「HEROES」。どれも、市井の人々の感情を反映した歌だが、これを連ねたことに本作の意味があるように思える。

 JOE STRUMMER & THE MESCALEROSのパフォーマンスもあって、「STRAIGHT TO HELL」の演奏中に舞台下に降りて、カメラマンに暴行するというヤンチャぶりを披露。後でジュリアン・テンプルに謝罪したというが、この人らしいなあと納得。

 そしてジャケはMORRISSEY、2004年リリースのシングル「FIRST OF THE GANG TO DIE」。この曲のパフォーマンスではサビの部分で、やはり客席大合唱になるのだが、そこにいたかったと、もっとも痛烈に思った瞬間でした。

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