映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2009-07-17 この時代に音楽にハマリたかったな

gakus2009-07-17

 前回のエントリーに続き、この秋ボンクラ男子必見の『パイレーツ・ロック』の話を。今回は音楽ネタ。

 時代背景は1966〜67年なので、もちろんその時期の曲が中心。冒頭、ティーンエイジーャーが枕の下に隠したトランジスタラジオで聴いてる海賊放送から、ガツンとTHE KINKS”ALL DAY AND ALL OF THE NIGHT"が。親に隠れて何かをするいかがわしい楽しみとロックンロール。ツカミはオッケーだ! ちなみにKINKSはこの後"SUNNY AFTERNOON"を聴くこともできる。

 海賊放送局にもスポンサーはいるので、放送禁止用語にはそれなりに気を遣う。それでもフィリップ・シーモア・ホフマン扮する人気DJは”Fワード”を電波に乗せようとして、うまいことやってしまう。具体的には見てのお楽しみだが、ホフマンが”これから放送史上初めてFワードを言う”と宣言した後にかけるのはTHE MCCOYS”HANG ON SLOOPY"。これもこの時代には欠かせないナンバー。

 ホフマンのライバルとなる、リス・エヴァンスふんするキザなほどクールなカリスマDJがボートにやってくるとかかるのは、THE ROLLING STONES"JUMPING JACK FLASH"。イカしたホラ吹き野郎にピッタリの選曲。しかし、この曲がリリースされたのは1968年なので、微妙に時代考証のミス!?

 そんなミスと思わせるのは、実はいくつかあって、例えば結婚前夜のDJを祝福すべくDJたちが下船してバチェラー・パーティをするシーンではSMALL FACES"LAZY SUNDAY"がかかる。しかし、これも1968年リリースの曲。もっとも、これはBGMとして使われているので、お目こぼしも可。

 モータウンやスタックスなどのアメリカのブラック・ミュージックもガンガンかかる。リスがやってくる前にはTHE SUPREMES"THE HAPPENNING"が聴こえてくるし(これも67年の曲だ…)、ボートに乗り込んだばかりの主役格の青年(この青年の目線で海賊放送局の内部が紹介されていく)がビル・ナイの姪にひとめ惚れするシーンではOTIS REDDING"THESE ARMS OF MINE"だ。彼が女の子と初めてエッチをしようとするシーンではJr.WALKERやSMOKEY ROBINSON、ISLEY BROTHERSが聴こえてくる。実際、イギリスにモータウンを広めたのは海賊放送局なのだ。

 海賊放送局を取り締まろうとする役人に、電波を通じて宣戦布告するシーンではTHE WHO"MY GENERATION"だ。THE WHOは映画の後半でさらに2曲聴ける。

 1967年1月1日に日付けが変わった瞬間から、海賊放送局は違法とみなされる。しかし…ここでかかるシーンは、STONESのあの曲。燃えた!さらに物語は続き、音楽もガンガンかかる(50曲以上!)が、あとは見てのお楽しみということで…。

 個人的な話になるが、1966年は自分が生まれた年。モッズの音楽にハマッたころ、この年にどんな曲が流行っていたのかを調べたことがあるのたが、とんでもなくアツくてスウィングしていた時期であることを知った。この映画は、それを裏付けるかのようなもの。個人的にツボだったのは、そこに理由があるのだろう。

 ジャケはSANDIE SHAW、1965〜67年にパイ・レコードで発表した曲をコンパイルした編集盤『THE PYE ANTHOLOGY』。CD2枚組でパイ全レコーディングを網羅しているのみならず、ジャケも最高。ここに収められている"GIRL DON'T COME"が、劇中で聴ける。