映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

*過去に取り上げた作品についてはページ左下の一覧表を参照

メールは

こちら

はてなアンテナに追加→

2008-04-02 悪徳の栄え

gakus2008-04-02

 ケビン・コスナー主演のサイコ・サスペンス『Mr.ブルックス』(5月公開)が、意外に面白い。コスナーがふんするのは成功した実業家ブルックス。しかし、この男は殺人の欲求を抑えられない、困った性癖を持つ異常者で、アル中ならぬ殺中を断とうと断酒会に通ってみるものの効果はない。殺人をけしかける別人格が自分の中にいるのだが、これをウィリアム・ハートが演じている。彼とコスナーの、いわばふたりひと役でブルックスというキャラクターが完成する、というワケだ。で、殺人を止めたいコスナーとやりたいハートがせめぎ合う。ここら辺がユーモラスかつユニークなところ。

 一応、家庭では良き夫、良き父であるブルックスだが問題もある。大学を退学して戻ってきた娘の妊娠が発覚。さらに、この娘は情緒不安定で、なおかつ意外な秘密を抱えており、それがブルックスを悩ませることになる。詳しくは語れないが、そのためクライマックスは緊張感を帯びているのだが、そのシーンで延々とフィーチャーされるのがTHE VEILS“VICIOUS TRADITION"。スローでおとなしく始まり、ドラマチックなメロディーのうねりをみせるこのナンバーがスリルを高めている点は見逃せない。“悪徳と戦い、抜け出せ”といった感じの歌詞の効果もあって、ゾクゾクしたー。

 離婚調停で強欲な夫にイライラいながらも殺人犯を追う女刑事(デミ・ムーア)や、ブルックスの正体を知り“殺人が見たい”と脅迫してくねる青年(デイン・クック)のキャラも妙味。スプラッター度は低めだが、それでも満足。

 ジャケはTHE VEILS、前記“VICIOUS TRADITON”を収めた2004年のファーストアルバム『THE RUNAWAY FOUND』。