映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2008-01-10 中年男泣き

gakus2008-01-10

 『バスキア』『夜になるまえに』のジュリアン・シュナーベル監督の新作『潜水服は蝶の夢を見る』(2月公開)は、フランス語映画ながら全米の賞レースを賑わせている秀作。フランスのアカデミー賞外国語映画賞候補作が『ペルセポリス』になったので、アカデミー賞では外国語映画賞はノミネートされないが、その他の部門で顔を出す可能性は大きい。

 実話に基づく本作は、42歳で脳梗塞に倒れた男がELLE誌の編集長が主人公。まばたきでした自己表現できなくなった彼は、20万回以上のまばたきで言語療法士にアルファベットを伝え、自伝を書き上げる。その内容と、意思を伝える過程を丹念に描出。ともすれば湿っぽくなりそうなお話だが、映画は主人公のモノローグで展開し、そのポジティブな姿勢ゆえにクラさをまったく感じさせない。

 シュナーベル作品はロックとは切り離せず、今回もふんだんにその手のナンバーが取り入れらている。自分がまず判別できたのは、U2の“ULTRAVIOLET”。主人公が愛人との不倫旅行を回想するシーンで、ドライブ中、風になびく愛人の髪が幾何学的な模様をなすとともに、この大陸的なサウンドがかぶさる。おかけで印象なシーンとなりました。

 『バスキア』でも使用されていたTOM WAITSは、今回は2曲の起用。子供たちと海に出かけた主人公の姿に“ALL THE WORLD IS GREEN”。“あの古き良き日々を蘇らせてみよう”というフレーズが切ない。そして、エンドクレジットの2曲目では“GREEN GRASS”。渋いダミ声が映画を締めくくる。

 エンドクレジットの一曲目、氷河が溶け落ちる逆回転映像に重なるのはJOE STRUMMER & THE MESCALEROS、ジョーの死後にリリースされたアルバム“RAMSHACKLE DAY PARADE”。これだけでウルウルきてしまう。泣きのツボを心得た選曲。他、印象的なところでは、主人公の妻を演じているエマニュエル・セニエが歌う“DON’T KISS ME GOODBYE”。夜道を歩く主人公の姿に、舌ったらずのダルなボーカルがマッチ。

 ジャケは2002年リリース、“ALL THE WORLD IS GREEN”を収めたトム・ウェイツ、2002年のアルバム『BLOOD MONEY』。

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