映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

*過去に取り上げた作品についてはページ左下の一覧表を参照

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2008-02-21 イースウッドに倣え

gakus2008-02-21

 アカデミー賞では完璧に無視されてしまったけれど、全米の映画賞ではソコソコ頑張っていた『さよなら。いつかわかること』(4月公開)は、評判どおりの良い映画。イラク戦争に出征していた妻を亡くし、遺された夫が、その事実を幼い娘たちにどう伝えようか悩みながら、彼女たちを連れて遠出のドライブをする、それだけの話なんだけど心に穴が開いたような空しさや、不意に襲ってくる悲しみなどの感情がビビッドにとらえられており、見ていて自然に胸がしめつけられる。ジョン・キューザックには珍しい、ふたりの子持ちという役どころ。でもこの人はやはり上手で、とこにでもいるオヤジに見えるんだよなあ。

 音楽に関する最大の驚きは、なんとクリント・イーストウッドがスコアを担当していること。自作以外にスコアを提供するなど今までなかったし、ましてやインディーズの小品である。何気に、これは大事件だ。詳しい経緯はわからないが、ジョン・キューザックから依頼され、作品を気に入って引き受けたとのこと。

 その音楽、ピアノとアコースティック・ギターを基調としており、この素朴な物語にとてもよく合っている。車窓からの風景にシンプルだけど物悲しいメロディーが重なって、登場人物が何も話さなくても、そこに流れる空気を伝えている点に感心。

 既成曲は3曲使われているけれど、これらもスコアの雰囲気と足並みを揃えたかのような滋味路線。エンドクレジットにはジェイミー・カラム、夜中に車を走らせているシーンではシェリル・クロウの曲が流れる。やっぱり、しんみり。これに対して、ホームセンターのようなところにあるオモチャの家の中で父娘3人がハグする、ちょっと泣かせる逸話の直後、ドライブを再開するシーンで流れるTHE BOY LEAST LIKELY TOの“HUGGING MY GRUDGE”は、逆に軽快なナンバー。それでもカントリー・フレーバーで、ある意味イーストウッド的かもしれない。

 ジャケは2006年リリース、THE BOY LEAST LIKELY TOのシングル『HUGGING MY GRUDGE』。このバンド名、MORRISSEYの曲からか?

さよなら。いつかわかること [DVD]

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