映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2009-03-17 70年代検証その1

gakus2009-03-17

 アカデミー賞にノミネートされた今月公開の『フロスト×ニクソン』は、ウォーターゲート事件で失脚した後のニクソン元米大統領へのインタビューに挑むTV司会者デビッド・フロストの奔走を実話に基づいて描いた実録ドラマ。『天使と悪魔』も控えるロン・ハワード監督、『ビューティフル・マインド』以来の力作となりました。

 ニクソンはこのインタビュー番組をとおして政界復帰を図ろうとしていたが、対するフロストは隠ぺいされたウォータゲート事件の核心に迫ることで番組を成功させ、TV界に名を売ろうとしている。希代の策士と言われるニクソンに、彼がどう立ち向かったのか…。両者のトーク・バトルはスリリングで見どころとなっているが、人間ドラマも妙味。フロストは事件を告発したいとうより、むしろジャーナリストとしての成功をつかみたい、という意欲が強い。そこら辺に、人間のリアルな薄っぺらい存在感が出ている。恋人に”才能もないのに有名になった人”と揶揄されるほどで、それでも行動力があり、憎めないキャラになっている点が面白い。

 映画のラスト近く、番組の成功を祝うパーティでDONNA SUMMERのディスコ・ヒット"I FEEL LOVE"がかかっているのだが、フロストの姿にこの無機質なシンセ・ビートが重なると不思議と納得してしまう。テレビがどんどん軽薄になっていった時代の話なんだよね、これは。このへんまで映画が進行すると、本作が持っている社会派風のテーマが見えてくるのだが、それは見てのお楽しみ、ということで。

 ジャケは1977年リリース、ドナ・サマーの『I REMEMBER YESTERDAY』。改めて"I FEEL LOVE"を聴くと、このヒンヤリとした空気はディスコというよりポストパンクっぽい気がしてくる。