映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2009-08-28 ママもパパも本当に大丈夫!?

gakus2009-08-28

 『蝋人形の館』のハウメ・コジェ=セラ監督が、再びダーク・キャッスル・エンタテインメントの元で手がけたスリラー『エスター』(10月公開)は、『オーメン』の流れを組む、いわゆる”恐るべき子供”モノ。しかし実はそれほど単純でないことが、見ていくうちに判ってくる。

 死産の悲しみを埋めるべく、とある夫婦が孤児院から迎えた養子、9歳の少女エスター。この家にはすでに2人の子供がおり、長男は新しい妹となるこの少女を快く思っていない。一方、エスターを姉として迎える耳の不自由な幼い娘は彼女になつく。ロシア系移民で、絵を描くことを趣味とする、理知的で感性豊かなエスター。しかし、彼女はジワジワと悪意をむき出しにして一家の幸福を破壊する。エスターの目的は、はたして何か?

 あどけない少女が凶行を繰り返すのは確かにショッキングだが、それを支える心理ドラマ面の面白さにも注目したい。物語が進むうちに夫婦間の葛藤が浮き彫りになり、エスターはそんな脆弱の関係を鋭く突いて家庭を崩壊に導く。末娘の耳が不自由という設定も効いていて、彼女を利用して凶行を重ねるエスターの知能犯ぶりが際立つ。よく練り込まれた、恐ろしいお話です。

 エスターを容姿に迎えた日、長男はギターを弾くTVゲーム(固有名詞があるんだろうけど、ゲームには疎いので…)をプレイしているのたが、そこで流れている課題曲がチープ・トリック”SURRENDER"。”ママもパパも大丈夫。でも、僕には奇異にみえることもある。降参した方がいいけれと、自分を見失ったりしないよ”という歌詞は、やがて皮肉にもとれるし、エスターの内面を言い表しているようにも聞こえる。すべてはこの時点で予告されていたのかも。そういう意味でも、よくできたスリラー。

 ジャケは、この曲を収めたCHEAP TRICKのベスト盤『THE ESSENTIAL』。

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