映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2008-08-18 悪ノリ大戦争

gakus2008-08-18

 先週末の全米興行収入チャートで『ダークナイト』のV5を阻んだのは、ベン・スティラーが監督・主演を務めるアクション・コメディー『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』。日本では11月に公開が決定している。

 ベトナム帰還兵の手記を映画化した戦争ドラマの撮影に臨む俳優たち5人。その顔ぶれは、演技派転向に失敗しキャリアの崖っぷちに立たされたアクション俳優(スティラー)、どんな役にでもなりきり私生活との境目を見失い、今回は黒人軍曹を演じるために皮膚移植手術までした白人のアカデミー賞俳優(ロバート・ダウニーJr.)、オナラ映画で絶大な人気を博するものイメージ・チェンジを図りたいコメディー俳優(ジャック・ブラック)などなど。いずれ劣らぬスターをまとめきれない、イギリスから来た監督(スティーブ・クーガン)は、原作者(ニック・ノルティ)の助言に従ってリアリティの追及に徹し、5人の俳優を本物のジャングルに放りこんで、その模様を撮影することに。俳優たちはカメラが回っていると信じて、サバイバルを演じようとするが、そこは実はアジアのゴールデン・トライアングルで、麻薬密造部隊が武装して見張っている危険地帯。本物の戦闘に巻き込まれたことに気づき、ダウニーJr.は撤退を主張。しかし瀬戸際のスティラーだけはあくまで撮影であると信じ、やがて麻薬部隊に捕まってしまい…。

 バカバカしい設定の割には、アクションをキチンとやっているのはさすが。というか、ほとんど戦争映画のパロディで、冒頭は『プライベート・ライアン』ばりの血しぶきピューピュー、内臓ブリブリのバイオレンス、スティラーは『プラトーン』のウィレム・デフォーばりのポーズをとり、中盤は『地獄の黙示録』のカーツ大佐のごとし。ハリウッドの内幕も笑いのネタになり、セリフには実在の俳優名が飛び出し、有名スターがカメオ出演していたで、映画ファンであるほど楽しめるものとなっている。そうそう、冒頭には劇中の俳優たちが出演している映画のフェイク予告編が加えられている。これだけで悪ノリぶりがわかるはず。

 ベトナム戦争映画といえば、やはり60〜70年代ソング。本編が始まるやヘリの音とともに聞こえてくるのはTEMTPATIONS"BALL OF CONFUSION"。これだけで、本格的なベトナム戦争映画が始まりますよー、とハッタリをかますに十分。5人が森の中にわけいっていくシーンではC.C.R."RUN THROUGH THE JUNGLE"が流れ、スティラーが単独行動に出るシーンではROLLING STONES"SYMPATHY FOR THE DEVIL"と、比較的わかりやすい定番曲が続く。60年代の空気を最大公約数の観客に感じさせようというブロックバスター・ムービーらしい配慮。

 ジャケはTEMPTATIONS、ポップやソウル・チャートにおけるナンバーワンヒットソングを集めた2007年の編集盤『NUMBER 1'S』。もちろん"BALL OF CONFUSION"も収録。

おまけ ↓本国版トレーラー

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