映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2010-01-20 who’s BAD?

gakus2010-01-20

 アベルフェラーラ監督、主演ハーベイ・カイテルによる1992年の傑作『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』を、ヴェルナー・ヘルツォークリメイクしたとなれば、見逃すわけにはいかない『バッド・ルーテナント』(2月公開)。ヘビーなドラマニコラス・ケイジのトゥーマッチな演技と相まって、えも言われぬ怪作となっている。

 舞台ハリケーン・カトリーナ直撃後のニューオリンズ。警部補に昇進したテレンス(ケイジ)は不法移民一家の惨殺事件の捜査に当たる。しかし、彼は押収した麻薬に溺れている上にバクチ好きでノミ屋への借金もかさみ、内部監査に目を付けられる。さらに愛人である娼婦(エバ・メンデス、『ゴーストライダー』に続いてケイジと共演)のマフィア絡みのトラブルに巻き込まれて、もはや捜査どころではない。ますますドラッグにハマるテレンスに未来はあるのか? タイトルどおりの”悪徳警部補”という設定を借りただけで、まんまのリメイクではなく、オリジナルにあった宗教色は一切カットされている。なので、オリジナルを知っている人でも意外性の妙を堪能できるはず。何より、ハーベイ・カイテルの岩石チックな悪徳ぶりに比べると、ケイジのそれは情けなくてユーモラス。大声とジェスチャーでバツの悪さをごまかそうとするシーンには思わず笑ってしまう。ニューオリンズのダウンビートな雰囲気も、このキャラにはピッタリ。

 さて、主人公は唐突にイグアナの幻影を見るほど重度のヤク中となっているのだが、このイグアナのシーンで流れてくるのがブルースシンガー、JOHNNY ADAMSが1968年にヒットさせたカントリー・ソングの定番”RELEASE ME"。”必要としていないなら、俺を解放してくれ”と歌われてはいるが、悪にどっぷり浸かり、悪党たちに必要とされてしまう立場ではムリな話。それでも主人公の心の叫びとして機能する。欲のままに生きてがんじがらめになる主人公を見ていると、”金のために生きてるヤツは自由になれない”という『イージー・ライダー』のセリフを思い出した。

 ジャケは"RELEASE ME"を収録したジョニー・アダムスのベスト盤『RECONSIDER ME』、1976年リリース

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 それにしても、アベルフェラーラオリジナル版はなぜか今もDVD化されていない。ニュー・オーダーのバーニーが新バンド名前をここから付けたり、映画空気人形』の中でレンタルビデオ店の店長寺島進に勧めていたりと、最近このタイトルをよく耳にする。DVD化するなら今だぞ!